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LIVE REPORT

HYDE

2023.09.09 @幕張メッセ 幕張イベントホール

Writer : 杉江 由紀

ゼロ距離での熾烈なる総力戦。それが繰り広げられることになったのは、ライヴハウスではなく幕張メッセ 幕張イベントホール=アリーナ・クラスの大会場だったのである。

"3年の雪辱を晴らす時が来た。お前たちを縛る規則はもうない! マスクは要らない。大きい声を出しても誰にも叱られない。今まで悔しい思いもたくさんしてきたよな。なぁ、幕張!! 今日は3年の空白を埋めようぜ。あのときからの続きをしよう!!!"(HYDE)

拡声器を持ったHYDEが、オーディエンスに向けてこう吼えるように宣言することで始まったのは"HYDE LIVE 2023 Presented by Rakuten NFT"。今年ここまでに続いてきた一連のライヴを総括する、そのファイナルとして行われた2デイズ公演の初日だ。

ちなみに、今宵のステージ上に出現していたのは仮想都市 NEO TOKYOという名の空間になるが、これはもともと2018年にHYDEがソロ・ワークスを再始動させた際、シングル『AFTER LIGHT』の発表と同時に提示された世界観。下敷きになっているのは映画"ブレードランナー"や"AKIRA"で醸し出されていたサイバーパンク的異世界で、実はどちらの物語も時代設定は2019年であることが共通点だったりもする。

そして、2019年と言えば否が応でもCOVID-19の件が連想されてしまうのは致し方ないところ。HYDEはコロナ禍に対応したアコースティック&観客着席形態での"HYDE LIVE 2020-2021 ANTI WIRE"を行ったりもしてきているが、そのときのぴあアリーナMM公演で"ホントなら、ここでみんなとグシャーってなるライヴをやるつもりだったんですよ"と、少し残念そうに彼が語っていたことも意外とまだ記憶に新しい。

でも、だからこそ、HYDEは今回の幕張公演に向け、きっと並々ならぬ想いを抱いてきたのだろう。前述の宣言を受けての1曲目「DEFEAT」から初速は振り切っている状態で、その激音に煽られた観客たちが飛び跳ねる振動の影響により、筆者のいた2階スタンド席は映画館にある4DXシートのごとくグワングワンと揺れ出してしまったほど。

また、気づけば「AFTER LIGHT」ではクラウドサーフを楽しむ人々の姿が多々見られ始めたうえ、なんと「SICK」ではHYDE本人がアリーナ・フロアへと降臨し、場内の仕切り柵上に立ち上がっての大胆なパフォーマンスを展開することに。さらに、そのような光景はこのあとサークルピットが場内の方々に生まれた「MAD QUALIA」や、聴衆が盛大にシンガロングした「DEVIL SIDE」などでも幾度となく繰り返されたのだった。

"今日と明日でファイナルです。このツアー、途中で危うく止まってしまいそうになったこともありましたが、なんとかメンバーやスタッフに支えられてここまでやって来れました。(中略)まぁ、もっと簡単に稼ぐ方法はあるんだと思う(笑)。チケット代を高くして、お金持ちの人に愛想振り撒いたり。でも、そんな守りに入った俺を観たいか? 今ここにいるやつらは俺の善き理解者だ。この景色は金じゃ買えない! この3年、俺はこの景色を夢に見てきた。取り返すぞ、幕張!! 倍返しだ!!!"(HYDE)

またもHYDEがフロアへ降り立ち、それこそ"みんなとグシャーってなるライヴ"が具現化された「SEX BLOOD ROCK N' ROLL」までの全20曲。なんでも、場内の方々を歩き回ってHYDEが柵上に立つたび、倒れぬようにしっかりと支えてくれていたのは有志ファンらであったそうだが、こうしてアーティストと観客がゼロ距離の関係性で総力戦を勝ち取ったこの事実はあまりに尊い。つまり、HYDEの夢は今ここに満願成就したのだ。


RELEASE INFORMATION

ニュー・デジタル・シングル
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