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INTERVIEW

GYZE

2021.01.27UPDATE

GYZE

Member:Ryoji(Gt/Vo) Aruta(Ba/Vo) SHINKAI(Gt)

Interviewer:米沢 彰

2011年、東日本大震災の年にスタートしたGYZEが、コロナ禍の真っ只中となる2021年に10周年を迎える。災害、疫病と困難ななかで彼らが節目を迎えることは、彼らが本質的に持つ強烈なメッセージ性を重視する姿勢と無関係ではないのかもしれない。3曲連続リリースの皮切りとなる「SAMURAI METAL」のリリースを前にRyoji、Aruta、SHINKAIの 3人に訊いた。

-2019年の『ASIAN CHAOS』(4thアルバム)のリリース以来になりますね。この約1年半の間に起きたことを簡単にうかがっていいでしょうか?

Ryoji:去年はコロナでどう活動していこうかという状況でしたね。初めての北欧ツアーや、久しぶりのヨーロッパのツアーも決まっていたなかでこういうことになってしまって。『ASIAN CHAOS』を出してから海外ツアーはメキシコくらいしかまともに行けませんでした。個人的には各自でGYZE以外の音楽の仕事もやっているので僕だったらギターのレッスンや楽曲提供、ゲスト演奏だったり、ギターのSHINKAIさんだったら専門学校の先生だったりとか。Aruta君はGYZEのマネジメントを統括していてそれぞれに充実はしていました。GYZEはもともと遠距離バンドなのと海外からのリリースをデビューからし続けてるのでオンラインでの活動にはとても慣れていたから、活動自体に影響があったかといえばそうではないんです。ただライヴはできない。そのうえでどうしていくかをみんなでいったん考えた時期だったかなとは思います。あとはSHINKAIさんが入って国内ツアーは回っていたので、ツイン・ギター体制のGYZEの確立は2019年の内にできていましたね。

-『ASIAN CHAOS』をリリースした直後はツアーも回れていましたよね?

Ryoji:国内ツアー("BEGINNING OF CHAOS Tour 2019")やってメキシコ公演があって、でしたね。

-それをやりきってから世の中がおかしくなってきたかなと。

Ryoji:そうですね、ちょうど終わったくらいで。それこそ春先にヨーロッパ・ツアーであったりフィンランド・ツアーだったりの話があって、去年の秋に2回ヨーロッパ・ツアーを回る予定があったんですけど、全部キャンセルになりました。

-そんななかではありますが、今回はShuji(Dr)さんが戻ってきての制作になりましたね。それはバンドとしてはプラスの出来事だったのではないでしょうか?

Ryoji:コロナがあったからこそバンドが1回立ち止まることができたが故の恩恵というか。どうしてもどのバンドも立ち止まりますよね。そうしたときに僕は弟であるShujiとコミュニケーションをとる機会が多くて。今年はGYZEの結成10周年に当たる年なのですが、コロナがあったことにより時間ができていろんなことが話せたんです。海外のレーベルにも言われてたけど2022年まではツアーもたぶんできない。だからリリースしてもすぐにツアーだ!って立ち止まる余裕もないような忙しさからは解放される。そこでGYZEである在り方を考えたときにやっぱりオリジナル・ドラマーであり兄弟でもあるShujiがいることに越したことはないと。本人もバンドへの思いは常にあるので。実際に参加したのは(3ヶ月連続シングル)最後の「Oriental Symphony」からになるんですけど。

-北海道は東京よりも先に動きづらくなっていったエリアでもあって、日本の他のバンドと比べても、より早いタイミングから今の状況に向き合うことになっていきましたよね。

Ryoji:どうしても本土とは少し離れているのもあって、おそらく普段の生活から東京ルールで活動するっていうよりも、ワールドワイドなバンドの考え方に近いと思っていて。東京や本州でライヴやるにしたって飛行機を使うし。そういう意味ではこうしてオンライン化が進んで日本のバンド・シーンがよりワールドワイドなものに近づける感覚になれるのであれば悲観的に捉える必要はないのかなと思っています。

-自分やこれからの活動を見つめ直す機会になりましたか? Ryojiさんはどういう機会だったと思いますか?

Ryoji:そうですね......。本当に音楽が自分の生活に必要だということを強く認識したことがひとつ。GYZEというものはひとつの看板であって、それぞれが音楽で生きているバンドなんだなって。あとはマーチャンダイズをオンラインで積極的に売るとかSNSのストリーミング・ライヴであったりそういう形でファンとの距離感も近づいたと思いますね。

-"御守り"も作ってましたよね。

Ryoji:そうですね、あれは時代にマッチしたのか全シリーズが即完売しましたね。BABYMETALも最近になって御守り売り始めましたよね(笑)!

