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LIVE REPORT

the GazettE

2016.09.27 @幕張メッセ国際展示場ホール10

Writer KAORU

コール&レスポンスが飛び交う「THE SUICIDE CIRCUS」から、暴れるにもってこいのナンバーが続く。「INCUBUS」の曲中に"アタマー! アタマー!!"とアジテートし、首がもげるんじゃないかと心配になってしまうほどの凄まじいヘドバンの応酬が繰り広げられ、これでもか! というほどのアグレッションが爆発した高速ナンバー「LUCY」の盛り上がりっぷりは今日のハイライトのひとつとして忘れられない瞬間になった。テンポの速い四つ打ちのリズムに合わせて"アンティル・ダーイ!"というコール&レスポンスが繰り広げられる「ATTITUDE」では、大きな動きで扇動するようなステージングも相まって最高潮の盛り上がりへと達した。デジタリックなミクスチャー要素を取り入れた「HEADACHE MAN」ではカラフルな照明がステージを彩り、スクラッチ音と轟音ヘヴィネスが相乗効果となり迫力満点。続く「UGLY」においても、勢いで押しながらもまったくブレのないスキルフルなプレイに圧倒される。ブレイクダウンひとつにしても、ガチガチのハードコア・バンドに勝るとも劣らない獰猛さを感じた。

"今夜のお前らは最高にやばい!"というRUKIの言葉が染みる。バンドとファンがお互いに本音で向き合い、その反応が素直にライヴ空間に現れるからこそthe GazettEのライヴはひとつひとつがスリリングなのだ。今夜のライヴでは、スタンディングならではの素晴らしい一体感が生まれている。

殺気立ったヘヴィネスとキャッチーなサビが共存する「BLEMISH」ではファンのジャンプが会場を大きく振動させ、「UNDYING」では展開の多い難曲を圧巻のダイナミズムで昇華し、最高のひと言に尽きるプレイでラストを締めくくった。

アンコールのMCでは"手探りだった『DOGMA』も69本のライヴをやることでしっかり昇華できたと思います"、"すごく気持ちが詰まっているアルバムで、いろんなことがあって、あの曲たちが生まれて......それでもたくさんの人たちがついてきてくれたことに感謝してます。今日で『DOGMA』ツアーは終わりますが、また新しいものを作って、ツアーをまわりたいと思います"と、休むことなく新しい作品を作ることをはっきりと表明した。どんな作品になるのか? 続報を楽しみにしていよう。

『DOGMA』という1枚のアルバムから始まった、1年に及ぶ"DOGMATIC"にまつわるストーリーにおいて、長期スパンでの作品を昇華するという体験を共有したことはバンドとファンにとってかけがえのない体験として刻まれただろう。そして、この渦がラウドロック・シーンにイノベーションを起こすのではないかという期待までしてしまう。今夜のグランド・フィナーレは、それほどに素晴らしい内容だった。

とにかく『DOGMA』以降のthe GazettEの進化は凄まじい。

the GazettEは現在、"KNOTFEST JAPAN"出演を目前に控えている。ラウドロックに特化したフェスにヴィジュアル系バンドの出演が発表されると、"ヴィジュアル系"というだけでSNS上にヘイターが湧くのも風物詩のようであったが、今年はその数が減っているようだ。それは出演してきたバンドがしっかりと実力を証明したことや、ヴィジュアル系ラウドロックのバンドが増えたことなど、様々な理由で風向きが変わってきていると感じる。もちろん近年のthe GazettEが打ち出してきたラウドなサウンドと、『DOGMA』という作品がもたらした影響もあるだろう。そして『DOGMA』を昇華しきった彼らは"ヴィジュアル系"をしっかりと背負い、SLIPKNOTやDEFTONES、MARILYN MANSONといったラウドロックの名だたる大物アーティストと肩を並べるどころか、もしかしたら抜くかもしれないとさえ感じさせる力強さを持っている。スキルやパワー感といったラウドロックに欠かせない側面においてもその実力はズバ抜けている。"KNOTFEST JAPAN"に行く人はもちろん、『DOGMA』以前のライヴを観たことがある人も、まったく観たことがないという人も、the GazettEというバンドにいま一度注目してほしい。