MENU バンドTシャツ

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

零[Hz]

2024.08.13UPDATE

2024年08月号掲載

零[Hz]

Member:ROY(Vo/Lyric) Rio(Gt) Leo(Gt/Prog) TEIKA(Ba) RYOGA(Dr/Mani)

Interviewer:杉江 由紀

確かな絆は、零[Hz]をここからさらに頼もしいバンドへと進化させていくことだろう。今春にミニ・アルバム『ZENITH』を発表したのち、全国ツアー"ZEROHZ LIVE TOUR 2024「Across to the VANITY PHASE1」"を行っていた彼らは、6月30日に新宿BLAZEにてファイナルを迎えたものの、8月14日からは、"ZEROHZ LIVE TOUR 2024「Across to the VANITY PHASE2」"へ旅立つという。11月20日に開催する豊洲PIT公演でのグランド・ファィナルに向け、零[Hz]は疾走する――

-零[Hz]は今春にミニ・アルバム『ZENITH』(2024年4月)を発表した後、6月30日の新宿BLAZE公演まで全国ツアー"ZEROHZ LIVE TOUR 2024「Across to the VANITY PHASE1」"を実施されていました。8月14日からは、"ZEROHZ LIVE TOUR 2024「Across to the VANITY PHASE2」"も、始まることになっておりますが、ここではまずメンバーの皆さんが、"PHASE1(ZEROHZ LIVE TOUR 2024「Across to the VANITY PHASE1」)"を終えてみて感じている手応えについて、ぜひ伺わせてください。

ROY:今回の"PHASE1"は公演数が22本と結構多かったんですが、ミニ・アルバム『ZENITH』を引っ提げてのツアーだったんで、そこに入っている新曲たちが、本数を重ねるごとに新曲じゃなくなっていく感じがあったというか、いい意味でどんどん新曲たちに慣れていく感覚を得られたことが、まさに自分たちにとっての大きな手応えになっていきましたね。新曲たちの中にはライヴならではのアレンジを施したものもありましたし、既存曲たちに関しても新しいライヴ・アレンジを試す機会もあって、演出についてもいろいろメンバーとご飯がてら話し合いをして決めたこともあれば、当日の会場に入ってから現場を見て決めたこともあったんですよ。もちろん、今までもライヴに対しては真剣に向き合ってきてはいたんですが、今回の"PHASE1"は、よりバンド全体でガッツリとツアー内容を突き詰めていくことができたんじゃないかな、と感じてます。

Rio:今の話にあった通り、"PHASE1"では新曲もそうじゃないものも、ライヴ・アレンジを突き詰めていけたのがすごく良かったですね。今までのツアーだと、曲ごとのライヴ感そのものを大事にしてきたところがあったんですけど、今回は曲間とかも含めて、1本のライヴとしての完成度を高めていくっていうことにみんなで集中できたと思います。

TEIKA:今回の"PHASE1"からは照明さん、PAさん、楽器のテックさんとかステージ周りに関して協力してくれるスタッフさんたちが、基本的に毎回おんなじになったんで、前と比べるとメンバーの負担がすごく減ったっていうのもでかかったです。5人がとにかくライヴに集中できるようになったんですよ。あと、今回のツアー中には意識して5人での時間を作るようにしてたのも、今までと違った点ですね。スタッフさんたちを交えてもあったけど、5人でご飯行こうよって機会も多くて、そんなミーティングってほど硬い感じではない状況で、ライヴの演出もそうだし、"あの曲のアレンジはこうしたほうがカッコいいんじゃね?"みたいな話をいろいろラフにできたのがすごく良かったです。バンド的にとてもいい空気感を作れたなかで、"PHASE1"を無事に終われました。

RYOGA:フルのドラム・セットを今回は全箇所に持ち込めてたんで、各曲のアレンジ、そして曲間と、"PHASE1"では1本のライヴが終わるたびに細かく調整をしていけたのが良かったですね。最終的に、その結果をファイナルの新宿BLAZE公演に反映できたんじゃないかと思います。そして、TEIKAが言ってたように今回は楽器のテックさんと照明さん、音響さんに各地で乗り込んでもらえてたんで、ドラムのチューニングとかも一緒に毎回やってもらえてたんですよ。当然プロのテックさんなんで、僕が今まであんまり気付けてなかった部分まで、ブラッシュアップしてもらうことができました。自分の音って自分ではフロアでは聴けないですから、その面でもテックさんにはいいアドバイスをいただけたんで、今回はそういう音の面で大きく進化することができたのが嬉しかったです。

-土台となるドラムの音がブラッシュアップされたとなると、バンド全体の音にもずいぶんといい影響が出たのでしょうね。

Leo:相当変わります。バンドの音はドラムで全部が決まると言っても過言じゃないところがあって、全体像として目指したい音がある場合は、まずベーシックな部分の音をしっかり固めておかないと、いくら上に乗るギターやベースが良くても、なかなか"まとまった音"としては聴こえにくいんですよ。これまでだとその点が悩みではあったんで、今回の"PHASE1"から同じチームでツアーに臨めるようになったことは、すごくありがたかったです。自分たちの出したい音をちゃんと理解してくれてる方たちと、一緒にやっていけたことで、零[Hz]が目指す理想にどんどん近付いていけたんですよ。

