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INTERVIEW

SOFTSPOKEN

2024.05.24UPDATE

2024年06月号掲載

SOFTSPOKEN

Member:Sam Scheuer(Vo) Chris Wethington(Gt)

Interviewer:山本 真由 Translator:安江 幸子

オハイオ州のロック・バンド、SOFTSPOKENが、VAMPROSEとエージェント契約を締結。VAMPROSEはHYDEやASH DA HEROのマネジメント、というイメージが強いかもしれないが、近年は海外アーティストの日本での活動の支援にも力を入れている。そんななか今回来日ツアーが決まったのが、このSOFTSPOKENというわけだが、彼らはもともと日本と縁の深いバンドだ。今回のインタビューはそんな日本との関係も含め、親しみやすい人間性と音楽への情熱が伝わる内容となった。


ジャンルにスタイルや暗黙の流儀があるのは知っているけど、ヘヴィなパートもソフトなパートも入れたいんだ


-日本のメディアとのインタビューはこれが初めてでしょうか?

Chris:ああ。

-それは光栄です! では、簡単にバンドとメンバーの紹介をお願いします。

Chris:もちろん! (※Samに向かって)どうぞ。

Sam:バンドのヴォーカリスト、Samだよ。ハロー、みんな(※手を振る)! 今日はインタビューをしてくれてありがとう! (※親指を立てつつ)超光栄に思っているよ。......じゃあ、今度はこっち(Chris)だ(笑)。

Chris:俺はChris、ギターを弾いている。他に、今はここにいないけど、ドラマーのKevin(Potts)とベーシストのDylan(Carter)がいるよ。

-SOFTSPOKENは、もともとはギタリストのChrisによるソロ・プロジェクトで、それがどうやって現在のバンドのかたちになっていったのか、その経緯を現メンバーとの出会いも含めて教えていただけますか? Chrisが唯一の結成メンバーなんですよね?

Chris:そう。いい質問だね。俺がプロジェクトを始めたのは、実は日本に住んでいた頃なんだ。そのあとアメリカに帰国して......Samは俺の次に古いメンバーで、高校時代はバンドこそ別々だったけど、いろんなショーでよく一緒になっていた。だから昔からの知り合いなんだよ。ベーシストのDylanは別のバンドにいたところを俺たちが"盗んだ"(笑)。で、ドラマーのKevinは......。

Sam:俺の知り合いだったんだ。俺は音楽以外に建物の塗装や改装工事の仕事をしているんだけど、俺を雇ってくれた人が今うちのドラマーなんだよ。

-彼は今もあなたの"上司"なんでしょうか。

Sam:ある意味そうだね。俺は案件ごとに仕事を請けるかたちなんだけど、それで何件か雇ってくれてね。仕事の合間に音楽の話をしたら、同じような音楽が好きだってわかったんだ。最終的には"誰かプレイヤーを探していたら声を掛けてくれ"と俺が言った。地元も同じだからね。そうしたらあいつがこっちに加わってくれて、今じゃフルタイムのメンバーだ。俺が企画したクールなギグに出てもらったのが初めでね。元ボスが今はメンバーだから、仕事とのスケジューリングの兼ね合いが楽なんだ(笑)。

-ずいぶん音楽的な工事コミュニティなんですね(笑)。

Chris&Sam:(笑)

Sam:そうなんだよ! いつも音楽を聴きながらやっているから時間が過ぎるのも早いよ(笑)。

-Chrisは日本に留学経験があるんですよね。どのくらいの期間行っていたんでしょうか?

Chris:1回目はリュウガクセイ(※日本語で)だったんだ。名古屋にあるナンザンダイガク(南山大学)に1年間だけ。そのあと1年間アメリカに戻って、次は英語の先生......ALT(外国語指導助手)として4年間、ショウガッコウとチュウガッコウで教えていたよ。

-それも名古屋界隈でしょうか?

