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LIVE REPORT

maximum10

2025.08.23 @LIVE HOUSE FEVER

Writer : 菅谷 透 Photographer:稲垣ルリコ

国内でMUSE、SIGUR RÓS、THE PRODIGYといったバンドをフック・アップし、さらには、FACTで2000年代ラウド・シーンの礎を築いてきた"maximum10"が、久しぶりとなる主催イベント"maximum10 presents MAYDIE / Issue 1"を開催した。レーベル・コンピレーションCD『MAYDIE』第3弾の発売に併せ、大阪と東京にて行われた本イベントには、所属アーティストのNikoん、POP DISASTER、sfpr、waterweedが集結。それぞれが異なるアプローチで世界観を展開しながら、オーディエンスの心を揺さぶる轟音を奏でる一夜となった。

2014年に開催され、この日の出演者であるPOP DISASTER、sfpr、waterweedも参加したレーベル・ツアー"maximum10 tour"のTシャツを着たファンがいたり、会場のそこかしこで旧交を温め合う光景が見られたりと、同窓会的な雰囲気もあった今回のイベント。そんななか、一番手を務めたNikoんは、今年6月にレーベル加入が発表されたばかりのニューカマーということもあって、開演前にはどことなく緊張感が漂っていた。しかし、そんな空気を逆手に取ったかのように、オオスカ(Gt/Vo)のノイジーなギターが炸裂する「Vision-2」で口火を切ると、マナミオーガキ(Ba/Vo)のストレートなヴォーカルが胸を打つ「bend」で一気に観客の心を掴んでいく。MCではmaximum10へ加入した経緯についてオオスカが、"担当者が一番胡散臭かった"が"熱量がめっちゃあった"と説明。たとえ歓迎されなかったとしても、"俺等はありのままやるだけなんで。それで受け入れてもらえるかどうか、あと何十本も(ライヴを)やっていけたらと思います。この生涯を懸けて"と覚悟を覗かせた。ラストはホーリーな「(^。^)// ハイ」で締めくくり、強烈なインパクトを残すステージを見せた彼等に、オーディエンスからはこれからの躍進への期待と歓迎が表れた拍手が送られていた。

続いて登場したwaterweedは、フィードバック・ノイズから叙情的な「Reflection」をプレイすると、「Music is Music」で爆発的なファスト・ビートを投下。フロアの熱気を一気に高めると、「Dreaming dead」でさらに加速、ヘヴィなブレイクダウンも放ち弾みを付けていく。MCになるとTomohiro Ohga(Ba/Vo)は、"なぜmaximum10に所属し続けるのか"と聞かれることもあると明かした上で、"音楽人生で救いの手を差し伸べてもらった"恩があり、"彼等がやり続けるかぎりはずっと共に行こうと誓ってます"と深い感謝を語っていた。熱いシンガロングが映える「Canvas」を経て、「Endless trip」と「Refuse」ではドラマチックに疾走、観客は拳を掲げ熱烈な反応を示していた。息を付かせぬショート・チューンの「Boring talk」から、視界が開けるような爽快さを持った「My excuse」、エモーショナルな日本語詞が突き刺さる新曲「Frontier」、内なる感情を噛みしめるように突き進む「Leave me alone」と、多彩な楽曲を届けた中盤では、まだスクリーモ/エモ/ラウドといったジャンルの定義すら曖昧なシーンの黎明期から、自らの足で道を切り拓き走り続けてきたバンドの矜持が窺える。終盤のMCでは、前日は山形県酒田市でライヴを行い、東京へ移動してこの日のステージに立ち、翌日は青森県八戸市でまたライヴ......というハードな行程についても言及。"まだまだやりたいこと、できてないことが多いから続けてる"と音楽への飽くなき情熱を語った後、「Empty light」、「Hope」で畳み掛けた全12曲のパフォーマンスからは、今やmaximum10を牽引するバンドとなった貫禄と揺るぎない気概が感じられた。

"東京でのライヴは6~7年ぶり"と語っていたPOP DISASTERのステージでは、1曲目の「Static」からモッシュやダイブの波が巻き起こる。続く「I'm Gonna Say Goodbye」ではスカ・ダンスやコール&レスポンスも広がり、ピースフルな空間を作り上げていく。その勢いは久しぶりにリリースされた新曲「elate」でも衰えることなく、ポジティヴなエネルギーの中にどこか切なさを秘めたメロディが観客の心を揺さぶり、また"あの頃"へとタイムスリップしていくような熱狂を生み出していった。Takayuki(Vo)は大阪スタイルのMCで会場を温めた後、"俺等やsfprは活動をがっつりやってなかってんけど、waterweedがmaximum10を背負って、止めずにやってきてくれたからこのイベントが成立している"と長年共に歩んできた仲間へのリスペクトを口にする。そこから導かれた「Alkaroid」、「No Regret」、そして新曲「555」のミッド・ナンバー3連発では、過去から現在、そして未来までを俯瞰するようなメッセージ性も感じられた。新曲をYouTubeで公開した際、コメント欄に"POP DISASTER生きとったんかワレ!"と書き込まれていたそうで、"生きとるわボケェ!"と力強くアンサーを返したところでラストは「Disconnect」、「Beating」、「Calling」と痛快なポップ・パンク・チューンを連打。特大のシンガロングを響かせ、ステージを後にした。終盤ではマイペースな活動姿勢となったことに触れ、"次みんなにいつ会えるか分からへんけど、maximum10が今後もこのイベントをやっていくらしいんで"と語っていたが、後日、2026年にsfprとのツーマン開催が発表された。こうしたイベントが開催されることで、バンドやファンの人生や活動スタイルが変化していくなかでも、変わらぬ居場所がある安心感が生まれるはずだ。

この日のトリを務めたのは、約6年ぶりに活動を再開したsfprだ。"ただいま! 6年ぶりに戻りましたsfprです!"というSG(Ba/Vo)の一言から「blood down blood」で会場をダンスフロアに一変させると、そこからシームレスに繋げられた「feeder」ではPOP DISASTERのTakayukiもコーラスに飛び入り参加。祝祭に華を添えていた。ドラムンベースのようなビート・アプローチが躍動感を生む、「bring down your flags!!」を経て、「Shooting Star」では静謐なアルペジオに乗せたFZ(Gt/Vo/Prog)の優しい歌声が広がっていく。EDM等のダンス・ミュージックとロックの融合というスタイルでありながら、今聴いても新鮮さが感じられるのは、普遍的なメロディの強度があるからこそだろう。強靭なビルドアップから開放的なサビへと繋がる新曲「water_debris」や、1stアルバム『apocalypse』収録曲「sooxxthsayer」等を織り交ぜ、約60分を駆け抜けたパフォーマンスは、バンドの魅力を再確認しつつ、さらなる進化を感じさせるものとなった。アンコールではmaximum10と初めてデモを作った曲という「wish」を披露し、"また絶対会いましょう!"と宣言していた彼等。来年はバンド結成15周年を迎えるとのことで、POP DISASTERとのツーマンを含め"再起動"後の新たな動きにも注目したい。

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