INTERVIEW
the GazettE
2016.04.26UPDATE
2016年05月号掲載
Member:RUKI(Vo) 麗(Gt) 葵(Gt) REITA(Ba) 戒(Dr)
Interviewer:KAORU
-本編を「UNDYING」で締めましたが、そのあとお客さんが"なんか情報量多くない?"とか、"いや、聴かせる系じゃない?"とか、いろんな意見を交わしていたのが聞こえてきて。
一同:情報量(笑)。
RUKI:たしかに情報量はハンパなく多いですね(笑)。
-そのザワつかせる感じもthe GazettEっぽくて良かったですし。個人的な音楽体験としても強烈な、記憶に残る素晴らしいライヴでした。
一同:ありがとうございます。
葵:報われました。
-私もみなさんと同じく90年代を通ってきていますが、初めてそういうバンドのライヴを観たときの感動とか衝撃を受けたときの気持ちとかも思い出しましたし。もちろん若い子には若い子なりの感想があると思いますが。
RUKI:なるほど。なんか、こういうもんだぞっていう感じですね(笑)。
-それでは本題の『UNDYING』についてお聞きします。表題曲「UNDYING」(Track.1)は、前回のインタビューで"『DOGMA』全部盛り"と言っていたことがよくわかりました。インパクトもすごいんですけど、一度聴いただけじゃわからない情報量で目まぐるしく展開していきますが、どのような順番を経て構築していったのですか?
RUKI:うーん、わりと完成形のままの順番ですね。とりあえず「OMINOUS」(※2015年リリースの8thアルバム『DOGMA』のラスト・トラック)と繋げたかったので、そこでコードは決めておいて。
-展開の中で音階が変わっていく感じとかも印象的なんですけど、もともとそういう展開を入れようという意識で作っていったのですか?
RUKI:いや、そうでもなかったですね。まず、冒頭部分を作って、そのあとにブラストビートを入れてっていうふうにどんどん完成させていったんです。そこから速くしてサビっぽいセクションに移行していこうと思ったんですけど、それがサビとしてハマらなくて。サビをどうしようかというところで、サビは三拍子ということになり、であれば三拍子に持っていくまでにどう展開させるべきか、という感じで順番通りに構築していきました。
-なるほど。その展開に至るまでの橋渡し的な役割を担う1フレーズがすごく効果的だと思いました。そのあたりは葵さんと麗さんが考えたのですか?
葵:いや、それはわりと原曲からそういうイメージでありましたね。
-こういうプログレ的な曲は小さなフレーズが重要な役割として機能するので、ソングライティングのさらなる進化も感じました。楽曲のイメージとしてはいかがですか?
RUKI:『DOGMA』のイメージを継承しつつ、フレーズのサタニックさを逃さないように意識しましたね。
-「OMINOUS」と繋げたかったということですが、まさに「OMINOUS」のテーマとなる"Sleep...Count me downn...Again"というフレーズが遠くから聴こえてきて、そこに"I won't arise from this"という言葉が足されていますね。この意図について教えてください。
RUKI:「OMINOUS」は余韻を残したまま終わるので......。もう一度寝ようみたいな感覚。悪夢が覚めるようにもう一度寝ようとするんですけど、悪夢からは逃れられないっていう状況から始まるんですよね。
葵:映画の続編みたいな。
RUKI:そうそう。事実としては変わらないというか、そういうイメージです。
-なるほど。「OMINOUS」と「UNDYING」で"不祥"や"流転"という言葉が展開しているところもニクいというか。
RUKI:まあイメージ的には、ハッピーエンドかバッドエンド、どちらとも取れる感じですね。"インセプション"(2010年公開)っていう映画の終わりに近いんですけど。パラレル・ワールドというか、どっちが現実なのかっていうところで。
戒:聴いた人によって捉え方が違うのが一番いいというかね。
RUKI:まぁ、バッドにも捉えられるし、結果的にはよかったんだというふうにも捉えられる。そういう楽曲にしたかったんです。
-なるほど。これまでのインタビューの受け答えに対しても感じたんですけど、RUKIさんはあまり物事を断言せず聴く人に委ねるというか、はっきりとした解釈や答えみたいなものを押しつけないですよね。
RUKI:たしかにあまり断言はしないですね。聴く人が考えてくれてたらそれがいいですからね。
-誰が聴いてもリンクするような言葉が散りばめられていて、例えば「UNDYING」で1サビにあたる部分の抽象的な歌詞に対して、2サビにあたる部分では日常的な言葉を使って強い感情を表現していて。その混ざり具合が絶妙で、そこにヴィジュアル系的な美学を感じるというか......。
RUKI:なるほど(笑)。