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COLUMN

ESKIMO CALLBOYのいきなり!チャラアゲ伝説。 vol.25

ESKIMO CALLBOYのいきなり!チャラアゲ伝説。 vol.25

ESKIMO CALLBOY Kevin Ratajczakのコラム

ミュージシャンになることを決意する前の俺たちは全員、概ね普通の仕事に就いていた。学生もいたし、失業していた奴もいたけどね......でも俺たちにはひとつ共通点があった。仕事のある日は終わると荷物をまとめて、車で家に帰る。それだけだった。置いてきた仕事に心がとらわれるような気がしたことはなかったんだ。それに、俺たちの仕事には必ず始まりと終わりがあった。客にオファーをすることから始まって、客の希望するものをすべて網羅できたときに完了する。そして最後にはそれらすべてに対するご褒美が与えられるんだ。工事現場の作業者が、自分が築いている道路を車が走れるようになったときに、すべて準備が整ったことを知るようにね。
 
だけどミュージシャンになることを決意したとき、それが完全に変わった。ミュージシャンとしては決して自分の仕事を忘れることができない。プロジェクトはいつも自分について回る。作業中でも、眠っているときでも、クソしているときでも、女兄弟の飼っていたハムスターの葬式に出ているときでも。
 
時には何かしら進歩とやらを遂げようと何時間もスタジオにこもっているのに、特に何も起こらないことがある。でもその一方、近所の犬がクレイジーなくらい吠えまくっていて夜中に目が覚めたとき、いきなり素晴らしいアイディアが浮かぶこともある。そうすると、俺は通常そのアイディアをケータイに録音するんだ。ここで俺が何を言いたいのかおわかりかもしれない。クリエイティヴなアウトプットというのは、必要なときに搾り出せるものじゃないんだ。
 
ひとつ興味深い疑問は、曲が本当にできあがるのはどういうときなのかということだ。必要な楽器の音を全部入れたら完成なのか? これ以上この曲に労力をかけるとトゥーマッチになったり、さらにはもっと悪いものになってしまったりするタイミングは?
 
楽器を次々に加えさえすれば終わりと思うかもしれない。でも、ある曲にさらにトラックを足すと、その曲の出来が悪くなってしまったり、各々の楽器の音が悪く聞こえるようになってしまったりする。その曲の様々なトラックを重ねていくことがすべてじゃない。それらを互いに調和させることが大事なんだ。それが概ね一番大変なところだね。デッドラインがなかったら、曲、いやアルバム1枚決して完成できないだろう。
 
そしてもちろん新作『The Scene』でも、俺たちはその苦労を経験した。眠れない夜があまりにも続き、バカげたことを巡って数えきれないほどの喧嘩。でも最終的には全員が、自分たちの作品に満足することができた。すべてにやった価値があったんだ。『The Scene』ほどESKIMO CALLBOYのふたつの面を反映しているアルバムは今まで一切なかったと言えるね。

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