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INTERVIEW

摩天楼オペラ

2015.04.07UPDATE

2015年04月号掲載

摩天楼オペラ

Member:苑 (Vo) 彩雨 (Key)

Interviewer:荒金 良介

-それはバンド的には新しい試みですか?

苑:他にもやってる人はいるかもしれないけど、僕ら的には初めての試みでしたね。

-大きな教会で聴いてるような響き方ですもんね。

苑:ああ、そうですね。それを人工的に作れるんだなと。「ether」は今1番聴いてます。全員の楽器のバランスを変えたところもあって、声の周りの空間を今までより大きくしたんですよ。曲を再生したときに壮大感が増して、いくら音量を上げても耳が痛くないし、心地いいんですよね。特にそれを意識したのは「ether」だけですけど、他の2曲もそれに添うようなサウンドにしました。

-耳心地がいいものを意識したのはなぜですか?

苑:メタルは"カチッ""ビチッ"って固い音が多いじゃないですか。それは音量を上げたときに耳障りになったり、疲れたときは聴きたくないと思っちゃうんですよ。全パートを優しい音にしたかったんです。耳に心地いいメタル・サウンドがいいなと。大昔は音が柔らかかったけど、90年代からだんだん固くなり、2000年代は機械音になった。でも最近は機械音が発達したのか、音を大きくしても耳障りじゃないバンドも増えてきて、それに近づけたいと思って。

-誰か参考にしたアーティストはいるんですか?

苑:NICKELBACK、DRAGONLANDの音源を聴いて、"なるほど"とヒントになりましたね。

-バグパイプの牧歌的な音色、NICKELBACKも土臭さだったり、耳に心地いいメタルという発想が面白いですね。「ether」の歌詞は今の時代性ともリンクするところがありますよね。

苑:そんなニュースばかりですからね。子供が殺されたとか、テレビ観ているときは嫌だなと思うし、いざ歌詞を書こうと思ったときも頭の中に残ってるんですよね。なぜこういうものがなくならないのかなって。そういうときに人と人の繋がりやあたたかさをみんな経験していると思うから。それをもう1度見直したら、少しずつ争いごとはなくなるんじゃないかと。

-彩雨さんは「ether」の歌詞を読んで、どう感じました?

彩雨:例えば光と闇ってあるじゃないですか。ヴィジュアル系のロック・バンドやメタル・バンドなら、間違いなく闇を選ぶと思うんですよ。希望と絶望なら、絶望をテーマにする人が多いと思うけど、ウチのバンドは迷わず光と希望を取るバンドだなと。

-はははは。

彩雨:ウチもバンドを始めたころは闇を取ってたんですよ。でもバンド活動する中でスケールがどんどんでかくなって、曲に対するテーマが壮大になったんですよね。で、メジャー・デビューからちょっと経つと、光を取るようになった。今までの積み重ねもありつつ、今回はしっかり光をテーマにしてるところはウチらしいなと。

-光と希望を取るようになったのは、自ら欲してる部分でもあるわけですよね。

彩雨:リスナーを導く存在になりたいと思ってるんでしょうね。リーダーであり、ヴォーカルの苑にはそういう器があると思います。インディーズ時代は闇を愛する男だったかもしれないけど、今は光の中心に立って、みんなを引き連れて、社会の荒波に向けて闘っていく気概が育ったのかなと。クリエイターとしての器がでかくなってるから、それが作品以外のライヴ・パフォーマンスやレコーディングにも滲み出てると思います。

-苑さんの変化はいつごろから感じました?

彩雨:ライヴをやるうえで、"欲望丸出しでガツンとやろう!"という話し合いを数年前にしたんですよ。それからライヴが急にアグレッシヴになって、少しずつ変わっていった気がするんだけど、どうですか?

苑:マジすか(笑)。『Justice』(※2012年リリースの1stアルバム)あたり?

彩雨:そうそう。その後の『喝采と激情のグロリア』(※2013年リリースの2ndアルバム)とか、テーマがどんどん壮大になってる気がして。

苑:ああ、ほんとだね! 全然気づかなかった。

彩雨:ウチはライヴでもキーボードが横向きになってるんですけど、僕はメンバーとお客さんの両方を観れる立場なので、よくわかるんですよね。

苑:照れ臭くて、体温が上昇してます(笑)。音楽を初めて20年ぐらい経つけど、自分ができることが見えてきたし、今は等身大の姿で闘いにいける自信というか、それは生まれた気がしますね。

-それはなぜですか?

苑:同じメンバーで8年やってきて、音楽を鳴らすことの素晴らしさに気づいたことが大きいですね。ここで何も感じずにやってたら、終わってると思うんですよ。当たり前のようにバンドを続けていることの大事さにも気づいて、それを守る心も生まれてきたのかなと。だから、力強くなれてるのかもしれない。

-そうなんですね。

苑:メンバー5人でよくミーティングするので、そのぶつかり合いの中で気づくこともありますからね。今は"リスナーと一緒に頑張って行こうぜ!"という方向に気持ちが向いてます。