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INTERVIEW

零[Hz]

2023.04.13UPDATE

2023年05月号掲載

零[Hz]

Member:ROY(Vo/Lyric) Rio(Gt) Leo(Gt/Prog) TEIKA(Ba) RYOGA(Dr/Mani)

Interviewer:杉江 由紀

零から始まった可能性の物語は、ここに来てより進化を遂げ、さらなる未来へと向かい出したようだ。今春で5周年を迎え、先だっては中野サンプラザ公演("零[Hz] ONEMAN TOUR「DAZZLING ABYSS PARADE」 -TOUR FINAL-")も成功させた彼らがこのたび発表するのはベスト・アルバム『ZERO』。自ら"東京ミクスチャーロック"というコンセプトを掲げたうえで、彼らがここまでに生み出してきた楽曲たちはどれも高い熱量を誇るものだが、その中でも特に選りすぐりの精鋭たちがここには収められていることになる。また、代表曲「AXIZ」の再録や、新曲「SINGULARITY」と「叶えたい夢と、守れない君と」なども聴くことができる今作は、零[Hz]のこれまでとこれからを繋ぐ重要な1枚になっているとも言えるだろう。


"変わらないように変わっていく"というテーマがあった


-零[Hz]にとって、今回のベスト・アルバム『ZERO』は大切な節目を飾る作品となっているようですね。

Leo:2023年3月20日で零[Hz]は5周年を迎えて満5歳になったんですが、以前から"5年の節目でベストを出せたらいいよね"っていう話はメンバーともよくしていたんですよ。というのも、僕らの場合はもともと事務所に所属していたところから2019年9月に独立して、そこからは自分たちでやっていくようになった経緯があるので、このタイミングで事務所に所属していた時代の曲も再録したうえでベストを出したかったんです。

ROY:僕も昔まだキッズだったとき、好きになったバンドのベストとか、カッコいいと思ったアーティストさんのベストはいろいろ聴いたことがあるので、今回こうして自分がベストを出せる立場になったっていうことがまずはすごく嬉しかったですね。

Rio:昔、僕はすごい分厚いパッケージの黒夢のベスト(2004年リリースの『KUROYUME BOX』)を買ったことがあります(笑)。なんか、ベストって歴史! っていう感じがするじゃないですか。そういう作品を、今こうして零[Hz]として出せるというのはやっぱりとても嬉しいです。

TEIKA:僕としては、このベストの一曲一曲に聴く人の思い出がある作品になったら素敵だなと思ってますね。例えば通学のとき、通勤中にこの曲ずっと聴いてたとか、元気を出したいときこの曲聴いてたなとか、それぞれの曲に自分の思い出を重ねて愛されるような作品になっていってほしいです。

RYOGA:僕もほんと、バンドキッズのときベスト・アルバムってめちゃくちゃ好きだったんですよ。初期の曲と最近の曲では音質とかクオリティも違ったりするし、1枚の中でそのバンドの辿ってきた道を感じられるところが面白いというか。自分たちのこのベストも完成してからよく聴いてるんですけど、こうしてベストとして5年間の流れを聴くと成長や進化をすごい感じてエモいです。

-ベストとしての選曲や構成については、どのような意向を持って固めていくことになられたのでしょうか。

Leo:やっぱり、自分自身が過去に好きなアーティストのベストを聴いたときのことを思い出してみても、まずはベスト盤を最初に手に取ってそこから深堀りしていった経験がありますからね。そういう意味からいけば、このベストも零[Hz]を象徴する1枚にしていきたいなと思ってました。だから、基本的には過去のシングル表題曲や作品ごとのリード曲、タイアップ曲とかを中心に選んでいきました。そして、零[Hz]の"東京ミクスチャーロック"というコンセプトがより確立されたなと思ったのが「AXIZ」(2019年リリースの2ndフル・アルバム『ZELM』収録曲)以降だったので、ここにはそれ以降に発表した曲たちを中心に時系列順に入れていったんですよ。あと、単なるベストでは終わらせたくないという気持ちもありましたし、このベストを出したあとには全国ツアー"零[Hz] ONEMAN TOUR「REGION ZERO」"もある(※取材は4月上旬)ので、そこを踏まえたうえでここには書き下ろしの新曲2曲「SINGULARITY」や「叶えたい夢と、守れない君と」と、セルフカバーの「心中メリーゴーランド」も入れてあります(初回限定盤のみ)。

-そんな『ZERO』の冒頭を飾るのは、零[Hz]の中でも歴史ある代表曲「AXIZ」となります。このたび改めてこの楽曲と向き合っていくことになったとき、みなさんが意識されていたのはどのようなことだったのか教えてください。

