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LIVE REPORT

ANGRY FROG REBIRTH

2013.11.16 @渋谷clubasia

Writer 山口 智男

今年7月13日にリリースした2ndミニ・アルバム『Dance in the dark』をひっさげ、全国各地を回った"Dance in the dark Tour"がついにファイナルを迎えた。7月20日の渋谷CYCLONE公演を皮切りに計42本というANGRY FROG REBIRTH(以下AFR)史上最多公演に挑んだ今回のツアー。ツアー半ばでドラマーが脱退したため、サポート・ドラマーを迎え、ツアーを続けるという予想外の展開もあっただけにファイナルをソールド・アウトで飾れたことはバンドにとってももちろん、ファンにとっても感慨一入だったにちがいない。

しかも、サポート・アクトはともに、Ikeda(Vo/Gt)が言うところの"いつか一緒にやりたいと思っていた憧れの先輩"、ROACHとSECRET 7 LINEである。ライヴの終盤、Ikedaは"1個夢が叶った。自分は幸せ者です"と感慨深そうに語っていたが、屈指のライヴ・バンドとして名を馳せるその2バンドの胸を借りようと決めたバンドの心意気とツアー・ファイナルを特別なものにしたいという想いにまずは拍手を贈りたい。

ライヴはオンタイムでスタート。メタルコアやメロコアからの色濃い影響を感じさせながら、唯一無二の歌心をアピールすることによってバンドの個性をこれでもかと見せつけたトップバッター、ROACH。その盛り上がりを受け継ぎ、驚異的な瞬発力によって会場の興奮を一気にマックスにまで持っていたSECRET 7 LINE。両者から熱演という形でエールを贈られ、ステージに登場したAFRは"ライヴハウスは俺たちの場所だ。暴れる準備はできてますか?!回れ!"というU(Vo)の雄叫びを合図に、いきなり「2 step syndrome」を暴れたくてウズウズしていた客席にお見舞いすると、"歌え!""全員で飛ぶぞ!""お前ら全員の声を腹から聴かせてくれ!"と観客を導きながら「Despair」とつなげ、「Funky」の性急なスカ・ビートで一気に加速。続く「Black Out」では"どっちがグチャグチャになりたいか勝負しろ!"とウォール・オブ・デスを観客に求め、ヘヴィ&カオティックな空間を作り出した。

そんな前半は、やや詰め込みすぎの感もなきしにもあらずながら、"Pop Screamo Core"を掲げ、スクリームとハイトーンのクリーン・ヴォーカルの組み合わせを軸に、奇抜とも言える複雑なアンサンブルを武器にした曲を作り出すAFRのユニークさが表れていたように思えた。それが新曲①から一転、後半は奇抜さに頼らず、楽曲が持つエモーショナルな魅力をよりストレートに打ち出す流れに変化。終盤になっても大暴れをやめない観客にIkedaも驚きを隠せず、"7年後のオリンピックにモッシュって競技があったら日本が優勝するよ"とジョークを飛ばしたが、前半では線の細さや不安定な音程が気になったIkedaのハイトーン・ヴォーカルも後半は堂々と響きわたり、見た目からはちょっと想像しづらい歌声の魅力をアピールした。

そんな前半と後半の差は図らずも過渡期を迎え、試行錯誤を繰り返しながら今後の方向性を模索しているバンドの姿を浮き彫りにするかっこうになったが、観客の山手線モッシュとともにアンコールで披露した新曲②から判断する限り彼らはすでに進むべき道を見つけたようだ。

アンコールを含め、計10曲を演奏し終えたメンバーたちの表情は達成感を湛え、晴れ晴れとしていた。しかし、今回のツアー・ファイナルも彼らにとって通過点にすぎない。今後の活動展開もすでにいろいろ決まっているようだ。来年はさらなるステップ・アップが期待できそうだ。

これからも活動を続け、"ファンの抱える悩みを歌で解決していきたい"と約束したIkedaがファンに向けて言った"おまえらが信じていることを貫き通していいんだよ。俺達が背中を押してやる。俺たちと一緒に歩いてやってください"という言葉は自らを叱咤しているようにも聞こえたのだ。

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