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INTERVIEW

ナノ

2017.05.31UPDATE

2017年06月号掲載

ナノ

インタビュアー:沖 さやこ

音楽にはハッピーになる効果もあるけれど、音楽でつらい場所に手を差し伸べることも必要だと思う


-これまでナノさんは1曲の中でストーリーを書いていると思ったのですが、今回は歌詞の面でもサウンドの面でも、アルバムを通して1本のストーリーを書いていらっしゃる印象がありました。例えば"ザ・ナノ"な「MY LIBERATION」(Track.1)で幕を開けて、エレクトロ要素の効いた変化球的な中西航介さん作曲の「Eye of the Beholder」(Track.2)に続くという流れもドラマチックです。

その曲順は狙いましたね(笑)。今回は1曲の中でストーリーを完結させる必要がなかったので、アルバムを通して1本のストーリーを描くことができたんです。中西さんの作る曲はとにかくサウンドがすごくかっこいいので、それに引っ張られるのは自分の強い気持ちやいかつい部分で。だから、彼が作曲してくれた「Eye of the Beholder」と「Nameless Nemesis」(Track.3)には、自分の中のそういう側面が出ていますね。コーラス・ワークもレコーディングでいろいろ試してみました。

-この2曲はもがくような描写が多かったので、それがナノさんなりの強さなのかもしれないですね。「Hybrid Heart」(Track.4)はbuzzGさんが作曲。これまでのナノさんのカラーに近い歌詞ですが、希望を掴み取るというよりは願いの描写が多いと思いました。

この曲で書いたのは、自分の過去のことですね。ふたつに割れたハート、白か黒かわからない、アメリカ生まれの日本人......ふたつの間での葛藤をテーマにしています。そういう自分の個人的なことをテーマにできるのは、このアルバムならではだなと思いますね。

-そうですね。Powerlessさん作曲の「Beautiful Disaster」(Track.7)は"grenade(=手榴弾)"や"fusillade(=一斉射撃)"など、戦争を彷彿とさせるシビアな言葉が並びます。

聴く人によってはきついテーマかもしれないですけど、戦争は世界中で大きなテーマになっていることだと思うし、自分にとっても重要なテーマでもあるので、今回どうしても外せなかったんですよね。日本国内では身近なテーマではないかもしれないけれど、日常的に戦争が起こっている国もある。日本にいる自分が、そういう環境にいるリスナーに対して言葉やメッセージを届ける――そういうことができるのが音楽の役目でもあると思うんです。音楽にはもちろんハッピーになる効果もありますけど、音楽でつらい場所に手を差し伸べることも必要だと思うし、音楽のおかげでそういう環境下の人たちとも接点ができるとも思うんですよね。それは自分にとってもいい気づきでした。

-Powerlessさんの曲だから歌えたことでもあるかもしれないですね。謎めいていて、シリアスな部分があるので。

彼のサウンドだからできたことだと思いますね。もともと彼の作るものは独特で好きなので。最近はなかなかご一緒する機会がなかったので、逆に新鮮に聴こえるところもいいなと思います。この曲で綴ったようなメッセージを、伝えるべきところにもっと伝えていきたいですね。

-初タッグの重永亮介さんが作曲をした「Because of You」(Track.9)は、ストリングスが効果的なロック・バラードで、ナノさんにとっても新境地では。

プロデューサーがストリングスにこだわりたいと言っていて、この曲には生のストリングスをがっつり入れました。普段あまりバラードは歌わないんですけど、壮大な感じが出て、きれいな曲になったなと思います。いま5周年を迎えられているのは自分だけの力ではない――いろんな人が共感できる感謝の気持ちを綴った歌詞なので、この曲に関しては特にリスナーに"自分の歌"にしてもらえたら、と思いますね。

-ナノさんが作詞作曲をなさった「Milestone」(Track.10)。この前のインタビューで"5周年は大きなマイルストーンだ"とおっしゃっていた、あれは伏線だったんですね。

そうなんですよ。そのころから"マイルストーン"という言葉はアルバムに絶対使いたいと思っていたので、あえて前々から仕掛けてたんです(笑)。だからこのテーマでは自分で曲を書いていくことにしました。アコギで歌いながら作詞をしつつデモを作って、アレンジャーにおしゃれにしてもらって、いろんなものを入れてもらって、だいぶテンポも上がって。歩いている靴音が聴こえるのも、マイルストーンを辿っているところが描かれているすごくいいタッチだなと思いましたね。アレンジャーの方の想像力に感動しました。これくらいのちょっと早歩きをしているくらいのテンポ感だと、より"マイルストーン"というメッセージも伝わるなと完成してから思いました。アルバムではおしゃれ担当の曲ですね(笑)。

-アコギとピアノの使われ方が都会的ですよね。"これが最後/過去との決別"という内容の歌詞が印象的でした。

今回、自分はすごく次に進みたいという気持ちしかないんです。過去にはいろいろあったけどとにかく進む、そのために過去とは決別しなくてはいけない。いままで自分のリアルな過去を出してこなかったので、このアルバムは"ナノってこんな人なんだ、こういう人生を歩んできたんだ"とわかってもらえたら嬉しいなとすごく思います。そういうアルバムを作ったからには過去と決別をして、前に行くしかないなと思うんですよね。

-これからもナノ作曲は期待してもよろしいのでしょうか?

頑張ります! いろんな面で自分の力を発揮していきたいと思っているので、成長していきたいですね。