－そして「Satanic Corner」ではゴリッゴリのデスコア路線で、安心するというか、ここまでくると、前半はあえてやってたんだとわかりやすく見せる展開ですね。

Masa：みんな好きだろうなって（笑）。ただこれ系ばっかだとさすがに飽きるし、セトリのバリエーションも増えないので、あえて毛色の違う曲も多くしてる感じです。

－イントロ～Aメロのアグレッションは、すごくノクブラらしくて本当に安心しました。逆にBメロやCメロでストリングスやシンセを厚くして、いわゆる"求められている音"をわかりやすく見せることもできたのかなと思うのですが。

Masa：シンプルにやってみたいなって思いもあって。今までっぽいことって新鮮味がないんですよ。こういうところでシンセを入れるっていうお決まりのテンプレートになっちゃうのは、やってる側としても面白くない。

尋：これは決して意地悪なわけじゃなくて、漢気のある感じでいきたいんですよね。

－続くスラップしまくりで軽快な「hPa」はノリがすごく良くて、ライヴで今までとは違う楽しみ方ができそうだと感じました。

Masa：これは尋が"スラップから始まる曲がやりてぇ"って言い始めて。たしかに僕もそういうベースにスポットを当てた曲をノクブラでやってみたいなと思っていたんですけど、やるタイミングがなかったんです。いい機会だからそういう曲もあっていいかなってことでやらせてもらいました。

－楽曲全体の雰囲気がかなり異色ですよね。

Natsu：これ最初の仮タイトル"祭り"ってなってたんですよ。

Masa：本当は最初"炎上"って仮タイトル付けてて。

一同：（笑）

Masa：途中から"祭り"に変えて（笑）。"炎上"じゃイメージが掴めないかなと思ったから。

Lin：未だに曲名"祭り"って覚えてますよ。

Masa：だからお祭りみたいな曲になって良かった。Lin君のギター・アレンジもおしゃれな感じにしてもらって、ギターはすごく面白いと思いますね。いい意味でメタルっぽい。

Lin：それは結構意識してますね。サウンドがヘヴィなぶん、違うふうに聴こえさせたいなっていうのはやっぱりあります。

－ギターをオクターブでここまで明るく弾いちゃう曲って、ノクブラには今までなかったと思うんですよね。

Masa：かもしれないですね。ないわけではないですけど、カップリングとかであまり積極的には表に出してない曲ばかりです。例えば「A Bullet of Skyline」（2012年リリースの1stミニ・アルバム『Ivy』収録曲）とか、今回の収録曲のどの曲よりもシンプルですし、それでいてワイワイ系ですし。だから、たぶん世間的にはシリアスでダークなイメージだと思うんですけど、ライヴだとチャラくて明るい曲も多めだったりするんで、あまり日の目を見ていないワイワイした曲に光を当ててる感じですね。

－ヴォーカルの歌いまわしがかなり自由になっていますよね。おチャラけて聴こえるというか。

尋：僕、湘南乃風が好きなんですよ。ワイワイした曲をやりたかったし、そういう曲もあったんですけど。昔の「Liberation」（2014年リリースの4thシングル『DESPERATE』収録曲）とか、そういうワイワイ系の曲が好きで、自分の中で得意だなという意識があるんで、もっとちゃんと表現できると思っていたんです。おチャラけた感じに聴こえるのかもしれないですけど、俺の中ではちょっと漢気に溢れた感じですかね。言葉をひとつひとつ日本語にしていて、いかに楽しく表現できるかに重点を置いているんで、"聴こえるシャウト"を意識しているんです。正直、"何を言っているかわからない"って言われるのは自分的に好きではないんで、発音をしっかりしてちゃんと聞こえるように努力しました。楽しく歌うことも含めて、今回は今までより洗練されていると思います。

－「少年時代」はバラード調なんですけど、ちょっとずつポリリズムのノリが入っていたり、複雑な響きのコードを使っていたり、ぱっと聴こえてくる以上に手が込んだ曲という印象でした。この曲はどのパートから作られていったかがあまり想像できないなと思いました。

