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INTERVIEW

ESKIMO CALLBOY

2019.11.06UPDATE

2019年11月号掲載

ESKIMO CALLBOY

メンバー:Kevin Ratajczak(Vo/Key)

インタビュアー:村岡 俊介(DJムラオカ)

前々作『Crystals』、前作『The Scene』が2作連続でドイツ・チャート6位の好成績。本国での活躍のみならず、東名阪でのジャパン・ツアーも行い、日本でも認知度を高めつつあるESKIMO CALLBOYが、結成10周年を眼前にして、ニュー・アルバム『Rehab』を完成させた。メタルコア、ポスト・ハードコア路線のみならず、BRING ME THE HORIZONがロック、ポップ・シーンで成功して以降のロック・サウンドが主軸となっている本作。その音楽性の変遷や、"制作過程がリハビリのようなものだった"ことから名付けられたタイトルの真意についてなど、Kevin Ratajczakにじっくり話を訊いた。


新しい章に入る前というのは、人々にジャッジされる前で、次に何が起こるかわからないし、とてもエキサイティングな段階だよ


-激ロックとしては前作となる4thアルバム『The Scene』リリース・タイミング(※2017年9月号掲載)以来ですので、約2年ぶりの取材となります。前回はSushi(Sebastian "Sushi" Biesler/Vo)へのインタビューでしたが、Kevin含めメンバーみなさん変わらずお元気ですか?

みんなすこぶる元気だよ。いつもサポートをありがとう! 俺たちは日本にあまりコネがないんだけど、友達は何人かいて、お互いインスタをフォローし合ったり近況報告をしたりしているんだ。その中でも激ロックは一貫して俺たちをサポートしてくれている。また激ロックのインタビューができてハッピーだよ!

-来年で結成10周年おめでとうございます。2012年にドラムがDavid Friedrichにメンバー・チェンジした以外は、結成以来メンバー・チェンジなく活動してきていますね。ということはメンバーみなさんすごく仲がいいのでしょうか? また、長い間メンバー・チェンジをせずに活動していく秘訣はありますか? メンバー・チェンジを繰り返すバンドも多くいるなかで、とても安定していますよね。

面白い質問だな。俺たちの考えなんだけど、怒りを自分の中に全部溜め込んでしまうと、その怒りが"育ってしまう"可能性があると思うんだ。それが"育ちすぎて"しまうと、喧嘩や話し合いをしたところで取り返しのつかないことになってしまう。その点俺たちはいつも喧嘩しているんだ。何かうまくいかなくなるときは必ずどこが気に食わないのか言い合う。だから、長年一緒にやっていけるんだ。俺たちはキャラもまったく違うし、癖も態度も......人はそれぞれ違うよね。それが自然なことだと思う。だけど、一緒にいるのが好きだし、一緒に音楽を作るのが好きなんだ。それが一番大切なことだからね。それが秘訣なんじゃないかな。互いに正直でいて、ちゃんと喧嘩することだね。喧嘩には浄化作用があるんだ。ちゃんと言い争いすれば、悪いムードからクリーンになることができる。いらないヴァイブも払拭できるんだ。

-仲はいいけど、いいときも悪いときもオープンでいることができるんですね。

そう、その通りだよ。

-前作『The Scene』は、『Crystals』(2015年リリースの3rdアルバム)に続いてドイツ・アルバム・チャートで6位を記録しました。世界的にもメタル、ロック・シーンの勢いがさほどないなか非常に素晴らしい結果だと思いますが、ご自身たちではこの結果をどう受け止めていますか?

今のところ達成してきたものについてはとても誇りに思っているよ。俺たちにとってはどのアルバムも異なる意味合いがあるんだ。俺たちは小さなゴールを掲げながらやってきた。『The Scene』のときはやっぱり前作よりいいものを作りたいと思って作ってきたしね。と言いつつ、アートとしての音楽は数字で表せるものじゃないんだ。ランキングというのは、数えられないものを数字で示してしまう。好もうと好まざろうと、アートは数えられるものじゃない。でも、ランキングはそれを数えられるものにしてしまうんだよね。で、人は時にはその数字に影響を受けすぎてしまうことがある。そりゃ俺たちもランキングとか売り上げとか、そういう数字は好きだけどさ。でも、俺たちが人と話すときにもっと重要視しているのは、"お前たちのやっていることは理解できるよ"とか、"お前たちのスタイルが好きだ"とか、そう言ってもらえることなんだ。でも、これまでの実績には満足しているよ。

-たしか前回Kevinとお話ししたとき(※2014年1月号掲載)も、シーンに記録を残すことができたから、親御さんが喜んでいたと言っていましたね。

そうだったね。俺たちは日本でそれまでとはまったく違う経験をすることができた。ミュージシャンとしての存在を受け入れてもらえたんだ。"ミュージシャンでいる"っていうのはドイツでは違うことを意味するんだよね。例えば、昔通っていた学校の同窓会みたいなのがあるとするだろう? そうするとみんなそれまでの間にどんなことを達成してきたかなんて話になる。で、"今ミュージシャンをやってる"なんて言うと"お、おう......"みたいな反応になるんだよね(苦笑)。"他に聞きたいことはないのかよ!?"みたいな。でも、俺はいつだって両親に誇りに思ってもらおうとしてるんだ。俺にとっての数字は、親に自分の生業を理解してもらう目安みたいなものでさ。"俺2万人の前でプレイしたんだ!"と言っても、"ふーん"という反応だけど、"俺たちドイツのチャートに2~3週間ランクインしたんだ!"って言ったら、もっと理解してもらいやすいからね。

-ともあれESKIMO CALLBOYは、ドイツで成功しているロック・バンドのひとつになってきていると思います。ちなみにドイツ出身で、あなたたち以外で最近勢いのいい若手、中堅バンドがいましたら教えていただけますか?

