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LIVE REPORT

BabyKingdom

2024.06.04 @新宿BLAZE

Writer : 杉江 由紀 Photographer:菅沼 剛弘

無限大のショーマンシップを詰め込んだ、極上のエンターテイメント空間がこのたび新宿BLAZE内に出現した。自らを"MUSIC THEME PARK"と称するBabyKingdomが、今年3月に3rdフル・アルバムとして発表した新アトラクション『FUNNY∞CIRCUS』のコンセプトは、その名の通りとなる"サーカス"。それに伴い開催された"spring ONEMAN TOUR『INFINITY of CLOWN』"も全編にわたってサーカスの世界観を提示したものとなっており、ツアー・ファイナル公演についてはBabyKingdomの面々が舞台に出てくるよりも先に、まずは正真正銘のクラウン(道化師)たちが観衆たちの前に登場し、目にも鮮やかなパフォーマンスをもって場の雰囲気をサーカス小屋へと瞬く間に変貌させてくれたのである。(※ゲスト出演:ラストラーダカンパニーのChang、LONTO)

こうして完璧にお膳立てが整ったところで、颯爽と現れたのは咲吾-shogo-(Vo)=ピエロ、志記-shiki-(Gt/Mani)=猛獣使い、もにょ-monyo-(Ba)=ライオン、虎丸-toramaru-(Dr)=曲芸師にそれぞれ扮したBabyKingdomだ。口開け曲となったのは「ハーレクインの憂鬱」で、そのヘヴィなサウンドは"ばぶりーず"(※ファンの総称)を煽るように響き渡り、場内には激しいヘドバンの嵐が巻き起こることに。BabyKingdomの場合、写真などの見た目からはそれこそファニーさや、カラフルでポップな印象を感じる方も多いと思われるが、なかなかどうしてバンドとして捉えたときの彼らは骨太な音を出すのが得意であるし、ドラマー 虎丸-toramaru-に至ってはメタルとハード・ロックで胎教されていたという筋金入りのロック・ドラマーだ。実際、この「ハーレクインの憂鬱」で彼は曲後半においてツーバスを踏み倒していた次第である。

また、咲吾-shogo-のMCによると"今回のツアーでは『FUNNY∞CIRCUS』収録曲を全曲やってるんですけど、関係者のオジさんたちに特に受けがいい(笑)"という「Burning FIRE!」も激ロック読者にはおすすめな楽曲。こちらは1970年代ハード・ロック寄りのテイストで、虎丸-toramaru-の重さを重視したリズム・ワーク、もにょ-monyo-が弾くグルーヴィなベースライン、志記-shiki-が展開する渋エモいギター・フレーズが融合することで、某テーマ・パークに例えるならウエスタンランドに似合いそうな音世界が生み出されていたように思う。なお、ここでの咲吾-shogo-は"いつもの僕の歌では曲に合わないんで、ここからは外国人を宿して歌います(笑)"との言葉通り、普段よりもワイルドなヴォーカリゼイションと謎のカタコトMC"ニホン、ダイスキデス!"を披露していたこともここに付記しておこう。

ラヴ・ソングであると同時に、バンドとファンの関係を描いた歌でもあるというバラード「MOON WALK」なども交えつつ、本編を締めくくった「FUNNY∞CIRCUS」では再びクラウンたちもステージに華を添えてくれることになり、BabyKingdomは今回のサーカスというコンセプトをこのライヴで余すところなく体現してくれたわけだが。注目すべき場面は、このあとに続いた"延長営業"という名のアンコールにもあった。"みんなが応援してくれてきたBabyKingdomは、今年9年目で「大きな背中」を見せられるようなバンドになりました。頼っていいんだよ。預けていいんだよ。だって、僕らはいつもみんなに助けられてますから。支え合っていこうよ! 今日はありがとう!!"
ネタとしての泣き真似茶番はよくする咲吾-shogo-が、この「誰かのヒーロー」を歌いながら見せたマジ泣きのピュアな涙には万感がこもっていたに違いない。無限大のショーマンシップを胸に、BabyKingdomはこれからも"MUSIC THEME PARK"を拡張し続けていくのだ。

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