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INTERVIEW

BULLET FOR MY VALENTINE

2015.08.18UPDATE

2015年08月号掲載

BULLET FOR MY VALENTINE

Member:Matthew "Matt" Tuck (Vo/Gt)

Interviewer:米沢 彰

-Don、Colin、それぞれとの制作プロセスや制作への向かい方に違いはありましたか?

うーん、とても似ているんだよね。アルバムの録音の仕方って、実はそんなに種類があるわけじゃないから。違いは個人としてのパーソナリティ、それからウマがどのくらい合うかくらいでさ。ふたりとも素晴らしい人格の持ち主で、俺は死ぬほど好きだね。人間としても素晴らしいし、プロ意識が高いし、彼らの素晴らしいキャリアにはそれなりの理由があると思う。今回Colinとまた組んだのも、彼との今までの関わりが良かったからなんだ。それに、とことんアグレッシヴなアルバムを作るというのはDonの持ち味じゃないからね。だからColinに決めたのもかなり早い決断だったんだ。

-実はプロデューサーを確認する前に作品を拝聴して、1st、2ndの初期衝動がまたBFMVに戻ってきたように率直に感じていました。プロデューサーの違いがすべてを変えるとまでは思いませんが、ご自身ではそういった見方に対してどのように思いますか?

いろいろ聴いてみたら、スタイルの違いは如実にわかるよね。彼らもまったく違うんだ。Colinは自然体に任せる部分の大きいプロデューサーだね。そのバンド自身が必要だと思っていることをやらせてくれて、クリエイティヴな面では特に介入はしないんだ。逆にDonは自分がいいと思わなかったり適切じゃないと思っていたりするものに関して意見がはっきりしているし、それを口に出すことも厭わない。誰かを雇うときは、その人の意見にちゃんと耳を傾けないと意味がない。そのために雇うわけだからね。だから違う音になるんだ。Donはヘヴィでアグレッシヴな音にすることに興味を持たなかった。もっとビッグな音にすることを望んだんだ。そうすることによってメタルヘッドじゃない人たちにも親しみの持てるアルバムになった。Donとはそういう音作りをしたけど、今回はもっとオールド・スクールな雰囲気を保ちたかったし、俺たちのそもそもの姿を作り上げているものを再現したいと思ったんだ。アグレッシヴさを再び前面に持って来ようと思ってね。それがファンの望んだことだと思うし、俺たち自身も望んでいたことだったんだ。そんなわけで、プロデューサーはアルバムのサウンドをとてもドラスティックに変えることができるんだ。俺たちだけじゃなくてね。だから人選は本当に慎重にやらないとね。

-どちらのプロデューサーもあなたたちの違う面を引き出しつつ、BFMVらしさを出していると思います。

うん。誰と組んでもアイデンティティはキープしてきたよ。自分たちらしい音を作り出すことの必要性を強く意識してきたんだ。スタイル的にはヘヴィになったりダークになったり高揚感が強くなったりしたけど、最終的には俺たちらしさが出たと思うね。そういうのを自分の音楽の中で捉えるのはとても大切なことだと思うんだ。

-実質的にアルバムの最初の曲となるTrack.2「No Way Out」はあなたの少年時代を描いたトラックのようですね? "No Way Out(出口がない)!"と叫ぶほどに閉塞感を感じて少年時代を過ごされていたのでしょうか?

そうだね......。このアルバムでは、サウンドに合わせた歌詞を作ることが大事だったんだ。音楽がとてもアグレッシヴで速いから、歌詞の内容も同じくらいアグレッシヴなものにしたいと考えた。でも今の俺の人生からすると、"怒り"を捉えるのはとても難しいことなんだ。今は何もかもがうまくいっていてハッピーだからね。素敵な家族もいるし。だから、今の自分が感じていないことを書くのは難しかったんだ。だからそういう心境に感情移入するために、青春時代、何もかもがクソだったころに立ち戻ったんだ。フラストレーション、いじめ、罠にはまったような、取るに足らないやつみたいな扱いをされたような気分とか。そういう、自分が成長していく中で大きな衝撃を受けたものたちを紐解いて、それらを言葉にしてみたんだ。

-そういう、必ずしも明るくなかった過去を紐解くのはなかなかつらい作業だったのでは。

うーん、でも古傷をえぐるとか、そういう意味でのつらさはなかったな。俺はそういうタイプじゃないから。ただ、今の自分からそういう過去に再び繋がろうとする作業が大変だったね。頭をそういう状態に戻して、また怒りの気分を呼び起こすっていうのがね。今の自分とは違うものを感じるっていう点でそこが1番難しかったな。でもいくつか曲ができて、そういう気分のときにどうやって曲を作ればいいかを思い出したら、あとはすんなりいったよ。

-そういった自分のルーツを描いたからこそ、5作目にして再び初期衝動が剥き出しになったような今作のサウンドに繋がったということでしょうか?

音楽的には初めからそういうサウンドにしたいって強く思っていたんだよね。だから歌詞を書く前に曲が全部できていたんだ。歌詞が先じゃなくてね。俺たちはミュージシャンだから、サウンドをアグレッシヴにしたいと思ったらとことんアグレッシヴにすることができるんだ。そこには感情を持ち込む必要がないというか。それで、できあがった音楽がとてもヘヴィで、ものすごく速いものだったから、歌詞作りが余計大変だったんだ。その音楽に見合った歌詞を書かないといけないって確信したからね。そこが難しかった。いろんなレベルの怒りがあるからね。10段階中8くらいの怒りを出したような気がする。だから曲の書き方としてはそんなに大変じゃなかったけど、あんなアグレッシヴな曲を作ってしまったら歌詞もマッチさせたいと思って、怒りの気分を紐解いたということだね。

-なるほど、歌詞と曲の順番は、われわれが思っていたのとは逆だったんですね。それで今のハッピーな自分がアグレッシヴな歌詞を書くために怒りの気分になるのが大変だったという。

そういうことだね。それに、1日中曲を書いているわけじゃないだろう? もう随分長い間やっているから、部屋に入ればすぐリフを思いついたりするけど、そこに感情を織り込んで歌詞にするのが難しいところなんだ。