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INTERVIEW

AMARANTHE

2020.09.29UPDATE

2020年09月号掲載

AMARANTHE

Member:Olof Mörck(Gt/Key)

Interviewer:菅谷 透

2018年リリースの前作『Helix』で、トリプル・ヴォーカルの一角にNils Molinを迎えた新体制のスタートを切ったAMARANTHE。2年ぶりの新作となる『Manifest』は、前作で提示した新たなAMARANTHEサウンドがよりメタリックに鍛え上げられていて、今のバンドの充実した状態がそのまま反映されたような力強い作品だ。そんなアルバムの制作秘話やテーマなどについて、メイン・ソングライターのOlof Mörckに語ってもらった。


"Manifest"の定義がすべて、俺たちのミュージシャンとしての、そしてバンドとしての今の状態にぴったりはまっている


-まずは前作『Helix』リリース後のバンドの活動についていくつか質問させてください。2019年3月にはNils Molin加入後初となる日本でのライヴを"DOWNLOAD JAPAN 2019"で行いましたが、このときの感想を教えていただけますか?

ファンタスティックだったよ! 今のところあれが最後の来日なんだよね。日本にはいい思い出がたくさんあるんだ。俺自身にとっては確か7、8回目の来日だったんじゃないかな。毎回とてもスペシャルな経験をさせてもらっているよ。以前のインタビューで話したかもしれないけど、実は俺の場合初の海外ライヴが日本だったんだよね。2003年、DRAGONLANDでのことだった。デンマークにもドイツにも行かないうちに日本でプレイしたんだよ!

-DRAGONLAND時代というのは聴いていましたが、いきなり日本でのライヴだったんですね。

そう。特別なシチュエーションだよね。そういうこともあって俺にとって日本は特別なんだ。"DOWNLOAD JAPAN"では友達でもあるバンドともたくさん会えたよ。以前何回かプレイした"LOUD PARK"と雰囲気が似ていたね。宿も東京の同じところだったし勝手が良かった。何より客が最高だったよ! 自分たちの出番が終わってからはJUDAS PRIESTを観たんだ。それも最高だったね!

-憧れのバンドを観つつ、自分たちの演奏も披露できたんですね。

ああ。ぜひ近いうちにまた行きたいね。

-2020年の初めにはSABATONの楽曲「82nd All The Way」をカバーしていますね。ヴォーカルが3人もいることもあり、曲そのもののダイナミックさに拍車がかかっていると思います。カバーに至った経緯を教えていただけますか?

ありがとう! 実はSABATONのボスでベースのPär(Sundström)と話していたんだ。そのとき俺たちは一緒にヨーロッパ・ツアー中で、バンド同士の仲の良さを示せるようなコラボができたらなんて話していた。いろんなアイディアがあったけど、その時点では彼らの新作はまだ出ていなかったんだよね。そんななか俺たちに合うんじゃないかと提案してくれたのがこの曲だった。聴かせてもらったら、このコード進行とこのコーラスをヴォーカライズしたら合うんじゃないかってすぐに思いついたんだ。というか、俺たちがカバーする前からちょっとAMARANTHEのヴァイブを感じたんだよね。すごく嬉しかったよ。これを使ってきっと素晴らしいものができるって確信したんだ。そういうふうに自然発生的に物事がまとまっていった。レコーディングはAngela Gossow(ex-ARCH ENEMY/Vo)とのコラボと同じタイミングでやったよ。

-「Do Or Die」(2020年2月リリースのシングル)ですね。

そう! 同じタイミングでレコーディングしたんだ。SABATONの曲は俺たち向けにアレンジしたんだ。1、2日かかったかな。YouTubeのビデオを観てくれたかも知れないけど、あの映像のとおりワクワクしながら熱く録音したよ。すべてが自然に流れていったね。もとの曲も素晴らしかったし、自分たちのバージョンをSABATONのメンバーたちに送ったら"最高だね"と気に入ってくれたんだ。感謝しているよ。

-あの複雑なカバーをそんなに短期間でアレンジしたなんて、勢いでいろいろなことが一気に進んでいったのですね。

そう。すべてが収まるべきところに完璧に収まると気分がいいよね。

-Angelaとのコラボ楽曲「Do Or Die」についてもうかがいます。彼女は現在AMARANTHEのマネージメントを手掛けているということですが、どのようにしてコラボレーションが実現したのでしょうか? ファンにとっては嬉しいサプライズではありましたが。