そうだなー......ドイツのシーンはいつもチェックしているけど、いい若手バンドが常に出てきているよ。今パッと思いつく名前がないけど、俺たちがこのバンドを始めた頃、いろんなバンドから"こんな音楽をやりたいな"って影響を受けていた。俺たちがヘッドライナーの若手もいっぱい出てきているフェスで、昔の俺たちと同じように彼らが俺たちみたいなバンドの影響を受けているなというのがわかって、すごく誇らしく思えるんだよね。"あの曲はなんだかすごく親しみを感じるぞ"なんて思いながら、バックステージで新人の音を聴いていたりする。すごくクールなことだよ。

-ただのファンとしてだけではなく、ミュージシャンとしてもあなたたちをフォローしている人たちが増えているんですね。素晴らしいことじゃないですか。

本当だよね。俺は音楽がキャラクターを持っている状態が好きなんだ。その音楽の裏にいる人々の存在が見えて、音楽に"顔"ができてくるからね。とても大切なことだと思うし、俺たち自身、重要視していることなんだ。

-『The Scene』リリース直後に、東京、大阪、名古屋を回る3度目のジャパン・ツアーを行っていますが、思い出に残っていることはありますか?

1回目と2回目は、その街について学ぶことが多いよね。どう振る舞えばいいのか、どこに行くべきなのか、そういうのを覚えていく。でも、前回は残念ながらあまり時間がなかったんだ。例えば、俺たちは大阪がお気に入りの街のひとつで、すごく気に入ったバーがあるんだよ。そこに行こうとしたけど、時間が取れなかった。あれはちょっと残念だったね。でも、このときは渋谷だけじゃなくて、なんて名前の場所だったっけ。東京にあるんだけど、ちょっと渋谷から離れてるんだ。バーがいっぱいあるところでさ。

-六本木? 新宿?

あぁ、新宿だ! ありがとう! その界隈はそれまで知らなかったんだ。俺たちにとってはとても新鮮だったね。あと、さらにクールだったのが、これが俺的に前回一番スペシャルだったことなんだけど、ホテルじゃなくて、"Airbnb"に泊まったんだ。普通の家に泊まるやつ。

-日本でも人気が出てきているらしいですね。

そう。そのおかげで、俺たちはただのお客さんじゃなくなったんだ。本物の日本の家に泊まったから、日本の家での振る舞い方に合わせないといけなかった。例えば、靴を脱いで部屋に上がるとか。大きな部屋で全員一緒に寝たしね。すごく居心地がよかったよ。そこに2日泊まったから、少しくつろぐこともできたし、ツアー・マネージャーのユウスケが――彼とはもう何年も前からの付き合いなんだけど、彼とも一緒に過ごせて本当にクールだった。

-通常とは違う過ごし方で日本を味わうことができたんですね。では、『The Scene』リリース以降今日まででバンドに起きた三大事件を教えてください。いいことでも悪いことでも。

そうだね......良くも悪くもひとつ言えるのは、他人の言うことをあまり重要視しなくなってきたことだな。音楽を作ってそれで食っていこうとするとき、他人がどう思うかを考えるのは大切なことではあるんだ。その人たちが作品を買ってくれることが食い扶持になるわけだから。でも、彼らの意見が、インスピレーションを制限してしまう。わかるだろう? 頭の中にプレッシャーがありすぎると、新曲を書くのに必要な自由なスピリットが失われてしまうんだ。『The Scene』のサイクルの途中から新作の曲を書いていたなかで、俺たちがストップしたのはそういうことだった。自分たちの好きなことだけやることにしたんだ。他人がどう言おうと、どう考えようと、あるいはどう思われるか想像がついてもね。ちょっとダウンな時期があってさ。そういうことに煩らわされてしまって、音楽が情熱を注ぐものというより、仕事に成り下がってしまいそうになったんだ。音楽はフィーリング、感情が大事なのにさ。その感情にはいいものも悪いものもあるけど、頭が煩わしいものでブロックされてしまうときの感情なんて、まったくいいものじゃないんだ。だからこそ、このアルバムは"Rehab"というタイトルにした。アルバムの新曲を書くことが俺たちにとってリハビリだったからね。曲を書くことによってそういう悪いヴァイブをすべて払拭したんだ。あとは、素晴らしいショーをたくさんできたこと。いいフェスにも出られたし、規模がビッグになったと思う。すべての規模が少しずつ大きくなって、よりプロフェッショナルになった。クールなLEDのプロジェクション・スクリーンもステージで使うようになれたしね。メンバーもさらに理解し合えるようになったし、すべてがプロフェッショナルになったんだ。それぞれが自分の役割をわかっていて、好きなことをできるようになった。このアルバムのサイクルが終わったら、さらにいい状態になっているだろうね。

-いろんなことがプロフェッショナルになってスムーズに動くようになったことで、音楽そのものに専念できる割合が増え、今回みたいなアルバムができたんですね。すべてがポジティヴな形で表れています。

ありがとう。そう言ってくれると嬉しいね。新しい章に入る前というのは、人々にジャッジされる前で、次に何が起こるかわからないし、とてもエキサイティングな段階だよ。

-今がまさにそれですね。アルバムが完成して、でも、発売日までにはまだ1ヶ月以上あって(※取材日は9月下旬)。

まさにその時期だね。