Chris:いや、ギフシ(岐阜市)で。とてもいいところだよ。

-南山大学には交換留学か何かで? 留学中は何を専門に学んでいたのでしょうか? 音楽とは関係ない目標もあったのでしょうか。

Chris:そう、交換留学で、日本研究をしに行ったんだ。(本国での)専攻は歴史で、音楽とは何の関係もないよ(笑)。日本に行ったときは音楽をやめて"ちゃんとした"仕事に就かないと、と思っていたんだ。でも日本でまた音楽を始めちゃったんだけどね。留学のときは日本語と歴史を専攻していたよ。

-日本史もですか。

Chris:そうだよ。

-下手な日本人よりも日本の歴史に詳しいんじゃないですか。

Chris:もしかしたら(笑)。

-今"音楽をやめてから日本に行った"とおっしゃっていましたが、SOFTSPOKENの前にもバンドをやっていたんですね?

Chris:そうだね。バンド活動を始めたのは高校時代で、やめたのは大学の最終学年で南山(大学)に留学する直前だった。でも日本に教えに行ったときは、日本のバンドに入ったんだ。だからバンド活動をしたりやめたり、みたいな感じかな。

-音楽をやめようとしたけど、音楽はあなたにやめさせてくれなかった。そんな感じですね。

Chris:そう言ってくれるとかっこいいね(笑)!

-SOFTSPOKENとしてのこれまでの活動について教えてください。2016年に1stシングル「Shorelines」を発表していますが、この時期が本格的にバンドが動き出した時期、ということでしょうか?

Chris:そうだね。

-あなたはアメリカに戻ったあとで。

Chris:そうだね。そのときはまだSamじゃなくて別のヴォーカリストが歌っているけど、俺がアメリカに戻ったのは、2015年の終わりだったかな? 12月。で、あの曲を書いたのも2015年12月だったんだ。

-戻ってからすぐに本格始動! という感じだったんですね。Samは2017年頃の加入でしたっけ。

Sam:そうだね。

-あなたの加入以来、2018年には1st EP『Pathways』をリリース、翌2019年にはビルボード・チャートのハード・ロック・アルバム部門で20位を獲得した1stアルバム『Deaf Perception』をリリースしていますね。この時期は、かなりハイペースに制作していたようですが、ライヴのために曲を多く作りたかったなど、何か理由があったのでしょうか? あるいはSamの加入によってバンドのエンジンに拍車が掛かったとか。

Sam:そのすべてだろうね。あと、俺とChrisが一緒に組んだことによって、音楽をどんどん追求していきたい、このマシンを大きくしていきたいという気持ちが強くなったんだ。大きなショーに出るチャンスを掴んで、俺たちの音楽を楽しみながら大きなプラットフォームに広げていきたいと思ってね。

Chris:そうだね。俺たちはいつも曲を書いているし、できるだけ早め早めに活動するようにしているんだ。結果使わないことになる曲もあるけど、停滞しないように、ものごとにあまり時間をかけすぎないようにしている。

Sam:それに業界的にも、ゲームに参加したいなら立ち止まらないで動き続けていないと、という感じだからね。

-高校時代からの友達同士ということで、このバンドで一緒に組んだことによって新曲を作りやすい、クリエイティヴな状態になりやすいなどはありますか。

Chris:このバンドは"SOFTSPOKEN(物腰が柔らかいこと)"という名前だけど、Samはときどきちょっとクレイジーにもなれる(笑)。しかし同時に"SOFTSPOKEN"な人間でもあるんだ。穏やかでいい声だしね。俺自身もそんな感じで......ふたりとも背が低いし、学校では蚊帳の外に置かれることが多かったから(苦笑)、そういう共通点があったのが役立ったと思うよ。マインドセットも似ているんだ。

Sam:そうだね。一体感がないとうまくいかないと思うけど、俺たちはふたりともアスリートみたいな気持ちで(ストイックに)臨んでいるからうまくいくんだ。

-なるほど。2021年には2nd EP『Where The Heart Belongs』がリリースされていますが、特に収録曲の「Sleight Of Hand」では、Samの繊細なヴォーカル・ラインが際立っていて、ヘヴィなだけでないSOFTSPOKENの魅力がよく伝わってきます。こういった音楽性に影響を与えたアーティストなどはいたのでしょうか?