俺自身にとってもサプライズだったんだ(笑)。彼女は「Do Or Die」の歌詞のコンセプトに携わってくれていてね。環境をテーマに何かやりたいと提案してくれて、俺たちも素晴らしい考えだと思った。今世界中で起こっていることを鑑みてもね。彼女がアイディアを出してくれた時点で俺たちはすでに今回のアルバムのソングライティングを始めていたんだけど、その中で「Do Or Die」がそのアイディアにぴったりだと思ったからそこに織り込むことにした。そうしたら彼女が"私、歌で参加しようと思う"なんて言うから(笑)、"えっ? だってもう9年くらい歌ってないんじゃないの?"と言ったよ。確か彼女が最後に歌ったのはARCH ENEMY在籍時最後のアルバム(2011年リリースの8thアルバム『Khaos Legions』)だったし。でもすごくワクワクしたよ。何せ俺は10代のころARCH ENEMYの大ファンだったんだから。Angelaが加入したときのアルバム(2001年リリースの4thアルバム『Wages Of Sin』)も買ったしね。だから本当にファンタスティックな提案だったよ。このときも「82nd All The Way」と同じようにすべてが首尾よく進んでいったんだ。その後スペインに行ってビデオも撮ったよ――と言うとすごくいい感じに聞こえるけど、12月だったからものすごく寒かった(苦笑)。でもとても楽しかったよ。

-いろいろな偶然が重なってニュー・アルバム『Manifest』に繋がったんですね。このタイトル"Manifest"の由来を教えていただけますか? 個人的には、今のバンドの状態を世に知らしめるような意味合いが込められているように解釈しました。

そう、だいたいそんな感じだね。この単語(Manifest)のクールなところは、名詞でも動詞でも形容詞でもあるということなんだ。何かをManifestする――俺たちは自分たちの音楽をManifestする(※明らかにする、明白に示すなどの意味)。何かがManifestである(形容詞)と言うときは、それがクリアで明白であるということ。名詞のManifestは意図の表明みたいな感じの意味があるよね。この単語の定義がすべて、俺たちのミュージシャンとしての、そしてバンドとしての今の状態にぴったりはまっているんだ。

-このアルバムに散りばめられている様々な要素を網羅するのにもいい単語のような気がしますね。

そのとおりさ! それに、意味がクリアで"強い"単語を使うのはいいことだからね。最近の俺たちの作品はそういう傾向がある。人によって違う意味を持てるのもいいね。もしElize (Ryd/Vo)に聞いたらきっと俺とは少し違った解釈が返ってくると思うよ。ちょっとミステリアスにしておくのもいいとも思うし(笑)。

-今作は海外では、これまでのレーベルであるSpinefarm Recordsから新たにNuclear Blastからリリースされます。世界最大手のメタル・レーベルとして知られていますが、環境の変化などは感じましたか?

そうだね。マネージメントも変わってAngela Gossowがつくようになって、すべてがプロフェッショナルになったんだ。レーベルもブッキング・エージェントも世界の大半の地域で変わったしね。今はSABATONやAMON AMARTHと同じブッキング・エージェントなんだ。周りの環境がすごく頼れるものになったと同時に、パーソナルで励みになるものになった。レコード会社もマネージメントもソングライティングに関してはノータッチだったからそういう意味でのプレッシャーはなかったし――何が最高って、Nuclear Blastが俺たちと契約するときに今回のアルバムのデモすら要求してこなかったってことなんだ。スタッフが俺たちのアルバムを聴いたのは完成したあとだった。大満足してくれたよ。そこまで俺たちを信頼してくれているとはね。アーティストとして本当に居心地良く安心感を覚えると、パフォーマンスももっと良くなるし、クリエイティヴ面も向上するんだ。俺たちが自分たちの置かれた状況に居心地の良さや安心感を覚えられたことも、このアルバムがいいものになったことに繋がっていると思う。

-ジャケットのアートワークも過去作とは趣の異なったものになっています。荒廃した都市にバンドのシンボルマークが光り輝くというデザインですね。デザインの意図をうかがえますか? 著名な方がデザインしたと聞いていますが。

アートワークを手掛けたのはEmmanuel Shiuという人で、"ゲーム・オブ・スローンズ"や"ブレードランナー 2049"にも携わった人なんだ。今までアートワークを作ってくれたアーティスト(Gustavo Sazes)ももちろん素晴らしい人だけど、10年も一緒にやっていたからちょっと新しいものをと思ってね。今までとはちょっと違ったコンセプトにしたいというのもあった。レーベルも新しくなったし。イラストはディストピアな雰囲気の憂鬱な街で、そんな中にAMARANTHEのピラミッドが大きな希望の光を放っているという感じなんだ。

-アルバムの制作はいつごろスタートしたのでしょうか? 「Do Or Die」はSABATONのカバーと同時期に作ったとのことでしたが、おそらくコロナ禍がヨーロッパを襲撃する前の話ですよね。制作プロセスの中でコロナ禍の影響はありましたか?

