INTERVIEW
ゆくえしれずつれづれ
2018.02.28UPDATE
2018年03月号掲載
Member:◎屋しだれ まれ・A・小町 英艶奴 メイユイメイ
Interviewer:吉羽 さおり
-もしかしたらこれまでのファンの方でも、このストレートさにびっくりする方がいるかもしれないですね。
しだれ:激ロック感はあまりないかもしれないですね(笑)。ただ、たくさん曲はあるので、たまにはこういうこともありますよと。
-逆に言えば、新しい方が聴いてくれる入口になるのでは。
小町:そうですね。小町は、今までと違ってまっすぐな歌だなぁと思ったので。あまり説明をしたくないなというか、自分たちの歌と思うならそれでもいいし、解釈は聴く人たちに任せたいなって思うんです。わざわざ言葉にするのは、疲れてしまうというか(笑)。今回は、そんな3曲だと思ってます。インタビューなのにあれですけど、あまり曲について語りたくないなって(笑)。
-わかります。それくらい、今回はすごくストレートで、それぞれで解釈もできる歌で。2曲目の「ミニマルロンド」などは、一聴してとてもポップなサウンドに驚きました。
しだれ:ファンの方には、"(つれづれのテーマである)「だつりょく」と「げきじょう」で言うと、これは「だつりょく」の方だね"って言われるんです。でも、歌詞としては、すごく激しい、絶望だったりや後悔だったりが強く出ているんですよね。デモを貰ったときは、「新宿シネマコネクション」(2016年リリースの2ndデジタル・シングル)を思い出しました。サウンドはかわいい音だなと思ったし、そのデモの時点では"原宿シネマコネクション"とか言われていたんです(笑)。
小町:そうだったんだ。
しだれ:最終的にもかわいい系のものになると想像していたんです。だから、歌詞が乗る前はどんなシングルになるのかな、どうするつもりなのかなって、困惑していたところもあって。この曲の役割が全然わからないなって思っていたんですけど、歌詞がついて、おぉ......と。
-魂が入りましたね。
しだれ:一番感情がこもった曲になりました。"未来の地図"、"破り捨てた"とか出てくるんですけど、昨年の6月くらいに初めて"つれづれをやめた方がいいかな"って思ったときがあって。この曲を歌うと、そのころを思い出してしまって。
艶奴:そんなことがあったんだ。
しだれ:つれづれをやめたいっていうより、人間としての活動をどうしていいかわからなくなっていました(笑)。もう山に引きこもろうかっていうようなときがあって。それを思い出しました。
-今は人間活動の方も持ち直しましたか。
しだれ:はい、持ち直しました! 人間として生きていくことができて嬉しいです。
-良かったです。
しだれ:今は未来の地図が新しく、ぼんやりと見えるのがすごく嬉しくて。
-なるほど、この歌詞がしだれさん自身の心にとても刺さっていたから、先ほど冒頭で"地図"という表現をしていたんですね。
しだれ:そうなんです。
-それくらい自分の心の有り様を、歌詞を手掛けるGESSHI類さんが言い当てていたんですかね。
しだれ:GESSHI類さんはかなり攻めてきますよ。わたくしたちのこと、どこから見てるんだろう? って思うくらいに。きっと、GESSHI類さんの気持ちが書いてあって、それにわたくしたちが共感してるだけなのかもしれないですけど。でも、誰にでも当てはまるんじゃないかしら?
艶奴:最初にデモを貰ったときは、本当に「新宿シネマコネクション」みたいな歌詞が乗って、おしゃれ感があるものになるのかなってわたしも思っていたら、こんなエモい歌詞がきて。でも、合ってるなって思いました。この曲は、小町が振付を考えてくれたんですけど。みんなで揃えるような振りよりも、手がバラバラだったりして、これはダンスが今までで一番難しくて。覚えられない! って思いました。
しだれ:それをよく、ライヴであそこまで持っていったね。
小町:ダンスは作りやすかったですね。バラバラっていうのは、動き自体は一緒なんですけど、手を差し出す方向とかが違うという意味でのバラバラで。この曲では、歌っている人以外を風景にしようと思ったんです。歌ってる人がひとりでいられる空間を作りたかったんです。
-それぞれのヴォーカルも引き立つ曲なので、情景が見える曲ですよ。
しだれ:特に「ミニマルロンド」は声がはっきりとしているので。4人の声がスッと入るし、生々しい歌い方かなと思います。
-この曲ではシャウトのパートもないですしね。
しだれ:そうですね、前作の「Loud Asymmetry」(2017年リリースの3rdシングル表題曲)が結構スクリーム、スクリームっていう曲だったので、だいぶ印象は変わってくるかなと思います。前作では叫ぶしかない、そうやって伝えるしかないみたいな気持ちもありましたけど、今作ではしっかりと自分たちを見つめて歌うことができたから、こういう歌になったのかなと思いました。