INTERVIEW
摩天楼オペラ
2020.04.17UPDATE
2020年04月号掲載
Member:苑(Vo) JaY(Gt) 燿(Ba) 彩雨(Key) 響(Dr)
Interviewer:藤谷 千明
-今回の歌詞はひとつのストーリーとして解釈することができますが、"暗い坂道"や、"合わせた頬"とかが出てきますよね。
苑:この曲は、作中で主人公がさらに過去を回想してるんですよ。"あのとき楽しかったな"って思い出すときは、2曲目の「Kiss」の"合わせた頬"。そして"どこで間違ったんだろう"と後悔している"暗い坂道"は「Silence」の時期です。何度も何度も後悔して、別れを受け入れようとして葛藤している。
JaY:そう聞くとほんまに、"言葉は刃物"っすね。
一同:もう言いたいだけでしょ!
-本当にいい歌詞なのに......。そこから「Anemone」で締めくくられるわけですが。この曲はJaYさんと苑さんの共同名義になっています。
苑:基本的にはJaYが全部作って、僕が"サビメロちょっとこうしたいな"とか口出したっていうか。
JaY:この曲、僕のターンですか?
-お願いします!
JaY:この曲の仮タイトルが実は"種馬"なんです。これ作ってたとき、ディープインパクトをテレビで観てたんで。
-競走馬ですか?
JaY:そうです。たまたま観ていて、それでできた曲なんですよ。
-それくらい力強い曲を作ったっていうことでしょうか。
JaY:ある種そうですよね(笑)。種馬のように生きたいなぁって!
響:この曲はイントロのギター・リフがG#でめちゃくちゃ低くてヘヴィなんですよね。
JaY:俺のやつ言うやん、あはははは(笑)。
響:JaYさんが言わないところ言ってるんですよ(笑)。すごくヘヴィで、今までの摩天楼オペラにはない要素で、僕正直「Chronos」より、こっちのイントロのほうが、新しい要素取り込んだなっていうイメージはあって。曲としてはキャッチーな部分も多いんですけど、このイントロから始まるんだったらものすごい激しくしてやろうと思ったんです。イントロのドラムもそうですし、ところどころのフィルとか、2サビ後、Cメロにいく前とかにも、めちゃくちゃ速いブラストビートみたいなのを入れてて。あと、BメロとかはJaYさんの要望もあって、四つ打ちなんですけど、ハイハットとかでかなり細かいフレーズを入れたりしてます。なので、考え込んで作ったドラムという感じですかね。
彩雨:最初聴いた感じでは、僕の中ではすごくきれいな印象だったんですよね。イントロなんかは激しくて重い感じですけど、結構春っぽいイメージを持っていたので、透明感のある空気感をイメージして作りましたね。そしたら花のタイトルが付いて、良かったなと(笑)。
JaY:それまでみんな"種馬"っつってましたもんね。
彩雨:レコーディングのデータも"種馬"って書いてあるからね。
燿:"シティーハンター"のことだと思ってたんだよね(笑)。
彩雨:それは"新宿の種馬"ね。
燿:そうそう、今初めて"ディープインパクト"って聞いて、"馬のことか!"って(笑)。たぶんこのEPの中で一番展開が多い曲ですし、最初は結構悩んだりして、音使いは一番気を使った曲でした。結果的にはすごくいいバランスで、完成してみると、意外と聴きやすい曲になったと思うんですけど。あとは、ベーシストが聴いたら"おっ!"って思うようなフレーズがちょこちょこ入っていたりするんで。アレンジ的にはしまくったかもしれないです。
-そして、苑さんにおうかがいしたいのですが、タイトルのアネモネの花言葉にもいろいろあるそうですが。
苑:赤いアネモネは"君を愛す"ですね。その気持ちだけを握りしめたまま、あとはその気持ちが枯れるのを、待っている状態です。
-1曲目の「Chronos」と同じく、"時の奴隷"っていうフレーズも出てきてますけど。
苑:「Anemone」は"現在"の主人公から過去を振り返っている、現在進行形の歌詞であることを強調したかったんです。
-"現在"では、この恋をすでに一度諦めているような。
苑:4曲目から5曲目に関しては、諦めなきゃいけない感情を歌ってるんです。ずっと自分だけが想い続けても、結局相手はもう前に進んでるわけじゃないですか。だから僕もちゃんと前を見なきゃなってことで、この気持ちは大切に愛しながら、忘れていこうという。
-そうやってお話をうかがうと、最初におっしゃっていたサウンド面での"大人"もそうですが、歌詞も"大人"を感じますね。そして、本作の初回限定盤には、2月に渋谷CHELSEA HOTELにて開催された女限定別ライヴからライヴ音源6曲が収録されています。
彩雨:男女限定別ライヴは、2012年くらいからやっていますね。
苑:初回盤と通常盤で何か違いを出すのであれば、やっぱり僕たちとしては、音で一番違いを出したいので、今回はこういった形を選びました。
-そして、5月6日の東京キネマ倶楽部から"Chronos TOUR 2020"がスタートします。去年はある種、新体制メンバーによる地固めと呼べる1年だったと思うんですが、そこからまた新しいバンド像がこのツアーで見ることができるのではないかと期待しています。
苑:去年ライヴに来てくれた人は、"今は新メンバーが入って、こんな形になっているんだ"と、安心したと思うんですよ。"楽しかった"という意見がたくさん届きましたし。だからこそ、今年もまた観に来てくれたら嬉しいですね。