Natsu：そうかもしれないですね。さらっと聴けるんですけど、よく聴いたら足数が多かったりして。

尋：これを初めて聴いたとき、LOSTPROPHETSを思い出したんですよ。"あぁ懐かしいなぁ"ってなりました。歌詞もそういう感じだもんね。

Lin：僕はそれがすごく気に入ってますね。

Natsu：ギター・ソロがめちゃくちゃいいんだよね。めっちゃ好き。

尋：今回Linが自由にアレンジしてくるリフによって、自分がミクスチャーをやってた時代の気持ちになれて、すごく好きなんですよ。なんか耳になじみがあるとか。中学生とか高校生のときにミクスチャーのコピー・バンドをやってた時代って、みんなそんなにうまくなくて、でもそれでも憧れであって、いろんなコピー・バンドをやってましたけど、それを今回自分らで形にできてるのが自分的には胸熱なんですよね。あの頃全然歌えてなかった俺も成長してこうやってバンドしてんなって感じで。

－曲全体としてはそういう懐かしさもありつつ、ソロのセンスが、最近のプログレ～マス・ロックを飲み込んだDjentの流れをきれいに消化していて、音数は少ないんですけど、すごくよくできてるなと思いました。

Lin：ありがとうございます！ プリプロを聴いてイメージはできていたんですけど、あんまり考えて作るのって気持ち良くなくて。どこまで突き詰めても、今日"いいな"って言っていたものが、明日聴いたらまた変わってしまうこともあるので、今いいと感じたもので完成させないといけないと思ったんです。わりとすっと録れましたね。

新しい面もどんどん見せていくので、ライヴの中で一緒に成長していければ

－今のバンドへの手応えはいかがですか？

Natsu：僕はすごくやりやすいですね。制作ももちろんスムーズですし、やりやすい人間性というか、そういう人が集まっていると思うので。

Masa：いろいろスムーズだよね。

尋：Linが加入してから僕らも手探り状態でやっているんですけど、それがすごく楽しくて、いろんなアイディアがみんなポンポン出てくるんですよ。だから初心に戻った気持ちで楽しく作れたし、満足できるものになったなと僕は思います。

－早くも8月3日の新体制初ライヴはソールドしていますね。

尋：今回のソールド・アウトはご祝儀だと自分は思っています。"FROM THIS DAY"というタイトルもそうなんですけど、この日から僕ら4人が始まるっていうことなんで。スタートが良くても何が起こるかわからないので、ここから自分らで地に足つけて歩いていかなきゃいけない。大事なのは8月3日以降だと思いますね。

－最後に激ロック読者へのメッセージをお願いします。

Masa：激ロック読者が好きであろうバンドがいっぱい出る主催ツアー（"NOCTURNAL BLOODLUST presents Monster Park"）が9月からあるんで、ぜひ激ロックを見てそれに来てください。

Natsu：言おうと思ったこと言われた（笑）。

一同：（笑）

Natsu：激ロックが載せるバンドの幅が広くなったじゃないですか。僕らの主催に出てくれるバンド以外にも（激ロックを）見てるお客さんは多いと思うんですよね。今回出てくれるメンバーはラウド寄りで、Broken By The Screamみたいに今まででやったことないようなグループもいるんですけど、そうしてどんどん広がればいいなと。

Lin：僕はみんなと同じ気持ちなんですけど、純粋にみんなロックでもいいし、ロックじゃなくても、各々が"いいな"って感じる、自分のおいしいポイントを見つけてくれたらいいと思いますね。そういう曲を書いてみたい。あとはライヴ会場で遊びたいです。

尋："ゲキンニクロック"のみなさまに合うテイストを並べたので、これを聴いて暴れてもらいたいと思います。新しい面もどんどん見せていくと思うんですけど、ライヴというトレーニングの中で一緒に成長していければいいなと考えているので、まずはライヴに来て、ライヴの楽しさを知って、一緒に筋トレをしましょう（笑）。Thank You！