INTERVIEW
ゆくえしれずつれづれ
2017.03.07UPDATE
2017年03月号掲載
Member:◎屋しだれ まれ・A・小町 英艶奴 子子子
Interviewer:吉羽 さおり
アンニュイなポップ性と、ヒリヒリとした攻撃性、そして清濁併せ呑んだ複雑な心模様という、ゆくえしれずつれづれならではの複雑怪奇な世界観を改めて突きつけるニュー・シングル『MISS SINS』が完成した。4人それぞれのシャウトやヴォーカルの個性を活かし、代わる代わる歌い、ハーモニーを聴かせることで、感情のジェットコースターのスピードが上がる「MISS SINS」。ピアノを基調にした切なさや悲しみを吹き飛ばすように驀進する派手なドラムなど、アグレッシヴなサウンドに仕上がっている。カップリング曲も、バラエティ豊かで充実感のある1枚だ。
-2ndシングル『MISS SINS』が完成しました。1stフル・アルバム『ポスト過多ストロフィー』(2016年12月リリース)以降ということで、ちょっと曲の雰囲気も変わったように思います。特に「MISS SINS」(Track.1)は駆け抜ける、疾走感が凄まじい。
子子子:最初に聴いたときに、とても切ないメロディだなと思いました。
艶奴:ピアノから入っていく曲なんですけど。
しだれ:歌詞を読む前から、切なさがありました。ピアノの音色がそういう感じなのかな?
-このピアノのフレーズ感が、水谷(和樹/Gauche.)さんらしい曲ですね。
子子子:みんな切ない気持ちになりますよね。
しだれ:そこに歌詞がすごくマッチしていて、大好きな曲になりました。
-この歌の世界観をどう解釈していますか。
しだれ:わたしは絶望かなと思っています。まったく光がないような、光から遠ざかっていくような曲かなと思いました。わたしは"白夜行"(※東野圭吾著)という小説が好きなんですけど、それを思い出したんです。ふたりで罪を負って、ひとりひとりになってしまう絶望感と似ているなと思っていて。レコーディングでも、"白夜行"の世界を思い出しながら歌っていたんです。
-ラストの"いつかの 未来で「会いたい...」"というのが響きますね。
しだれ:本当にそうなんですよね。あぁ、切なくなっちゃった。
艶奴:わたしは"白夜行"は映画で観たかも(※2011年公開)。
子子子:切なさは感じていたんですけど。これはラヴ・ソングだよって言われたんです。それで改めて歌詞をよく読んでみて、とても悲しい歌なんだなと思いました。
小町:わたしは、歌えないって思いました。この曲と、この歌詞の重さの愛を、自分は歌えないって思ったんです。まだ自分には、この愛を伝える能力はないんじゃないかなって。
しだれ:わたくしも、こんなに重い愛を抱えたことはないけれども。やっぱり"白夜行"を読むことで変わってくるので(笑)。
艶奴:まわし者(笑)?
しだれ:すごくイメージしやすくなったんです。分厚いけど、読んでみて!
艶奴:映画もいいわよ、小町さん。
小町:想像を膨らませるなら、きっと本がいいんでしょうね(笑)。
-このエモさは、そのヘヴィな愛を感じることで生まれていたんですね。
しだれ:そうですね、消滅感というか滅亡というか。
子子子:うん。暗い、黒いっていう感じでしたね。
艶奴:「MISS SINS」は、つれづれでは唯一、サビをひとりずつ歌っている曲なんですよね。
子子子:シャウトもひとりずつやっているんです。
艶奴:きっと、それがまた切なさを醸し出しているのかなって思う。
しだれ:うん、ひとりきりという感じがしますね。
-あえてひとりずつでの歌割りだったんですかね。
小町:そのひとりひとりっていうのも、曲をもらったときにいいなと思いました。みんなから君にじゃなくて、わたしから君にっていうその思いが、ひとりひとりが歌うからこそ伝わるのかな。
子子子:歌詞でいいなと思ったのが、"何より 尊ぶ 君よ。"。ここが好きですね。
-思いの深さがわかる言葉ですよね。
艶奴:わたしは、"もしも、君が罪人なら 僕が犯すよ 大丈夫「同じね」"っていうところ。
しだれ:その、"同じね"はずるいよね、うん。たまらないね。
艶奴:あとは自分が歌っている、最後の"いつかの 未来で「会いたい...」"という歌詞が好きですね。
しだれ:これはもう、さよならだからね。あとは、セリフのパートが4ヶ所あるんですけど、そこも一番気持ちが込めやすいところかなと。
-シングルとしてはなかなかヘヴィな曲となりましたね。
しだれ:暗いですね(笑)。これはジャケが蝶で、気持ち悪いんですよ。曲にも羽がもげた飛べない蝶が出てくるんですけど、4人でぎゅっとして蝶になっていて。
-斬新でした。蝶というよりは、どこか蛹のような雰囲気もありました。
しだれ:4人でぐるぐる巻きになっているので、撮影がなかなか面白かったですね。転びそうになったり。
艶奴:ひとりが転ぶと、みんな転んじゃうんですよ(笑)。
しだれ:そのときはどういう画になるのか、よくわからなかったですけど。"「MISS SINS」を思う顔をしろ"と言われたので、みんなそういう顔をしてるんですよ(笑)。それが、あのジャケットになりました。