－ヴォーカル・ラインのメロディの活かし方や曲の構成について、前2作はシンプルさを重視したというか、迷ったらシンプルな方を選んだような印象でしたが、今作では"とにかくやりたい方を選んだ"ような印象を感じました。曲作りのうえで、重視した点やあるいは前2作と変わった点がありましたら教えてください。

そうだね......カギとしては、アグレッシヴにすることに焦点を当てていたということだね。スピードのあるものにすること、エキサイティングなものにすること。ひと言に集約させるとすれば"エキサイティング"だ。最初の数音聴いただけで惹きつけられて、心臓の鼓動が速くなって、興奮するような曲を作りたいと考えた。それが過去2、3作には欠けていたと思うんだ。エネルギーがね。曲もサウンドも良かったし、気に入ってくれた人も多かったけど、俺自身が実際のソングライターとして批評するとしたら、エネルギーに欠けていた。だから今回は曲作りをするときに、"この曲はエキサイティングなのか？"と毎回自問したんだ。もしそうじゃなかったらゴミ箱行き。新しい曲を書くだけだ。

－どの曲もスリルがあって、心に引っかかりますよね。中でもTrack.3「Army Of Noise」が特に特徴的ですが、初期スラッシュ・メタルを想起させるような、スリリングな展開のギター・リフを現代的にリアレンジしたパートが作品の随所で目立って聴こえました。今作のギター・ワークの面で意識していたことを教えていただけますか？

あの曲もエネルギーがすごいよね。ああいう曲を取り戻したかったんだ。速くてエネルギーに溢れていて、聴いていると心臓の鼓動が速くなりそうな曲をね。そういう曲を作りたかったから、作ったんだ（笑）。

－その通りにリスナーにも伝わりますよ。

良かった。嬉しいね。

－ソロ・パートも、長すぎず、短すぎず、絶妙なバランスでしっかりと掛け合いながら導入されていますね。ソロ・パートについてはいかがですか？

うーん......曲を書いているときに、ソロが必要かどうかっていうのが自然にわかってくるんだよね。今回はアルバム全体でも4つくらいしかソロらしいソロはないんじゃないかな。俺たちにとっては決して多くないね。ときには必要がないと思うこともあるんだ。メタル・バンドだからと言って無理に入れることはしないね。曲が必要としていて、俺たちも"よし、この部分にソロを入れたら素晴らしいものになるぞ"と思えたらそこが入れどころであって、ソロのためのソロっていうのはやらないんだ。今回はソロが少なくなったことによって、逆にその部分にレパートリーを凝縮することができたと思う。似たようなテーマのソロを10やるよりも、4か5に絞ってそれぞれをまったく個性的なものにする方がいいからね。

－MVにもなっているTrack.5「You Want a Battle? (Here's a War)」の合唱パートは大胆でものすごく印象に残るのですが、これもあなたのアイディアですか？

そうだね。実はあの部分は、初め冒頭になくて、代わりにインストゥルメンタルなパートが入っていた。でも曲を聴き返したらパワーが足りない気がしてね。もっとすぐにリスナーを惹きつける何かが欲しいと思った。それで少し編集して、合唱パートを前に持ってきたら、すぐに"オーケー、クールだ"という感じになったんだ。今度はメタルらしい、アンセム感の強い曲になった。パワーもずっと増したし、すぐに心に引っかかるものになったんだ。

－たしかにそうですね。もうこのアルバムのツアーも始まっているんですよね？

南米のツアーが一昨日（※現地時間の7/18）終わったばかりだよ。今はアメリカでSLIPKNOTとのツアーの準備をしている。南米では「You Want a Battle? (Here's a War)」をやったよ。

－来日のころには、みんな合唱できるようになっているでしょうね。

その瞬間のために作った曲だからね（笑）。ソングライターとしてね。できあがった曲を聴いた途端に、あぁこれはオーディエンスのお気に入りになるぞって思ったよ。南米でも、まだ新しい曲なのに、みんな耳を傾けて一緒に歌ってくれたんだ。ビデオが3週間前に出たのかな？ みんな早速チェックしてくれていて、オーディエンスが一体になってくれた。クールだったよ！

－今作のリリースを前に1stアルバムから前作4thアルバムまで12年以上に渡ってバンドの低音を支えてきたJason "Jay" Jamesの脱退が発表されたのには本当に驚きました。デビューからこれまでメンバー・チェンジもなくやってきたのに、今回の脱退～メンバー・チェンジへと至ったのはどういった経緯だったのでしょうか？ 差し支えない範囲で教えてください。

メンバー・チェンジは思ったよりずっとスムーズにできたんだ。もちろんJayを失った時期は俺たちにとってとても大変な時期だったけどね。ラインナップが変わったのも初めてだったし。Jayとは今までも今も友達だけどね。そもそもこのバンドを始めるずっと前から仲が良かったんだから。このバンドでJayと一緒に成長していったということを考えるだけでも、バンドとしてあいつを手離すのはとてもつらいことだったよ。でもJamie Mathias（Ba）がオーディションのテープを送ってくれて、そのあとライヴ・オーディションをやったんだけど、あいつが来てくれたおかげでメンバー・チェンジがスムーズにできたんだ。Jamieもウェールズ出身で、しかも同じ地域の出身だしね。でもウェールズ出身者を探していたわけじゃないんだ。相応しいやつを探していただけで。Jamieはオーディションを受けにやってきたんだけど、まったく素晴らしかったよ。声もいいしプレイも本当にうまいし、前のバンドでツアー経験もあったしね。だからメンバー・チェンジそのものはとても楽だったんだけど、そこに辿り着くまでが大変だったんだ。感情的になったからね。