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INTERVIEW

摩天楼オペラ

2019.02.21UPDATE

2019年02月号掲載

摩天楼オペラ

Member:苑(Vo) JaY(Gt) 燿(Ba) 彩雨(Key) 響(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

-それだけの確固たる意志を感じる「Human Dignity」から始まって、今作の中では次々と全12曲が展開していくことになりますが、これまでにない新たなテイストが感じられる楽曲としては「見知らぬ背中」も興味深い楽曲です。

JaY:摩天楼オペラはきれいなメロディの曲が多いバンドですけど、ロックな感じのアコギのバラード曲があってもいいかなと思って作り出したのがこれですね。苑さんにこういう曲も歌ってみてほしかったんですよ。ギターに関しては、昔バーで働いていたときにそこで弾いてた感覚を思い出しながらラフに弾きました。

苑:丸裸なバラードになりましたね。細かい息遣いまですべてがレコーディングされていく、そのリアルな感じが僕としては新鮮で楽しかったです。これだけ優しく歌うというのも摩天楼オペラとしてはなかなかないことでした。

-それこそ、この曲からも人間味が存分に感じられます。一方で、彩雨さんが作曲されている「MONSTER」は、そのタイトルのごとく非現実的な物語が、ゴシックでいてモダンな音像とともに詰まったものとなっていますね。

彩雨:僕としても今回のアルバムには新しい要素を入れたかったんですよ。それで、こういうちょっとダンサブルなんだけど、うちっぽいゴリゴリ感もある曲を作ってみました。「Sacrifice」の方は自分の根底にある自分らしさだったり、昔の摩天楼オペラがやっていたような曲のニュアンスだったりを、今ならではの音として表現してあります。

苑:このアルバムの中だと唯一タイトルから先に浮かんだのがこの「MONSTER」でしたね。曲を聴いたときにすぐ言葉が浮かんだんですよ。歌詞自体もそこからどんどん広がっていきました。実はメッセージ的には「Human Dignity」と繋がっていて、抗いながらも今を生きるということを歌ってます。

-それから、燿さんは今回「RAINBOW」を苑さんとの共同クレジットで作られています。こちらはどのような過程を経て生まれたものでしたか?

燿:これは曲の大枠を僕が作ったあと、そこに苑君がCメロをつけ足してくれたり、全体的にも整えたりしてくれてできた曲ですね。自分なりに"今までこういう曲はなかったな"というくらいキャッチーな曲が作りたかったんですよ。

苑:切ない感じの曲も多いこのアルバムの中で、一番パーッと明るく開けた印象を持つロック・チューンになったと思います。キャッチーではあるんだけど、あくまでもロックっていうイメージが強かったのもあって、歌詞の中でこういうふうに各楽器のことについて表していくことになったんですよ。

-"走るスネア"、"白と黒の翼を翻し"、"浮足立つ魂を支えるベース"、"ギラギラしたガソリンみたいなギター"というそれぞれの表現が実にキャッチーです。

JaY:まさにこれってそうだなと僕は思いましたよ。

彩雨:ところが、僕はマスタリングまでそこにまったく気づいてなかったんですよね(笑)。

苑:めっちゃ悩みながら書いたのにー(笑)。

彩雨:だけど、"走るスネア"ってどうなんだろう?

響:いっつもリズムが走っちゃってるってことなんですかね(笑)!?

燿:この詞、パートによっては解釈がちょっと難しいかもしれない(笑)。

-当然これはテンポ的に走っているという意味ではなく、勢いや疾走感がある力強いドラムの音を表しているという意味ですよね?

苑:もちろんですよ! ここでは僕から見たみんなのことを書いてます。

-さて。その他にも、今作にはライヴで映えそうなJaYさん作曲の豪快なアッパー・チューン「箱の底のMUSIC」や、摩天楼オペラのアルバムには必要不可欠なインストゥルメンタル「Cee」、既発シングル曲「Invisible Chaos」、さらに苑さん作曲のものとしては極めてアグレッシヴな「Dead by Daybreak」、洗練されたポップ・センスが生きている「actor」、サックスの響きとサビのメロディにインパクトがある「SNOW」なども聴きどころが満載となっておりますが、アルバムの最後を飾っている「The WORLD」もまた苑さんの楽曲となります。表題曲「Human Dignity」が当初から1曲目を想定してあったものであったように、こちらもアルバムのラストにくるものとしてはなから作られた楽曲だったのでしょうか?

苑:この「The WORLD」は1年以上前から作っていた曲で、いつか出したいとずっと思っていたんですよ。さっきから話にも出ているように、このアルバムには、今までの摩天楼オペラにはなかったような曲もたくさん入っているんですが、その反面で僕としてはこういう壮大でTHE摩天楼オペラな曲も絶対に1曲は欲しくて、それを最後に入れることにしたんです。"Human Dignity"は"人間の尊厳"という意味の言葉で、今回の作品の中では、人間の内面に潜む暗い部分にフォーカスを当てているものが多いんですけど、「The WORLD」に関しては、人間誰しもの中にあるであろうきれいで優しい部分を見たくて詞を書いていきました。

-最新形で画期的な新生摩天楼オペラとしての音を冒頭で聴かせつつ、最後の最後には摩天楼オペラとしての真骨頂を凝縮した「The WORLD」で締めくくるあたり、今作『Human Dignity』はなんとも巧妙な作りのアルバムになっていますね。

苑:いやー、我ながら今回は非常にバランスのとれたアルバムになったなという手応えがあります(笑)。

-3月からの全国ツアー"Human Dignity TOUR"も実に楽しみですね。

響:僕からすると長い全国ツアーというもの自体が個人的には初めてのことになりますし、正規加入してからは初めてのツアーでもあるので、ミュージシャンとしてすごくいい経験になるだろうなと思ってます。ここからバンドとしても勢いをつけていけるような、充実したライヴを展開していきたいですね。

JaY:摩天楼オペラとしてちゃんと5人でバンドをやって、5人でツアーをやれるっていうことが嬉しいですし、こうして完全体になった以上は、響君が言っていたとおりここからもっと加速していきます。

彩雨:今回は初めて行く場所も多いんですよ。僕らとしては長くやらせていただいていますけど、まだ実際にはライヴを観たことがないという方もいると思いますので、今度のツアーが全国のみなさんに今の僕らを観ていただける機会になってくれたらいいなと。摩天楼オペラの音楽を聴いてくれている全国のみなさんへ感謝の気持ちを込めながら、全国を回っていきたいです。

燿:ライヴ・バンドとしての土台を作りたいです。JaYと響が正式加入してから回るツアーは初めてになりますし、それを回りきることでこの新しい摩天楼オペラの音を改めて固めたいんですよ。今の摩天楼オペラとはこういうものですという提示を、今まで観てきてくれている人はもちろん、初めて観てくれる人たちに対してもしっかりとしていきながら、みんなとライヴの空間を共有していきたいと思ってます。

苑:気持ちとしては、今ってバンドを始めたころくらいの前のめりなモードなんですよ。ここからすげぇことをやっていこうぜ! というね。その大事な一歩目を見逃さないように、ぜひみなさんには来ていただきたいです。摩天楼オペラはここからひたすら登り詰めていきます。