実際の影響はあまりなかったけど、ちょっと困難な状況にはなったね。というのも、俺たちは3月中旬にレコーディングを始めることになっていたんだ。月曜日が初日でね。その前の週の金曜日に、(プロデューサー Jacob Hansenのスタジオがある)デンマークの国境が封鎖されるという情報が入ってきた。

-えっ。

俺たちはスウェーデンに住んでいるから、国境が封鎖される前にデンマーク入りする必要があった。その情報が入ったのが夜の23時。デンマークには2ヶ月半滞在する予定だったから、大慌てでスタジオ機材とかのパッキングを始めたよ。で、実際に国境を超えたのが、たしか封鎖される40分前とかだったんだ。入国できなかったらどうしようってハラハラしたよ。

-文字どおりギリギリに入国できたんですね。

いやぁ、本当に文字どおりギリギリだったよ。NilsとHenrik(Englund Wilhelmsson/Screams)はその1ヶ月半後に合流することになっていて、そのときはそこまで封鎖が厳格になっていなかったから、スウェーデンとデンマークの当局に掛け合って"例外的な入国許可"を貰ったんだ。それがなければヴォーカルをリモート録音しないといけないところだったから、そうしなくて済んだのは本当に嬉しかったね。

-最終的には全員デンマークで合流できたんですね。

ああ。ただJohan(Andreassen/Ba)だけが例外でね。彼の住んでいるフィンランドではロックダウンが厳格だったんだ。

-ということはJohanの分のレコーディングはすべてフィンランドで行ったのでしょうか。

そう。彼へのインストラクションはSkypeでやったんだ。ほら、Zoomミーティングが一般化しているだろう? あんな感じで。なかなかうまくいったよ。

-結果的には一体感のある作品になりましたね。今作はこれまでの音楽性を継承しつつ、ヘヴィネスやエピックな要素も研ぎ澄まされた作風になっているように感じました。

またもやパーフェクトな解釈だね(笑)! というのも、『Helix』からドラスティックな変化はつけたくなかったんだ。『Maximalism』(2016年リリースの4thアルバム)までかなり冒険的なことをやっていたような気がするけど、『Helix』で俺たちが音楽的にやりたいことがやっとピンポイントで実現できたと思うんだ。それを基盤にもっといいものを作っていきたいと思ってね。それで今回のアプローチとしてはいろいろ新しい要素を取り入れつつ、もうちょっと"メタル"なバンドになろうと考えたんだ。君も言うように、もっとヘヴィでエピックなものを作ろうとね。エレクトロニックな要素も入れつつ。できあがったものを聴き返してみると......俺は謙虚なミュージシャンだから(笑)、少なくとも俺にとっては、目論んでいたものがパーフェクトな形で実現できたと思う。

-歌詞も幅広い題材を取り扱っているようですが、それぞれのテーマを教えていただけますか?

今回は歌詞的にも多様なアルバムにしたいというのがあったんだ。このアルバムは俺たちの"Manifest"だし、感情的にも幅広いトピックを網羅したいと思った。例えば「Make It Better」は社会的というか政治的に近いコメントの歌だけど、Michael Jacksonが(「Man In The Mirror」の中で)"変化を起こしたいならまず自分自身を変えることから。他人に変わることを求めるよりも"と歌っていたのに近いね。かと思えば「Scream My Name」は別れの歌なんだ。恋愛関係の解消でもいいし、ビジネスのコラボの解消でもいいけど、そういうことを今経験している人たちへの応援歌になればいい。そういうのとはまったく対照的なのが「Archangel」で、あれはジョン・ミルトンの"失楽園(原題:Paradise Lost)"がベースになっているけど、歌詞には裏の意味もあったりする(笑)。とても多くのことをカバーしているよ。多様性とダイナミクスがある作品になったと思う。