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INTERVIEW

ナノ

2018.11.16UPDATE

2018年11月号掲載

ナノ

Interviewer:吉羽 さおり

今回の"ナノ盤"は、より自分らしい素の自分がいる


-また今回の"ナノ盤"のカップリングには、美しくポジティヴな、想いを昇華していくようなバラード曲「Blue Jay」が収録されましたね。

この曲は、久々に作詞作曲をしている曲なんですが、自分からディレクターに"どうしても書きたい"とお願いした曲なんです。タイミング的にもいけそうだったので、"じゃあ書いてみれば?"と言ってくれて収録されることになって。この曲は、SNSでもちらっと触れたんですが、自分が小さいころに出会った恩人について歌っているんです。アメリカで生まれ育って、その育った環境だったり家族のことだったりでちょっとつらい時期があったんですけど、その時期にものすごく助けてくれた人なんですよね。その人はアメリカにずっといたんですけど、自分が大きくなってからは会うことがなくなって、結構な年数が経ってしまって。だから、ナノが音楽をやっていることも知らなかったんです。なので、いつか母国のアメリカに帰って、ライヴをしたり、活動できたときに、その人に胸を張って音楽をやっていることを伝えたいなってずっと思っていたんですよ。で、今年はそのアメリカで活動するっていうのが叶った年でもあって。ずっとやりとりしてなかったんですけど、手紙を書いて"アメリカに行きます"って報告をしたんです。そしたら......重い話にはなってしまうんですけど、家族の方から返事がきて、数年前に亡くなってしまったということで。

-そうだったんですね。

ショックを受けて。本当は本人に直接想いを伝えたかったけど、伝えられなかったから、今回曲にしようと思ったんです。なので、この曲は、本当にパーソナルなことなんですけど、リアルな過去の話や想いを捧げたいと思って書きましたね。

-だからこそ語り掛けるような内容なんですね。"絶対に形にしなきゃいけないな"と思った感じですか?

そうですね。すごく納得していますし、やって良かったです。あとは、届いたらいいなぁと思っていて。

-曲としてはどんなふうに作り上げていったんですか?

もともと自分の中でメロディはあったんです。あとは、アコースティック・ギターでコードをつけていって、シンプルなデモを作って中西航介さんとWEST GROUNDに編曲をお願いしました。でもアレンジも、あまりおしゃれな感じにしないでくださいってお願いしましたね。余計な音もいらないし、展開もいらないので、シンプルなアレンジでとお願いをしたら、中西さんは何度もタッグを組んでいるので、曲の中の想いを汲んでくれて。そういう仲のいい人とできたのも良かったですね。

-はい、心のありようがすごくわかる曲になっています。

「Star light, Star bright」とはガラッと変わりますけど。でも"ナノ盤"に相応しい内容になっているなと思いますね。すごくナノらしいカップリング曲だと思うし、これが素の自分みたいな気持ちです。

-この"Blue Jay"というのは鳥のことなんですよね?

そうなんです。小さいころ、さっきの恩人のことを"Blue Jay"と呼んでいたんです。その人のあだ名というか。日本語で言うとアオカケスという鳥なんですけど、アメリカやカナダにしか生息しない鳥らしくて。よく車で旅をしたりしていた人だったので、そのときに見て本人が気に入った鳥だと思うんですけどね。それで"自分を「Blue Jay」って呼んで"って言っていたんです。実際にその鳥を見てみたら、本当に美しい鳥で。あまりにきれいで涙が出てきてしまって。日本にいないのはすごく残念なんですけど。日本にもどうにか来てほしいなと(笑)。

-この曲を書いたことで、心に自分の想いが収まるような場所ができた感じですか?

できましたね。その方の家族とも親しい間柄だったので、この間曲を書いたことを伝えたら、すごく喜んでくれて。あぁ、やっぱり書いて良かったなって思いました。

-この曲はぜひ、ライヴでは弾き語りなどシンプルなサウンドで聴きたい感じです。

そうですね。どこか機会があれば、ライヴでもやりたいですね。

-そして"アニメ盤"収録の曲が「Artificial Hero」で、こちらはパワフルな曲となりましたね。

ゲーム・アプリの"DArk Rebellion"のテーマ・ソングなんですけど、これが今回最初にレコーディングした曲で、作ったのも最初の方でしたね。この曲はアコースティック・ギターがじゃんじゃん入っているんですけど、よく考えてみたら、アコースティック・ロックってあまりやったことないなって。アコースティックは大好物なので、こういう曲に挑戦できるのが嬉しいなと思ってます。この曲に関しては、完全にゲームの内容に寄せて作詞もしましたし、全編英語詞なんですけど、速いうえにメロディ的に言葉数がものすごく多くなってしまうので、歌詞が歌詞カードに入り切るか!? っていうくらいの量になっちゃいましたね(笑)。これはライヴで歌うと疾走感もあるだろうし、ハードルは高いかなと思います(笑)。"Artificial Hero"というのは人工的なヒーローという意味なんですけど、結構個人的な気持ちも入っていて。"人工的な、みんなが望むようなヒーローになってんじゃねぇよ"っていうか。もっと自分らしくって思っていた時期だったのかもしれないですね。自分自身も、もっと自分らしくやっていきたいなっていう願望が湧いてきた感じでした。

-その、"自分らしく"というのはどういうところから湧いてきたのですか?

最初にデモを聴いてから湧いてくる感覚ですね。楽曲のタイプによって、いろんな感情が湧いてくるんですけど、この曲はガツガツと煽られる気持ちになるタイプの曲なので。自分で歌詞について模索しているうちに、オラオラオラ! っていう感じにさせられていたんです(笑)。そのときに一番思っていたことが出てきたのかなって思いますね。

-11月16日には故郷であるニューヨークHammerstein BallRoomでの"Anisong World Matsuri at Anime NYC 2018"出演も決まりました。イベントではありますが、これはどうなりそうですか?

自分の生まれた街なので、どういう形であれ、そこで歌えるのはありがたいですし、嬉しいです。イベントとはいえ、時間的にもガッツリ歌えそうなので。セットリストも考えましたし、スペシャルな要素もあるらしいので、ちょっといつものナノじゃないナノも観れるんじゃないかなっていう、そんな予感もしています。前回、初のアメリカ公演(2018年5月26日に開催された"FanimeCon 2018")をサンノゼCity National Civicでやれたおかげで、今回はさらに自信を持って挑める気がしますね。