LIVE REPORT
OUTRAGE
2021.11.13 @渋谷CLUB QUATTRO
Writer 荒金 良介 Photo by Ryota Mori
OUTRAGEは楽曲を完全掌握し、身体の奥底からエネルギーを放つ貫禄漲るパフォーマンスで観客を制圧した。彼らの4thアルバム『THE FINAL DAY』発売30周年を祝した[The Final Day 30th Anniversary Tour 2021 "RE:prise"]を東名阪の3ヶ所で行い、渋谷CLUB QUATTRO公演は完全ソールド・アウト。コロナ禍のガイドラインに沿う形で座席指定となったものの、観客の心は燃え滾ったことだろう。
LED ZEPPELINの「Immigrant Song」がSEで流れると、NAOKI(Vo)、阿部洋介(Gt)、安井義博(Ba)、丹下眞也(Dr)のメンバー4人が現れ、「Follow」でスタート。地を這う重厚グルーヴで迫り、後半はアラビア調のベース・ラインも神秘的であり、ディープな演奏を轟かせた。次の「Sad Survivor」で一気にスピードを加速させると、ヘドバンする人がグッと増えていく。その火に「Madness」が油を注ぎ、サビでは拳を突き上げる観客たち。不穏なベースで始まる「Visions」においてはリズミックなノリに身体が反応し、筆者もヘドバンせずにはいられなかった。そしてイントロだけで拍手が沸き起こると、「Veiled Sky」へ。動静の起伏鮮やかな曲調でとてつもない爆発力を魅せつけ、ド頭5曲は『THE FINAL DAY』収録曲を連打する。気分は当時のレコ発ツアーまで遡り、30年前の興奮が鮮明によみがえってくるほど。
中盤に差し掛かると、想定外の選曲で面食らった。疾走感溢れる「Machete III」を挟んで、『OUTRAGED』から「NEW HORIZON (I FOUND YOU)」、「HEY! I'VE GOT A FEELING」、「SIX MILLION LIGHT YEARS」と3曲披露。重心の低いダークなロックを叩きつけたかと思えば、『WHO WE ARE』収録の「BROKEN MAN」まで演奏して驚いた。しかもジャムっぽい長めのセッションで始まり、サイケな空気を醸し出すアレンジも新鮮。演奏後に"なんかブルーズなアレンジだったね。楽しかった!"と、珍しく曲についてNAOKIがコメントする場面も見られた。
振り返れば、2008年の『THE FINAL DAY』完全再現ライヴ("AWAKENING 2008")は曲順通りに全曲披露し、ある意味緊迫感を帯びたショーとなった。今回はバンドの歴史を俯瞰しながら、メンバー自身が演奏を心から楽しむ様子が印象的である。また、「River」、「SHINE ON」とバラード曲を2曲取り入れ、特に後者はNAOKIの伸びやかな美声に惹きつけられた。
本編ラストを名曲「My Final Day」で締めくくり、アンコールに応えると、"ぶっ飛ばしていきましょう!"と丹下が呼び掛け、「RISE」、ラモーン・パンク風の「WHO WE ARE」とライヴ映えする楽曲を投下。さらに2度目のアンコールでは「Fangs」、「MEGALOMANIA」、最後はNAOKIがクラップを煽り、「WORLD SLOW DOWN」をプレイ。ミラーボールが回るなか、観客もクラップで応戦するパーティー感に包まれ、全18曲を無事に完遂。
『THE FINAL DAY』からは「Wings」を除く計8曲を散りばめ、ほかに重箱の隅をつつく選曲で唸らせる内容となり、これが現在のOUTRAGEのモードなのだと感じた。余計なことは考えず、ありのままの自分たちを曝け出し、あとは受け手に委ねるのみ。その意味においては、OUTRAGEというバンドのパーソナリティが色濃く見える人間臭いショーとなった。
終了後、スクリーンには2022年5月公開予定のOUTRAGEの映画"鋼音色の空の彼方へ"の告知映像が流れた。来年デビュー35周年を迎え、ますます勢いづく彼らの動向をこれからも追い続けたい。
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