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INTERVIEW

ナノ

2025.08.13UPDATE

ナノ

Interviewer:吉羽 さおり

-Survive Said The Prophetの2人とは、どういうきっかけで一緒にやることになったんですか。

Survive Said The Prophetとは海外でのライヴが初めての出会いだったんです。ブラジル("Anime Friends 2023")とシンガポール("Anime Festival Asia 2023")だったかな? そこでご一緒する機会があって、その2回で結構フィーリングが合ったというか、ステージで一緒に歌わせてもらって。Yoshさんがめちゃくちゃフレンドリーなんですよね。そのときにDMで、"曲をいっぱい作ってて。送っておくから好きなのあったら使って"っていう感じで、マジか!? と思って。
そのときは制作の予定がなかったんですけど、そこから1年くらい経った頃にこのEPを出すことになって、リード曲をどうするかとなったときに、あのストックがあったと。それで恐る恐るYoshさんに、曲を一緒にやりたいんですけど書いてくれないかってお願いをして、タイトなスケジュールだったんですけどコラボが叶ったんです。

-ナノさんのことも分かっているからこその曲だった感じですかね。

どういう経緯で曲を書いたのかは分からないんですけど、何曲か送ってくれたんですよね。そのなかで今の自分が一番刺さったのがこの「ENDGAME」で、今自分が好きな要素が詰まっている曲で、ミラクルだと思ったんです。コール&レスポンスもあるし、メロディもめちゃくちゃキャッチーで、エモーショナルだけど開けていて希望を感じさせる、海外のお客さんも日本のお客さんもどちらも刺さる、絶妙なJ-ROCKと世界のロックとの組み合わせになっていてというか。

-そこはSurvive Said The Prophetだからこその感じもあるかもしれないですね。

本当にそうだと思いますね。

-編曲でYoma(The Winking Owl/Gt)さんが入ってるのも、国内外の音楽に精通してるナノさんならではの仕上がりだなと思います。そういう今のムードにぴったりの曲、サウンドとなって、ナノさんとしては何をテーマにしたいと思いましたか。

Yoshさんって完璧主義者な気がしていて。送ってきてもらったデモにはYoshさんが書いた歌詞もあったんです。資料として歌詞も送ってきてくれて、この曲に対する思いも綴ってくれていて。それに、ラッキーっていうテーマが強くあったんです。自分を超えて運を掴みにいく、今あるこの喜びや運を無駄にしないでというテーマで、それはきっと本人にとって生きることの大切なテーマなんだろうなと思ったので、なんとか生かしたいと考えたんです。じゃあナノにとって生きる上でのラッキーとは何かと考えたら、その他の歌詞がハマり始めた感じでした。なので、良いテーマを与えてもらったなというのはありました。自分ではラッキーというテーマにあまりしない性格なので。一見ライトに感じるテーマを深く書くチャレンジを与えてもらった感じがあって、楽しかったですね。

-冒頭のシンガロングから始まって、今を生きる力強いアンセムになっているのでライヴでの反応も楽しみですが、このシャウト・パートはライヴではどういう感じになるんですか?

初のシャウト、スクリーム入りのナノ曲はリスナーも刺激的なんじゃないかなと思うんですけど、このパートは自分ではできないので、そこはShowさんの素敵なスクリームをスピーカーからガンガン出します(笑)。でも、シャウトはしないですけどやっぱり口が一緒に動いちゃいますよね。Showさんの声が自分の魂を通って自分も一緒になって声を出している気持ちになって、面白い感覚です。いつかは一緒にステージで歌いたいですね。

-ここからのライヴを引っ張っていく曲になりますね。作品を通して新しいチャレンジに満ちた、ナノさんの今を感じるEPとなりました。先程、今は闇を抜けているという話がありましたが、モード的にはどんなところにいると思いますか。

闇がないと言ったら嘘になりますけど、ウジウジしている自分がいない気はします。悩んだり、何かがあったときにどこに行けばいいんだろう、何をすればいいんだろうって悶々としたりする思いがずっと続いていたので。それは抜けた感じがして。人生にはいろいろあるしつらいときはつらいですけど、なんとなくそれを抜ける術というか、メンタルが身に付いた気がしていますね。あまり後ろを向かなくなったというか。それが自分の音楽に出てほしいし、出していきたい。
リスナーの中には以前のダークな、後ろを向いて戦っているようなサウンドが好きという人もいると思うんですけど、それはそれで過去の曲をたくさん聴いてくれて嬉しいし、今の自分としてはリアルなことを書きたいし。きっと前を向いている曲がほしい、必要とする人もいっぱいいると思うし。そこでまた新しい層と繋がるきっかけにもなる気がしているので、自分らしく、あまり人が何を求めているかを考えすぎずに、作りたいし歌いたいというのがありますね。

-そういう自分の心境、後ろを振り返るような自分がいなくなっているなと気付いたのはいつぐらいでした?

