INTERVIEW
打首獄門同好会
2017.07.12UPDATE
Member:大澤 敦史(Gt/Vo)
Interviewer:吉羽 さおり
-歌詞を書くにあたっては、毎回いろいろとリサーチもしているようですが、今回も結構調べましたか。
そうですね。間違ったことを歌ったらまずいので。これは、知ってる人に添削してもらいたいと思ったんですよ。面白いのは、前回作った虫歯の歌(「歯痛くて feat.Dr.COYASS」)の歯医者=COYASSが、"ケトジェニックダイエットアドバイザー"という資格を持っていまして。あの人、もともとデブパレードっていうバンドのMCで、100キロ超えだったのが、糖質制限ダイエットで30キロ痩せたんですよ。医学会の人なので、やりだしてハマっちゃったんでしょうね。すごく詳しいので、歌詞を送って合っているかどうか見てくださいと。そしたら、"大丈夫だよ、強いて言えばここの言い回しが──"って返ってきて(笑)。ありがとうございまーすっていう感じでした。
-「歯痛くて feat.Dr.COYASS」に続き、さりげなくコラボしてるんですね(笑)。
最近ベッタリですね。虫歯になったことも、太ったことも全部相談してます。
-歌詞に、食べてもOKなもの、ダメなものが書かれているんですが、なるほどなぁとか、意外なものがOKだったりとわかるのはダイエット・ソングとしてもタメになりますし、面白いです。
うちは、知識を与える型というか。「私を二郎に連れてって」も、二郎をお知らせするソングみたいなことですよね。アルバムにひっそり入ってる曲だと、男性型脱毛対策の曲とか、一方的に知識を投げ掛ける曲なんですよ。女性の方、置いてけぼりですよね(笑)。もっと共感型にというのがあればいいんですけど。この「糖質制限ダイエットやってみた」も、共感してくれる人は割合的には多くないんだけど、面白がってくれるかなと。
-2曲目の「キレイエアー」もまた、実体験というかリアルなお話がもとになっていますね。
これは、Twitterがきっかけで始まった曲ですね。そもそも、シャープ製品だという意識はまったくなく、スタジオの空気が汚いから空気清浄機を導入しようとなって。それで置いてみたら、本当に調子も良くなるし、空気清浄機も赤いランプがつくし。やっぱり汚かったんじゃないか! って思わずツイートしたら、たぶんフォロワーのひとりが、シャープさんに"この人たちもシャープ製品を使ってますよ"ってリプライを投げていたんですよ。いやいやいや、シャープさんは打首獄門同好会のことなんて知らないでしょって思ったんですけど、思いのほか、シャープさんがそれに反応してくれたっていうのにびっくりして。
-だからこそ歌詞で堂々と"プラズマクラスター"と言えるという。シャープさんのお墨付きということですかね。
メーカーさんが反応していいんだ? って。しかもそのあと、うちの曲のなんとかっていうのが面白かったとか、他の曲のMVのことまで触れてくれたんですよ(笑)。この人面白いなぁと思って。だから公認というか、シャープさんが断れないような流れを作ってしまった感じです(笑)。使っていいですか? って言ってないっていう。まずライヴで披露して、その話がまたシャープさんの耳に入って、怒ってないからいいんですよねっていう、ぬるっとした感じで(笑)。"プラズマクラスター"って、口に出したくなる言葉だと思うんですよ。
-たしかに。なんだか強そうですよね。
必殺技みたいな感じじゃないですか。これは、歌にしたいなと。
-この、ちょっとBLANKEY JET CITYのような感じとでもいいますか、ロックなサウンドになりましたが、どういう曲にしようかというのはあったんですか。
これは、シングルの2曲目という遊べるポジションにしようと思った時点で、あまりやっていなかったことで遊ぼうと。うちの曲って結構、リズム・ワークがコロコロ変わるみたいな、シンプルなリズムをダーッと続けて味を出すようなアプローチがそんなになかったんですよ。たまにはそういうのをやりたいなと思って、四つ打ちで"プラズマクラスター"ってやろうぜっていう、サビだけ最初に確定していたんですよね。サビが単調な女性の声のメロディの繰り返しだから、きゃりーぱみゅぱみゅとか最近のJ-POPとかの雰囲気で女性の声を加工しようと思って(笑)。でも、Aメロまでそのノリでやっちゃうとらしくないから、Aメロは他の遊びをしたいと思ったときに、サビでキレイなメロディになるから、汚い感じがいいなって、俺の中で浮かんだのがグランジだったんです。グランジっぽいことは、うちは普段はできないからやろうかなと思って組み合わせていたら、思いのほか面白くて、これでいこうと。
-スネアの音なんかも、だいぶいい感じの響きで鳴っていますからね。
ベースの奴(junko)も、こういうのがいいよねってノリノリになってリズムが乱れたりしてましたし、エンジニアも遊び出したりしましたけど。ちょっとやりすぎだから、そこは戻してっていうくらい、この曲はシンプルに見えてわりと遊び心があるんですよね。今さらだからこういうのが面白い、みたいな。我々、こういうシンプルなアレンジを通ってきてないんですよね。
-そうなんですね。
シンプルにやっていると飽きるから、ごちゃごちゃするような天邪鬼な作り手だったんです。最初から、いろいろとかき混ぜている曲が多かったなかで、Aメロはこのパターン、サビはこのパターンっていうシンプルな構成の曲は今まであまりなかったと思うんですよ。
-いろいろやってきたからこその天邪鬼さで、これもまたできるという。
1周した感じですね。だから、この音源は自分で聴いていても、自分がこれをやっているのが非常に面白い。1曲目の「糖質制限ダイエットやってみた」の方がうちらしいんですよね。「キレイエアー」は、聴く人が聴けば"普通じゃん"ってなるかもしれないですけど、打首獄門同好会の歴史から見ると普通じゃないので、本人たち的には面白いんですよ。