Sam:Chrisと俺はポスト・ハードコアを通ってきたんだ。SAOSINとかUNDEROATHとか。俺は歌モノも大好きだから、そのジャンルのシンガーもよく聴いていたよ。SAOSINのAnthony Green(Vo)ももちろん大好きだ。あとJonny Craigという歌手がいてね(元DANCE GAVIN DANCE/Vo)。そのジャンルにはいいシンガーがたくさんいるんだ。ヘヴィなのもよく聴いているよ。そういうものの影響が大きかったな。

Chris:俺もだね。曲を書くときのギターへのアプローチはとにかく自分らしくやろうとしているから、自分が聴いて育ってきたバンドの影響が濃く出ていると思う。今こいつも挙げていたUNDEROATHからの影響は大きいね。俺のオールタイム・フェイヴァリットはAS CITIES BURNなんだ。彼らがビッグかどうかは知らないけど、俺のスタイルには大きな影響を与えている。そんな感じで、俺のギターのスタイルとこいつのヴォーカルのスタイルを組み合わせて、そこに一緒に組むプロデューサーがひねりを効かせて、いい曲ができるんだ(笑)。

-他のメンバーそれぞれのよく聴いていたバンド/アーティストや、音楽活動のきっかけとなったジャンルなど、音楽的なルーツについても教えていただけますか?

Sam:Kevinは俺やChrisと同じように、クラシック・ロックも聴いて育っているね。親が聴いていたようなタイプの音楽。家ではQUEENがよくかかっていたよ。Kevinはよく好きなドラマーとしてDave Grohl(FOO FIGHTERS/ex-NIRVANA etc.)を挙げているね。彼の影響が大きかったらしい。NIRVANA時代もFOO FIGHTERSになってからも。Dylanは......今ここにいたら、きっとCREEDについて延々と語っていたと思うよ。最近大々的にカムバックしたからね。そんな感じで、90年代のちょっと古いロックが好きなんだよ。でも俺たちもDylanもKevinもメタルコア、エモ、スクリーモの世界で育っていて今もよく聴いているんだ。

Chris:俺が音楽をやろうという気になったのは、親の影響でTHE BEATLESを聴いて育ってきたからかな。それから兄貴がバンドでギターを弾いている姿を見てきたから、"俺だって弾きたい"と強く思うようになったんだ。クールな兄貴が弾いているんだから俺もクールになりたいなんてね。それでギターを始めたんだけど、ロックを聴いているうちに、THE BEATLESからIRON MAIDEN、BLINK-182、NIRVANA、そういう感じに通ってきて、エモやスクリーモの世界に辿り着いたんだ。KevinとDylanは『Where The Heart Belongs』のあとで加入したわけだけど、やつらの音楽のテイストはなんでもありだね。今Kevinは"スワンコア"というのにハマっているんだ。知ってる? DANCE GAVIN DANCEみたいなサウンドのバンドをそう言うんだ。で、Dylanはなんでも聴くよ。

Sam:この前俺が塗装の仕事をしていたら、ジャズを送ってきたな(笑)。

-だからこそ音楽性が多彩なんですね。ひとつの曲でもいろんな方向に飛んでいるといいますか。

Sam:そう、今指摘してくれたのが俺たちにとって大切なところだからね。ダイナミクスが大事なんだ。それぞれのジャンルにスタイルが存在するのは知っているし、"これはこのタイミングでやらなきゃ"とかいう暗黙の流儀みたいなものがあるのも知っているけど、俺たちはヘヴィなパートもソフトなパートも入れたいんだよ。