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激ロック | ラウドロック ポータルサイト

LIVE REPORT

ANGRY FROG REBIRTH

2014.07.19 @渋谷CLUB QUATTRO

Writer 小林 詩央里

6月11日に初のフル・アルバム『BRAVE NEW WORLD』をリリースしたANGRY FROG REBIRTHが、全国9都市を行脚した"『BRAVE NEW WORLD』Tour2014 -9Cities-"。その締めくくりとなるファイナル公演が、7月19日に渋谷CLUB QUATTROにて開催された。ライヴ・バンドとして常にフロアの観客と向き合ってここまで築いてきたものの、集大成となる。豪華ゲスト・バンドたちを迎え、ひとつのステージが様々に表情を変えた一夜。ANGRY FROG REBIRTHが求め、作り上げたこの公演をレポートとしてお伝えしたい。

シャウト・ヴォーカルのともが"遊ぼうぜ渋谷!"と声をあげると待ちきれない観客の地響きが伝わってくる。名古屋の次世代ラウドロック・バンド、ヒステリックパニックの登場だ。コミカルな要素も取り入れながら、終始踊らせ、頭を振らせるハイテンションな展開はライヴでこそ真価を発揮する。最後にマイクのトラブル(?)に見舞われたが、ともの"ありがとう!"という生の叫びは喧騒の場内にも伝わった。
リリースしたばかりのミニ・アルバム『Calendula』のオープニング・トラックをSEに登場したa crowd of rebellion。アルバム通りの流れで演奏された「This World Is Unreasonable.」を始め、ライヴで再現するには難易度の高い超絶ハイトーン・メロディを歌い上げる小林亮輔のヴォーカルが観る者を圧倒する。個人的には何度も観ているにもかかわらず、目の前でそれを見せられると衝撃を禁じえない。ライヴを重ねるたびに表現力が多彩になっていることは間違いなく、それこそが衝撃の源泉なのだろう。シャウト・ヴォーカルの宮田大作の煽りにも魂が溢れんばかりに入っていて、全てがエモーショナルに展開していく。新曲をふんだんに取り入れたセットリストに多くのオーディエンスが満足したように見えた。
メンバー全員の黒い衣装が、ダークな世界観を際立たせるCRYSTAL LAKE。ヘヴィなパートを中心に自然と頭が縦に動いてしまうグルーヴが、多くのファンの心を掴んで離さないのだとあらためて実感する。まばゆいばかりのライトを背に、圧倒的なグルーヴと共に叙情フレーズを展開させる様は壮大なスケールを感じさせる。ステージからのダイバーも続出し、アツいオーディエンスの一部はRyoのマイクを奪ってシャウトするなど、白熱のステージングが圧巻だった。
7月にミニ・アルバム『ALL or NOTHING』をリリースし、着実にステップ・アップを続けるTHREE LIGHTS DOWN KINGS。キレを増した体の芯に響くビート、力強さを増しゴリっとしたベース音など、"キッズをノらせる3LDKの武器"は着実にパワー・アップを果たしておりライヴ・バンドとしての彼らの"今"をしっかりと見せつけてくれた。

ゲスト・バンドたちのステージで十分すぎるほど温まった場内に、いよいよこの日の主役たちが登場。ステージに掲げられたフラッグに赤いライトが灯り、やや間を空けて鳴らされたのは、6月にリリースされた最新アルバム『BRAVE NEW WORLD』のオープニング・トラック「SUNDAY SILENCE」。イントロのギターが鳴った瞬間、会場に火がつくのが全身に伝わってくる。皆、アルバムを聴いて、この曲を聴くのを楽しみに会場へ来たのだろう。それにしても、ライヴでの「SUNDAY SILENCE」は音源よりも格段に曲自体のパワーが感じられる。続く「ペケポン」ではUのダミ声まじりのラップに、フロアのボルテージが更に上昇。roku(Ba)、Maru(Gt)もその沸きっぷりを見て嬉しそうだ。サーファーは見る限り10人を超え、下で支えているオーディエンスたちが心配になるくらいの熱狂をたった2曲で作り上げてしまった。メロコア・パンク調の「SUMMER DAY」では"俺たちと一緒に相撲をとってもらいたいと思います!"と軍配団扇を取り出すパフォーマンスも見せるなど小技も効いている。エモーショナルなギターのイントロが印象的な「FIGHT IT OUT」や、疾走感が小気味よい「HERO is not DEAD」まで、がっつり7曲を一気に駆け抜け、一旦MCへ。
"最高に愛してます!ありがとうございます"という言葉から、この日のソールドのお礼を伝えるU。これまで精力的なライヴでファンを増やしてきた彼らだけに、初のフル・アルバム・リリースに伴うツアーのファイナルとなった今日という日は特別なのであろう。だが、しんみりとしているより、やはり彼らはオーディエンスを踊らせ、自らも踊っている姿が良く似合う。"欲求不満のお前らに最高に踊れる曲持ってきたから!"という池田直樹(Vo/Gt)の一声で、セットリストはダンス・チューンに突入。「Funky」「2step syndrome」で火のついたようにツー・ステップで踊り狂うフロア。ラウドロック・シーンのライヴでツー・ステップはよく見かけるようになったが、AFRほど観客が楽しそうに大勢で踊るライヴは、ちょっと他では見たことがない。
Uの語りが印象的な「SOCIAL FISH」から続く「GHOST INSIDE」は、個人的に楽しみにしていた曲のひとつでもあるが、期待以上の素晴らしさを見せてくれた。静と動の緩急が見事に表現された曲の運びは全てが美しく、派手なストロボや思わず拳を突き上げるUの姿には感動すら覚える。そして何より、これほどまでにガツンと聴かせ、耳から離れないメロディを生み出す池田はやはり天才だ。
ここまではアッパーなチューンの連続だったが、ここでミドル・テンポの楽曲「DEVIL'S WAY」。続くMCでは"何かを手にしたい時は、手を上げなければ届きません。今の高さでいいよ、精一杯上げていこう"と語る池田。「U&I」「EMILY」と聴かせる曲が続く中、フロアの歓声は明らかに上ずっている。ANGRY FROG REBIRTHは、いつでも観る人と一緒にライヴを作り上げてきたのだろう。だからこんなにも観客に寄り添い、その言葉のひとつひとつに説得力がある。
場内が感動に包まれる中本編が終了し、アンコール前には、なんと池田がドラム、Uがヴォーカルという編成で本日2度目の「SUNDAY SILENCE」!たどたどしさもありつつ、全員が全力で楽しそうなその演奏は微笑ましくすらあった。その後ゲスト・バンドが1組ずつ登場する一幕も挟みつつ、ラストには「Tonight」。彼らのライヴではお馴染みの山手線モッシュもあり、最後はステージにのぼるダイバーでカオス状態の締めとなった。
9月より全国47都道府県でのライヴも決定しており、10月8日にはこの日のライヴ映像を収めた、バンド史上初のDVDリリースも控えるANGRY FROG REBIRTH。彼らの節目となった今回のライヴを観て、これからの活躍にも大いに期待していいことを確信した。これから彼らがどのような景色を見て、また、ファンに見せていくのかはわからないが、彼らについて行ったその先には、常に大きな感動と熱狂が待っているのだろう。

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