徐々にという気がします。アーティストとして音楽をやり始めてから、徐々にだけど、メンタルとか、いろんなものが強くなってきていて。ある日ふと気付いたというか。急に変わったというよりは、結構変わったかなって感じだと思うんです。コロナ禍では、世の中のエネルギーとしてもものすごく揺さぶられて、みんなが自分を見つめ直す時間というのがあったと思うんですけど。それ以降、やっぱり人に頼って生きていても解決策は見つからないし、最終的には自分で全部決めなきゃいけない、自分で責任持って生きなきゃいけないし......って思ったら、弱音は吐いてられないなっていう。そんな気付きの一つ一つが自分のためになったというか。

-タフになっていったんですね。

今は、人に頼りすぎないけど、いい具合に人と上手くやっていく方法を少しずつ学んできた気がしていますね。今までは、自分ワールドにどっぷりとハマって閉ざしていたんです。自分の世界は今でも大好きだし、ずっと人といるとヨレヨレになっちゃいますけど(笑)、人といることの喜びは昔よりも感じるようになりましたね。いろんな人に興味が湧くというか。この人はこういうときにこんな気持ちなのかなとか、いい意味で自分とは違うのかなって想像をすると、よりその人のことが好きになれるとか。自分が考えていた世の中より全然楽しくなっていて、いろんな国に行くとか、いろんな人たちと仕事をすることによって変わった部分はあると思いますね。

-曲を書いていくことも自分の心境が反映されるでしょうから、気持ちの変化、心の変化も分かりますしね。最初に言っていたようにちゃんとタイムラインになっているという。そこでEPのタイトルとして"aИomaly"というワードが出てきたのは、どんなことからですか。

言葉自体はどこかで見かけたもので、もともと知らない言葉だったんです。それでどんな意味だろうって調べたら、異変や異常という意味で。その言葉の響きや意味がすごく刺さって、これをテーマにしたいと思ったんです。たぶんこの言葉が刺さったのは、自分は今まで音楽を作る上で一度も完璧って思ったことがないというか、いつも良くも悪くも違和感があるというか。もっとこうしたいとか、その積み重ねが自分の音楽の土台になってきたので、完璧を目指すよりは、いろんな不自然や違和感を集めて何かを作る楽しさや、正解かは分からないけどやってみる大切さがあったんですよね。今の自分は全然完璧じゃないし、これからもきっといろんな異変や異常がありながら生きていくと思うので、"aИomaly"って自分なんだという気持ちがありましたね。

-否定的な意味合いではないんですね。

否定というよりは、"いいんじゃない? これで"って気持ちを込めていますね。どこか違和感がないと印象に残らないと思うんです。きれいなだけとかかっこいいだけだと、その一瞬はわーって思うけど、忘れがちというか。最初はこれ微妙だなとか、なんだこれと思ったことって、ずっと記憶にあって、それがいつの間にか好きになってるとか──パクチーみたいに(笑)。

-いつの間にかクセになってるという(笑)。

ないとむしろ無理みたいになってくる感じで。

-ナノさんにぴったりの言葉だったんですね、

言葉の意味を読んだだけではなかなか伝わらないと思うし、別に伝わらなくてもいいかなって思ったんです。単に異常、異変とだけ思ってくれてもいいし。アルバムを通して聴いて、こういうことなのかなとか気付いてくれてもいいんですよ。いろんな人の解釈があっていいと思うんです。

-そして9月14日からEP『aИomaly』の発売記念ミニ・ライヴ・ツアー("NANO mini Live Tour aИomaly in JAPAN")がスタートします。日本でのツアーは8年ぶりだそうです。

2020年にベスト・アルバム『I』を出したときにツアー("ナノ BEST ALBUM TOUR 「I」")をする予定だったんですけど、コロナ禍でキャンセルになってしまって、そこからやる機会がなかなか来なくて。定期的に海外に行っていたという理由もあるんですけど、きっと日本のファンにとっては異常に長かったと思うし、もっと早くやるべきだったと思うんです。ただ、1人の人間としては海外でいろんな世界を見て、いろんなことを知って勉強をして、一度長い期間をかけて吸収したい成長したい思いがものすごく強かったんですよ。
なので、自然と8年かかったかもしれないんですが、日本のファンの方は、もちろん10年前のファンが全員いるかと言ったらそうではないですけど、ずっと待ってくれていて。中には海外のライヴに来てくれたお客さんもいて、感謝しかないんですよね。国内ツアーを発表したときも、ファンの人たちが喜んでくれて。誰一人怒らないというか(笑)。

-ステージもフロアも熱いライヴになりそうですね。

だから今回は単に日本でツアーをするぞじゃなくて、待ってくれた人たちのためにライヴを届けたいと思うので、大きな規模でというよりは、近い距離でみんなの顔が見られてなんの迷いもなく歌が届くライヴにしたくて、ミニ・ライヴ・ツアーの形にしたんです。そのほうが今のナノらしいかなって。

RELEASE INFORMATION

ナノ
EP
『aИomaly(読み:アノマリー)』

[ホリプロ]
NOW ON SALE!!
¥2,500(税込)

LIVE INFORMATION
"NANO Mini Live aИomaly in JAPAN"


9月14日(日)SHIBUYA REX
9月21日(日)大阪knave
9月23日(火・祝)福岡LIVEHOUSE OP's
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