-2018年の始動以来、零[Hz]は着実に進んできた印象がありますけれど、ここに来ての環境変化により、バンドとしては大きくジャンプアップしているとも言えそうですね。

Leo:ツアー中のラフなコミュニケーションから生まれるアイディアを、すぐに実践することができたのは大きかったです。そのぶん、いきなりライヴ当日に"これやってみようか"となって、メンバーにはちょっと無理してもらったこともありましたけど、それをできるようになったのが良かったですね。今までのツアーだと"できそうでできなかったこと"を実現できたというか。それはどれもメンバーのスキル的にできなかったわけじゃなく、環境的に難しいことばかりだったんですよ。その点、今回はいろんな方たちに協力をしていただくことで、メンバーがライヴ自体に集中できるようになりましたから。ライヴのクオリティを上げることができたことにより、来てくれるお客さんたちの感じる満足度にもきっと繋がったんじゃないかと思ってます。ファイナルの新宿BLAZEでは、そのくらい充実していた"PHASE1"の集大成的なライヴをすることもできたんで、本当に"PHASE2(ZEROHZ LIVE TOUR 2024「Across to the VANITY PHASE2」)"も、今から楽しみでしょうがないです。

-"PHASE1"で特に変貌を遂げた曲、化学変化を見せた曲というのを『ZENITH』から挙げていただくことはできますか?

ROY:どの曲もいい感じに育ってきてくれてはいますけど、特にということであれば僕は「妄想のパンタグラフ」を挙げたいと思います。"PHASE1"では毎回やってたんですけど、ツアーの途中から、イントロのところで手でハートを作って動かすような振付を考えてやってみたんですね。そうしたら、今となってはすっかり定着してくれてまして(笑)。これまでは零[Hz]として自分たちからそういうアプローチってしたことなかったし、いつもお客さんたちが自然と振りとかをやってくれてた感じだったんですが、自分たちの決めた振りで、みんなが踊って楽しんでくれる状況を作ってみたいなと思っていたので、ついに実現できたのが嬉しかったですね。零[Hz]としての新しい見せ方を開拓できたのが「妄想のパンタグラフ」だと思います。

Leo:バラードの「星仰ぐ夜」は、ライヴの中でやるたびに重要なポジションを占める曲になっていった気がします。ツアーの開始当初は、できるだけ音源に近い演奏をしていくじゃないですけど、とにかくしっかりと演奏をして届けるみたいなところを重視していたんすよ。でも、そこから回数を重ねていくうちにどれだけドラマチックな展開を作っていけるか、という方向に思考が変わっていきました。だから、アレンジもいろいろ変えていったんですよね。

-それはどのようにです?

Leo:曲の前に、音源には入ってないストリングス・パートのセクションを作って入れてみたり、ギター隊2人でアドリブのギター・セッションをしてみたり、アコースティック・ギターとROYだけで1サビを歌ってから曲に入ってみたり。4パターンか5パターンをそれぞれ試してみたんですよ。やる側も飽きないようにってのもありつつ、来てくれる側にとってもその日にしか聴けないドラマチックな音を届ける、というのもいいんじゃないかと思ったんですよね。

-その4パターンか5パターンというのは、"PHASE1"を経て、"PHASE2"ではいずれかにフィックスしていくことになるのでしょうか?

Leo:それが、2、3パターンまでは"PHASE1"をやっていくうちに絞れたんですけどね。フィックスとなると意外と難しくて、メンバーの中では"これも良かったし、あれも良かった"となってるから、あの新宿BLAZEでやったかたちを"PHASE2"でもやるとは限らないです。ここからもさらに進化していくかもしれないし、"PHASE2"のファイナルの豊洲PITでどうなるかはまだわかりません。

-1つの曲をそこまで深掘りしていくだなんて、なんだか贅沢なお話ですね。

Leo:いろんな可能性があるというか、嬉しい悩みを抱えてる状態です(笑)。まだちゃんと決まってないっていうのは、逆にいいことだなと自分たちも捉えてます。

RYOGA:「星仰ぐ夜」に関しては僕も全く同じ意見ですね。この曲はいい意味で伸び代があるんで、"PHASE2"でもさらに化けていくはずです。

Rio:ツアーの中でアレンジとかが大きく変化をしたというわけではないんですけど、自分としては「POSE」が"PHASE1"をやってて特に面白かった曲ですね。これは以前の「VENOM」(2021年リリースのシングル表題曲)に近い存在で、ライヴでやったら絶対アガる! っていうタイプの曲なんですよ。実際に、イントロが流れただけでお客さんたちがワーッと沸いてくれるような曲になってきてるし、その度合いもライヴをやるごとに増してきてて、そういうみんなが暴れ狂うみたいな状態になるところがすごく好きなんです。

TEIKA:「妄想のパンタグラフ」のフリも、「POSE」のイントロの縦ヘドバンも、ツアー前は"お客さんたち付いてこれんのかな?"って、やや不安に思ってたところもあったんですけどね。"PHASE1"ではどの曲に対してもみんなの対応力が速くて、ちょっと驚いたんですよ。自分たちが想像してる以上に、ライヴって、ファンの人たちと一緒に作り上げていくものなんだなということを感じましたね。