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LIVE REPORT

零[Hz]

2024.06.30 @新宿BLAZE

Writer : 長澤 智典 Photographer:Megumi Iritani

4月よりスタートした零[Hz]の全国ツアー"ZEROHZ LIVE TOUR 2024「Across to the VANITY」"。同ツアーは、"PHASE1"、"PHASE2"と2回に分けて実施。すでにファイナル公演を11月20日に豊洲PITで行うことを発表している。そこへ向けて最初の大きな起点となる"PHASE1"のファイナル公演が、6月30日に満員の新宿BLAZEで行われた。

5人が冒頭で叩きつけたのが「VANITY」。昂る5人の感情が一瞬でシンクロ。そこへ観客たちも荒ぶる気持ちを寄せる。タイトなビートの上で轟音が駆けめぐった。理性のたがを外したオーディエンスたちは、激しく頭を揺らし、時に振り上げた手を高く掲げて飛び跳ねる。早くも熱狂した景色の誕生だ。
ザクザクとした鋭い演奏とROY(Vo)の歌が響き渡った「Othello」。妖艶なデジタル音と楽器陣の演奏が重なるのを合図に、楽曲は一気にバースト。
「TRINITY∴ONENESS」に合わせて、場内の人たちが一斉に飛び跳ねた。巧みに表情を変えてゆく曲に合わせて、ノリ方も変わってゆくように、観ている者たちも零[Hz]の楽曲を一緒に彩る大切な一員だ。
"ここに全部吐き出せ!"と煽るROY。その声を合図に飛び出したのが、エモーショナルな「Aim for HEAVEN」。朗々と歌い上げるROYの声が胸を騒がせる。いつしか楽曲は、嵐のような激しい衝撃を持ってオーディエンスを飲み込んでいった。止まることなくヘヴィ・グルーヴが耳を襲う「君に降る夜に。」へ。ROYの歌声が心地よく気持ちを揺さぶりながらも、激烈な演奏に衝撃を覚えるたびに、身体を折り畳み、頭を振り乱したくなる。落ちサビをきっかけにさらにエモさを増した曲に合わせ、会場中で手の花が揺れていた。

「IDEATRUMP」では、歌声と演奏が1つになり、強烈な刺激を成して襲い掛かる。感情のままに声を響かせるROYの歌から始まったのが、「妄想のパンタグラフ」。この曲に触れている間、華やかで激しい跳ねた演奏に合わせて身体は揺れながらも、意識は異なる世界へトリップ。ROYの歌声に抱きしめられるまま、甘い夢を見ていた。
美しいバラードの「星仰ぐ夜」では言葉の一つ一つを大切に、ROYが歌詞に綴られた"君"へ思いを馳せるように歌っていた。その声に、楽器陣も優しい音色により深みを持たせて寄り添わせる。観客たちも耳と心を傾け、"君"へ向けて歌うROYに自らの気持ちを重ね合わせていた。
切っ先の鋭いスリリングな音が次々と身体を貫く。挑みかかるように、いや、自身の感情を奮い立てるように「HERO」を歌うROY。その思いを、尖った音で煽る楽器陣。メンバーの煽り声もフロアを沸き立たせ、熱を振りまくように演奏は突き進む。さらにオーディエンスの気持ちを暴発させるように、「DRESS HOMUNCULUS」を演奏しだした。会場の人たちは、時にROYと一緒に声を上げて歌い、激しく頭を振り乱し騒ぐ姿も見せていた。過激な音が次々と襲いかかるたびに理性が乱れ、感情を全力でぶつけたくなる。激しい演奏の中で胸に届くROYの高揚した歌もこの曲の魅力だ。

牙を剥いて攻め続ける楽器陣。ROYも攻撃的でありつつも、サビでは感傷的な歌声で聴き手たちの心を魅了。「VENOM」はとても派手でギラギラした音の花が咲き狂う楽曲だ。興奮に興奮を塗り重ねるとでも言おうか、誰もが思いを剥き出しに騒いでいた。ROYのスクリームをきっかけに演奏が炸裂。「POSE」でも、荒れ狂う音の上で、ROYが情熱的な思いを胸に歌っていた。この曲でも零[Hz]は、麗々しい衝撃をぶち噛ましてくれた。最後に零[Hz]は、見ている景色を1つにし、より深みを持った景色へ染め上げるように「ZERO QUALIA」を披露。歌心を全面に押し出した楽曲を奏で、フロアと心と心を寄り添わせ、溶け合えたのが嬉しかった。ライヴという場に集えば、同じ気持ちで繋がり合える。5人はその意味を「ZERO QUALIA」を通して証明していった。

キャッチーで彩度の高い「トリップランド」からスタートしたアンコールでは、横モッシュなど、わちゃわちゃとしたお祭り騒ぎの空間が生まれる。間奏で、Rio(Gt)とLeo(Gt/Prog)が背中合わせでギターを掛け合う場面も印象的だ。後半には、ROYが指揮棒を手にし、熱狂を導くコンダクターとなり、会場を踊り騒がせていた。
ここからさらにエネルギーを高めようとぶち噛ました「skeles me dop HEADz」。全力で左右に頭を振るオーディエンス。荒々しい音が襲い掛かるたびに、場内の熱気も上がる。跳ねる演奏に合わせて起きた熱いクラップ。軽快な音を鳴らす「DarthHerz」を通して作り上げた、トリップするような心地よい一体感。続く「Mr.SWAGMAN」では、感情的な歌や演奏に合わせて、観客たちも手を揺らめかす。初期ナンバーを立て続けに届けてくれたのも嬉しかった。そこから零[Hz]は「AXIZ」を演奏。再び気持ちを高揚へと導くエモメロの楽曲をフロアと分かち合った。

興奮止まない会場の声へ呼ばれるように、再び舞台へ。最後の最後に零[Hz]がぶち噛ましたのが、「終天浮游」。メンバーたちは、攻めた激しい演奏やエモーショナルな歌を突きつけながらも、満員の観客たちが拳や手にしたタオルを振り回し、一緒に歌い上げ、熱狂する様を心へ焼きつけるように歌い、奏でていた。ステージとフロアで互いに熱狂の笑顔を交わし、思いを分かち合う景色を作り上げ、ライヴの幕を閉じていった。

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