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INTERVIEW

ナノ

2015.10.21UPDATE

2015年10月号掲載

ナノ

Interviewer:沖 さやこ

-「Bull's Eye」も「Mirror, Mirror」も、シングルの"アニメver."に収録される"劇場版 蒼き鋼のアルペジオ -ARS NOVA- Cadenza"の挿入歌である「Last Refrain」にも、"独り""alone"という言葉が出てきます。今回のシングルの裏テーマでもあるのかなと思いましたが、いかがでしょう。

ああ、それはあるかもしれないです。単純に自分が"独り"が好きなのかな(笑)? 自分の曲はどれも"独り"が出てくるというか、そういう曲が多いんですよね。独りが好きというか......自分が何か問題に向き合うとき、あんまり人に相談しないんです。自分で考えて、なんとか答えを出して納得するので、人に相談をする感覚がちょっとわからないんですよね。だからどうしてもそういう歌詞になっちゃうと思います。そういう自分の人間性がタイアップ作品とうまくリンクするのも、自分の世界観かなと思います。

-たしかにナノさんの楽曲は自己完結の曲が多いですよね。そうすると第二者の存在が描かれている「Last Refrain」は新しい。

そうなんですよ。「Last Refrain」みたいな歌詞は書いたことがなかったんで、これは挑戦だったんですよね。すごく新しかったです。これは挿入歌なので......やっぱり挿入歌は作中で流れるものなので、主題歌よりも作品に忠実に書きます。挿入歌が流れるシーンは本当に大事なシーンの場合が多いので、そのシーンに出てくるキャラクターになりきっている歌詞になりますね。歌詞を書くにあたって"自分がこのキャラクターだったらどういう感情を相手(であるキャラクター)に抱くだろう?"というキャラ作りから始めました。相手のキャラがこういう行動を起こしたり、こういう状況になった場合、どういう感情を自分に与えるか――そういうことを細かく書いて。「Last Refrain」に関しては最初から最後まで物語にしたかったんです。

-"蒼き鋼のアルペジオ"の"青"はもちろん、コントラストとなる色には"灰色"が歌われているところも印象的です。

1番孤独な色ってなんだろう?と考えたときに、灰色かなと思ったんですよね。白でも黒でもない。どこにも属さない感じがして。

-オケもストリングスとピアノで構成されていて、穏やかで壮大な楽曲です。

すごく気持ちいい音ですよね。実は自分的にバラードはあまり得意な分野だと思ってなかったんです。ただただ静かに歌うだけがバラードじゃないと思うので......ちゃんと感情はあるんだけど、"静かさを大事にしないといけないから、どうやって気持ちを持っていこうか?""いつもはテンション高く歌っているのでどうやって落とそうか?"ということを考えて、今回のレコーディングでは、2時間くらい前にスタジオに入ってヴォーカル・ブースの中で瞑想したり、うっすら歌詞が読めるか読めないかくらいまで明かりをすっごく落として、エンジニアさんに"とりあえず楽曲をループしてください"と頼んだんです。ヴォーカル・ブースにはカメラがあったり、窓があって中の様子が見えるようになっているんですけど、そういうものをすべて切って。気持ち作りから始めて歌うという、今までやったことがないことをやりました。

-やはりナノさんにとっては"イメージ"というものが最重要なんですね。

そうですね。まずは材料となるイメージをバッ!と集めて、そこから"ここから何を作ろうか?""これを使ってどういう料理をして、どういう調味料を入れよう?"と考える。本当に料理みたいな感じですね。

-今回はこれまでに見たことがないナノさんの表情が出ているので、ファンのみなさんもびっくりなさると思います。

そうですよね。「Last Refrain」は劇場で聴いて欲しいという気持ちがすごく強くて。そういうタイプの曲が自分には少ないので、これはどういうふうにファンの人たちが感じてくれるのかな......とドキドキしてます。この曲に関しては自分の声が前に出て欲しいとは思わなくて、まるでひとつの楽器のように入れたかったので。街の中で聴いた場合、ファンの人でも気づかないかもしれない、という新しい歌い方ですね。

-そういう挑戦に、まったく恐怖はない。

ないですね。WEST GROUNDが持ってきた曲に"え? これをナノがやるの? 今までにない!"と思ったことも、正直あります。でもそれに対して嫌だと思ったことは一度もない。それは新しい自分の引き出しを増やすチャンスでしかないので、新しい自分を探すことに何も損はないと思います。それによっていろんな声を発見してるので、ありがたいです。ヘリウム吸って歌えとか、そういうことさえなければ(笑)、なんでもやりますね。

-中性的な側面がさらに出たシングルになったと思います。

男性らしくとか女性らしくとか......歌ううえでそういうことは、1番考えていないことです。自分も小さいときから音楽を聴いているときに、好きな音楽を男性と女性で分けて聴いてきたわけでもないし、音楽以外に関しても男性だから女性だから、という区別が1番どうでもいいことだと思って生きてきたので。音楽も、ただ自分が好きか好きじゃないか、やりたいかやりたくないか......それだけでやってきたので、これからもそのときの雰囲気に合わせていきたいですね。自分にはチャレンジしか与えたくないと思っているので、これからももっともっといろんなことに挑戦していきたいです。