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LIVE REPORT

Non Stop Rabbit

2022.09.15 @EX THEATER ROPPONGI

Writer 藤坂 綾 Photo by 菊島明梨

7月20日にメジャー2ndシングル『無自覚の天才』をリリースしたNon Stop Rabbitが、東名阪ツアー"無自覚とは言いつつ多少は自覚がある天才ツアー2022"を開催。そのファイナルが9月15日、EX THEATER ROPPONGIにて行われた。

矢野晴人(Vo/Ba)の"昔々あるところにウサギとカメがいました。あの日敗れたウサギはこう思いました。俺たちはもう止まらない。止まらないウサギ、Non Stop Rabbit始めます"という言葉を合図に「ALSO」でスタートしたこの日のライヴ。初っ端から緑のレーザーが会場を刺し、続く「乱気流」ではステージ上の左右に設置されたミラーボールが回り、音とともに五感を刺激する。そこから「明るい歌」、「私面想歌」、「TABOO」と間髪入れずに披露。想いが溢れるかのようなその勢いとは裏腹に、田口達也(Gt/Cho)は内へ内へと向かうがごとくプレイに集中し、太我(Dr)もまた音をひとつひとつ確かめるように目を閉じて演奏する。

"改めまして、Non Stop Rabbitです!"。矢野のこの言葉で我に返ったかのように、会場には大きな拍手が鳴り響く。演奏中のクールな姿とは打って変わり、会場にちなんで六本木での思い出話を繰り広げるメンバーのトークに、会場は一気にアットホームな雰囲気に。

アッパーな曲で矢野と田口がお立ち台に立って激しいプレイを見せたかと思えば、「夏の終わり」、「恋愛卒業証書」ではしっとり且つエモーショナルな世界を見せ、"バラードへの入り方がうまくなった"と自画自賛の田口のMCで再び観客をリラックスさせたあとは、「偏見じゃん」、「推しが尊いわ」とポップなナンバーで盛り上げる。と、ここでメンバーは何者かにステージから連れ去られステージ袖へ――そして再び登場したのは......なんと全身タイツ姿の矢野と田口じゃないか。驚く観客を前に「豆知識」をノリノリで披露し、途中、指揮者の衣装を身に纏った太我がステージ中央のお立ち台に立ち、その衣装を黒子が両方から引っぱると赤の全身タイツ姿というオチ。3人ともいたって本気だからかっこいい。

会場はリラックスしつつもヒート・アップし、TVアニメ"転生賢者の異世界ライフ ~第二の職業を得て、世界最強になりました~"オープニング・テーマでもある「無自覚の天才」から中盤戦へ突入。「三大欲求」、「ハニートラップ」と凄まじい勢いを見せ、全員で「ジャンボリミッキー!」を踊りクール・ダウンしたあとは、"今日はまじですごい気がする。すごいところまでいけそうな気がする。せっかくライヴをやってるから今までのライヴを超えたい。みなさん、一緒に超えてくれませんか?"(矢野)と「アンリズミックアンチ」へ。「Needle return」では矢野と田口が楽器を置き、ステージ狭しと暴れまくり、煽りまくり、「Refutation」ではこの日一番の一体感を見せる。

"久しぶりにノンラビ(Non Stop Rabbit)に会った人いる? よく来てくれました。ありがとう"と田口が改めて感謝を述べ、"俺たちはこれまで自分で考えて、自分で決めて、自分で決断をしてきた。メジャー・デビューも俺たちがしたくてした。豊洲PITも俺たちがやらないって決めた。俺たちは自分で選んで後悔したい。そんなことを考えたときに、やっておかなくちゃいけない場所があるなと思って"と2020年3月、中止を選んだ豊洲PITのステージに来年3月に立つことを発表。そして、"優等生になんてならなくていい。自分のやりたいこと、自分で決めたことを精一杯追っ掛けてください"と「優等生」を披露する。"1回やってみたかった"という田口のリクエストで会場にいた人たちに携帯のライトを灯してもらい、きれいな景色の中、「PLOW NOW」で幕を閉じた。

この2年、様々な選択を余儀なくされた人は多いだろう。いや、そうじゃない人なんていないし、この2年に限ったことでもない。"自分で選び、自分で決める"――人生はこの連続だ。でもそれは必ず自信へと繋がる。この日の彼らの全身全霊の姿がその証拠だ。この自信が行きつく先をずっとずっと見届けたい。

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