ROY:僕が昔まだキッズだったとき聴いていたベストの中にもいわゆる再録曲が入っていることは多かったし、ファンとしては"原曲のほうが好きだな"と感じることもあったりしたんで、今回「AXIZ」を再録するときには"原曲と4年前の自分に対するリスペクトを持って歌おう"ということを心掛けました。Leoもそこは同じ気持ちだったみたいで、ギター・ソロのフレーズは"あえて変えなかった"って言ってましたね。

Leo:当時と比べると自分の感性やギターに対するアプローチも多少変わってきているところがあるので、個人的にはもっとギターの音を"こうしたいな"という欲もあるにはあったんですよ。だけど、たしかにROYが言う通り原曲に対するリスペクトは大事だなと僕も感じていたので、具体的に言うとフレーズとかアレンジは原曲に沿いつつ、音質は今の零[Hz]にしていくというバランスで今回は作っていった感じですね。今と昔のいいとこ取り、みたいな感じになったと思います。

TEIKA:そうそう。大きい変化をさせないで、クオリティを上げるのが大事なのかなと思いながら僕も再録してました。

RYOGA:全体的に、弦楽器はソリッド感が原曲よりも増して切れ味がかなり鋭くなったよね。そして、もともと「AXIZ」の持ってた疾走感がこの最新版ではより増したなっていう感じがします。

-ひとつには、ずっとライヴで演奏し続けてきていることも再録をするうえでは吉と出たのでしょうね。

RYOGA:それも絶対あります。Leoからの"今やってるライヴ・アレンジを反映させよう"っていう提案を生かしたところもありますし、ラストサビ前でROYの叫んでるところとかもめちゃくちゃカッコいいんで、この「AXIZ」はライヴによく来てくれてる人たちにとっては特に聴き馴染みがあるものに仕上がってるはずです。

Rio:これまでライヴでいっぱいやってきた曲だけに、今回の「AXIZ」では今までにチームゼロヘルツ(※ファンの呼称)のみんなと一緒に作ってきた思い出とか、いろんなライヴで感じてきた想いとか、そういうものもたくさんプレイに込めていくことができた気がしますね。

-なお、「AXIZ」の歌詞には"「今を謳う為」"という一節がありますけれど、当時のROYさんが歌っていた"今"と、ここでの"今"の中身は違ったりします?

ROY:そこは実を言うと今回の新曲「SINGULARITY」の歌詞とも繋がっていくところで、今回のベストを作っていくうえでは自分の中に"変わらないように変わっていく"というテーマがあったんですよ。だから、その"今"っていう言葉に対しても僕は当時と現在の両方の意味を感じながら歌いました。

-それから、今作にはLeoさん作曲/Rioさん作詞でメンズ・アイドル メンタルエラーへ提供されていた「心中メリーゴーランド」が、新たに零[Hz]によってセルフカバーされて収録されております。ここにこの曲がこのようなかたちで入るというのは予想していなかったですし、曲調としては今までの零[Hz]にはなかったタイプのものなので、これは聴いていてとても新鮮だと感じます。

TEIKA:まさにこういう楽曲は今までの零[Hz]になかったので、自分も最初はどんな感じになるのかあまり想像できてなかったんですよ。でも、ROYの色気のある歌声が入るともうちゃんと零[Hz]だなと思って、なんだか感心してしまいました(笑)。ベーシスト的にはジャジーなランニング・ベースのようなフレーズが難しかったですね。

Leo:曲としてはほんとにジャズっぽい感じだし、サックスとかも入るちょっとエロい雰囲気がある曲なので、ここではROYの新しい色を見ることができたと僕も思います(笑)。

ROY:いや、こういう曲はほんとに初めてでしたからね。曲のキャラクターに合わせて、できるだけ妖艶な空気感を出せるように挑戦しました(笑)。自分としても、意外とこんなふうに歌うことができるんだなっていう発見があって楽しかったです。

RYOGA:この曲のドラムはROYの歌のあとに録ったんですけど、Bメロのメロディ・ラインとROYが醸し出してる歌にとても色気を感じて、ライドで色っぽい表情を足したところがお気に入りですね。

-ちなみに、この「心中メリーゴーランド」で詞を書かれているのはRioさんですが、もちろん当時はメンタルエラーさんのイメージに沿ってこれを作られたのだと思いますけれど、頭の片隅のどこかには"いずれ零[Hz]でもやることになるのでは?"という予測もあったのでしょうか。

Rio:まったくそうは思ってなかったです(笑)。ダークなエロという方向性で書いた詞なので、僕の中にいるROY=好青年のイメージとは真逆な歌なんですが、それでもROYが歌うとちゃんとROYの歌になるんですよね。そこがすごいなと思いました。