LIVE REPORT
BabyKingdom
2024.12.29 @池袋 harevutai
Writer : 杉江 由紀 Photographer:菅沼剛弘
夢の国。ワンダーランド。パラダイス。名称こそいろいろあれど、時間を忘れてエンターテイメントにどっぷりと浸かることのできる空間は、時にストレス発散の場にもなれば、癒やしという名の現実逃避先にもなり得るものだろう。4人組ロック・バンドのスタイルをとりながら、"MUSIC THEME PARK"を標榜するBabyKingdomがライヴの場で展開してくれるものとは、つまり極上の体感型ロック・ショーだ。
これまでも様々な世界、それぞれのテーマを通して斬新且つ楽しいアトラクション(楽曲)を提示してきた"べびきん(BabyKingdom)"が、2024年10月に両A面シングル『CALAVERAS/サルサルーサ』で新たに踏み込んだのは、メキシコにおける"死者の日"とメキシコ発祥の音楽をモチーフとした新領域。そして、それに伴った"winter oneman tour『PARADISE of the DEAD』"でも彼等はライヴ・バンドとしての新次元にまで駒を進めることになったのかもしれない。
そのファニーでファンタジックなヴィジュアル・イメージから、あまり彼等のことを知らない界隈からは、単にコミカルもしくはイロモノ的なイメージを持たれるケースもあり得るように思えるが、例えば今回のツアーでお披露目となった最新シングル収録曲「AVARITIA」については、楽器隊の放つ音にフォーカスすればそのザクザク、ドコドコ、ブリンブリンさは限りなくメタル然としているため、きっと地に足の着いた演奏ぶりに驚く人も多いのではなかろうか。
そもそも胎教音楽がメタルだったという、生まれながらのロック・ドラマーにして曲によってはダンスでも観衆を魅了する多才な虎丸-toramaru-。着ぐるみ系コスチュームを着こなす一方、ジャズ音楽からベースの勉強を始めたという職人型プレイヤー もにょ-monyo-。タッピング等の小技も随所で駆使しつつ、安定したバッキングから華麗なソロまで自在にこなすギタリスト 志記-shiki-。そして、"べびきん"の顔としてアッパーで楽しい楽曲から美しいバラードまで表情豊かに歌い上げるヴォーカリスト 咲吾-shogo-。企画性や戦略性の秀逸さもさることながら、まず彼等はバンドとしての頑強な基盤を持っていることが最大の強みであるはず。
"2024年はアルバム『FUNNY∞CIRCUS』を出してからと、今回の両A面シングル『CALAVERAS/サルサルーサ』を出した後の2回ツアーをやったんですが、バンドとしてはとても学ぶことが多かったです。そして、改めてべびきんにしかできないことがたくさんあるなという再確認もできました。今からやるアトラクションは自分たちが生んだ曲ですが、今回のツアーではそれをみんなと一緒にこんなにも力強いものに育てて来られたことを本当に誇りに思います。今年のライヴは今日が最後となりますが、来年もまたワクワクしかしない日々にしていきましょう!"(咲吾-shogo-)
ちなみに、今宵のライヴでは2024年に50周年を迎えたキャラクター モンチッチとのタイアップ曲「サルサルーサ」で"御本人"が登場して"べびきん"との共演を果たす一幕があったほか、本編ラストの「CALAVERAS」で祝祭ムードを醸し出した後にも、さらなる"延長営業"ことアンコールで"ばぶりーず"(※ファンの総称)とさらにブチ上がることに。
また、ダブル・アンコール前の幕間映像では3月発売予定の19thシングル『SEIMEI』とツアー"spring oneman tour 『悪気滅殺~陰陽道~』"に関する予告映像も流され、次回コンセプトはなんと陰陽師であることが発表されるに至った。BabyKingdomの描く新世界にも乞うご期待!!
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