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COLUMN

AS I LAY DYING Tim先生のガチムチ!メタルコア道場 vol.1

AS I LAY DYING Tim先生のガチムチ!メタルコア道場 vol.1

ミュージシャンにとってツアーで大事なことは、ツアーの度にきっちり準備をするってことなんだ。俺は今となっては色んな国の色んな街に飛行機で飛んで行ってパフォーマンスすることに慣れてきてるけど、これ実は自然な生き方じゃないし簡単なことじゃないんだよね。慣れるまで結構時間が掛かるんだ。俺がツアーに向けて飛行機で旅立つ前にいつもやることがある。旅から旅の生活に掛かってくるストレスを軽減させるためにね。

その準備はツアーの10日前くらいから始まるんだ。先ずは自分の声のコンディションが大丈夫かどうかの確認をしないといけない。1時間のコンサートの間、良い状態の声を保たないといけないからね。声っていうのは他の筋肉と似ているところがあって、コンディションが整っていない、充分な準備運動ができていない状態で無理に使うと痛みが出てしまうものなんだ。ツアー前1週間くらいを使って、歌を練習することでボーカルのスタミナをつける。ツアーが無い時はそこまで声を使っていないから、またハードに使っても大丈夫な状態まで徐々に持って行く。こうやって声の力をつけておくことも、ツアーの旅でのストレスを減らすための作業になるんだ。

毎回家を離れて旅に出る時には、何となく不安な気持ちになるんだ。それは暫く子供に会えないってこととか、何か重要なことを忘れてしまうんじゃないかって思ったり、行った先で何か自分がいつも使っているものと違うものを使って不都合があるんじゃないかとか、色々そういうものが交じり合って生まれるものなんだけどね。でも俺はあえてあんまり荷物はたくさん持って行かないことにしてる。見知らぬ土地に行って、家と同じように感じられないということは別に普通のことだから、家ごと持ち歩こうなんて考えるのは無理があるって、ある時気が付いてね。以前、航空会社に俺の荷物をなくされたことがあったんだけど、その時意外と普通に楽しく旅が出来て、それがきっかけで気付いたんだ。それ以来、その考え方は変えていない。最悪のシナリオを考えた場合にも大事なものは持って周らない方がいいしね。

健康でストレスの無い状態で旅をすることが重要だから、俺にとって声の準備の次に重要なのは食べ物なんだ。ちゃんと食事が取れたツアーっていうのは、今振り返っても良いツアーだったと言えるものになってるんだよね。何か「たかがそんなことで?食べ物で?」って思えるかもしれないけど、実際そうなんだから仕方ないんだ。自分の精神的な状態が自分の肉体的な状態と関係なく保てればいいのにと思うんだけど、この2つは切っても切れない関係なんだよね。精神的なものが肉体的なものに打ち勝つっていうのは哲学的にはカッコ良いんだけど、それは簡単なことじゃないし、俺はリアリストだから(笑)。それに俺は体重が100キロ以上あるんだけど、ちゃんと食べてないとあっという間に体重が減っちゃうんだ。まあこれは俺の人生にとって最大の問題ではないけど、たくさん食べて家にあるジムでたくさんトレーニングして折角作り上げた体で、結構気に入ってるから、これをキープしたいんだよね。

音楽の話に戻るけど、メタルのライブ・サウンド作りには様々な機材が必要なんだ。俺自身はマイクを持っていけばいいだけなんだけど、機材全体のことにも関わっているんでね。遠くまで行ってライブをするんだから自分たちができる限りのベストなショーをしたいって思うんだ。俺たちのツアー・マネージャーが各地で予め俺たちで話し合って決められているベストなセットアップの手配をしてくれる。特にAS I LAY DYINGの場合は独自のステージ用モニターまであって、それをいつも使ってる。何年も色んなところをツアーして来て、結局各地のクルーと仕事をして来たんだけど、その度に違うサウンドに仕上がっちゃうから、もう自分たちで全部やることに決めたんだ。自分たちのクルーメンバーの頭の中には俺たちのやりたいこと、サウンド・セッティングが全て入ってるから、特に話をする必要すらないくらいなんだよね。これによってライブ当日の無駄な時間も省けるし、心配事も減るんだ。

最後に、ツアーに伴う問題として挙げられるのが金銭的なこと。自分たちの機材を全てツアーに持って周るっていうのはコストが物凄く掛かるから難しいことが多いんだ。でも俺たちのサウンドをキッチリと作るのは必要なことだと思ってる。あと、俺は家で作った美味しくて健康的な食べ物に慣れちゃってるから、ツアー中も似たようなものを求めるんだけど、そうすると食事代も馬鹿にならない。ツアーに掛かるお金っていうのはかなりなもなのなんだけど、これについては実はそんなに気にしてないんだよね。大事なのは自分のコンディションを整えること、ライブで自分たちのサウンドをキッチリ出すことなんだ。これさえできてれば何の問題もない。失うものは汗、必要なものは努力くらいだ。俺はこんな「不自然な」人生を送ってるけど、この仕事で生活できていることを楽しんでいるし、誇りに思ってる。この情熱のためだったら多少余計なお金が掛かってもいいと思ってるんだよね。

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