-マスクとかはいろんなバンドがやってましたけど、御守りにするあたりが"らしいな"と思いました。以前にインタビューしたとき(※2015年2月号掲載)も、"グッズでルアー作ってるよね"って話をしましたしね。

Ryoji:よく変わったことをしてますよね(笑)。

-Arutaさんはこの期間どんな感じで過ごしていましたか?

Aruta:前作『ASIAN CHAOS』から国内はマネジメント含めて管理するのが僕になったんですけど、昨年はライヴがほぼできない状態で。じゃあマネジメントとはいったいどういうことか? ライヴができない状況での活動とは何かを考えてトライ&エラーの中で学べていけたんです。メンバーに迷惑をかけることもあったんですけど(笑)。さっきRyojiも言ってたように、同じ場所に集まって練習するようなバンドでもないので、もともとあった経験をさらに伸ばすことができたかなと思っています。今年からは逆にそれを生かして新しい伝え方ができればいいなと。

-SHINKAIさんはいかがでしたか?

SHINKAI:GYZEの音楽性を見つめ直している時期でもあったし、ストレス発散とダイエットを兼ねてGYZEの曲を個人練習していて(笑)。やればやるほど今に繋がる新しい発見をするというか......そういうことを実感できたのでいい期間だったかなとは思います。

-これだけ弾き倒してる曲だとストレス発散になりそうですよね。ちなみにShujiさんが戻ってきてSHINKAIさんと一緒にやるのは初になりますか?

SHINKAI:そうですね。僕はRyojiとShujiが小さいときから知ってたんですけど"一緒にできて楽しいな"って感じです。

Ryoji:ShujiもSHINKAIさんのこと大好きなんですよ。

-めっちゃいいですね。

SHINKAI:親子ってわけじゃないけど、親子っぽい関係でいられる。ものすごく心強いというか、楽しいです。

Ryoji:困った状況だからこそ、みんなが協力しあって絆が深まったというか。それはバンド内はもちろんだけどバンドとファンとの関係も。すべてにおいて絆を感じて大切にするようになった気はします。

-世の中的にはみんなストレスがあってギスギスしてる人間関係も増えていますし、どうしたらいいかわからなくて、立ち止まっているバンドもすごく多いなと思うんですけど、GYZEはきちんと一歩一歩進めているように思いました。

Ryoji:SHINKAIさんがバンドに与えた影響もすごく大きいと思うんです。若手だったGYZEが一気に経験を積んだバンドのように見え始めましたよね。だってSHINKAIさんは俺やArutaが生まれる前からメタル・バンドでブイブイいわしてた人でずっと音楽で生きてこれた人ですからね。でも実際にGYZEは10周年を迎えて、みんなも歳を重ねるなかで作品もコンスタントに重ねて、キャリアも積んでいって。自分たちの理想とする落ち着きと情熱のバランスがいい状態のバンドになってる実感はあります。

-今回リリースとなる「SAMURAI METAL」は、最初に聴いたときに完全にGYZEのスタイルが確立したなって、すごく思いました。

Ryoji:ヘヴィ・メタルをやるうえでモノマネのサウンドをやる必要はない段階にきたバンドだと思っているので。唯一無二のジャパニーズ・サウンドでなおかつ世界のメタラーが喜ぶような音はすごく意識していましたね。特に「SAMURAI METAL」はわざと安直に外人がイメージする日本の雰囲気をサウンドや映像にしています。はたから見たらある意味コミカルにも映るかもしれません。音は違えど存在のあり方でいえばフィンランドのKORPIKLAANIみたいな(笑)。

-ちなみに、2011年まで自主で制作をしていて、約10年を経てまた自主の体制に戻ったということでよいのでしょうか?

Ryoji:ドイツのレーベルやマネジメントと絡んでます。しかし国内の運営としてはAruta君を代表として取りまとめて僕がわがままを言わせてもらってます(笑)。

-海外のレーベルはほぼディストリビューションのみのような関係ですか?

Ryoji:今回に限りそうしようと思ってますけど、まだGYZEサイドで打診中です。なぜならあれこれ契約してもツアーはしばらく難しいですからね。でもいい条件の話も出ているのでとても興奮してます。

-楽曲の中身についての話は特になしで?

Ryoji:中身についてはどこと組んでもGYZEが出したい音を提供するだけです。自分たちでプロデュースできるし、もっと言うとSHINKAIさんも僕もプロデューサーとしての仕事もしているので。SHINKAIさんは長く音楽のキャリアを積んでいてプロフェッショナルとして常に音楽で生きているし。音について外部と何かするのであれば身内で話したほうがいいものが作れるだろうと思ってます。