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LIVE REPORT

KAMIJO

2018.10.31 @ダンスホール新世紀

Writer 杉江 由紀

華麗なる"仮面舞踏会"への招待状。その主宰者としてこのたび我々を誘ってくれたのは、常に華やかな雰囲気を纏いながらも、重厚な音像をもって自身の追求するストーリーと美学を描き出し続けている、KAMIJOだ。

"僕のソロが、今年の夏で5年を迎えたんですよ。そのことに対する感謝の気持ちを込めたうえで、ファンのみなさんに楽しんでいただきたいという気持ちから、今回はハロウィンの夜にサプライズをご用意しました。現代の日本ではあまり馴染みのない、中世ヨーロッパの雰囲気が漂う「仮面舞踏会」を、とにかくみなさんには堪能していただきたいと思っています。僕は純粋に、みなさんに喜んでいただきたいだけなんですよ(笑)"

ハロウィンといえば、日本においてはすっかり渋谷界隈での乱痴気騒ぎがメジャーになってしまった感もあるが、このたびKAMIJOが"仮面舞踏会"を行ったのは、東京のディープ・ゾーン、鶯谷にて現役稼働しているダンスホール新世紀。ここは普段は実際に社交ダンスが楽しめる場として営業されているだけでなく、どこかクラシカルでシックな雰囲気も漂う空間だけに、"仮面舞踏会"を行うにはまさにうってつけの会場と言えた。ちなみにこのパーティーは、KAMIJOによる感謝の気持ちから入場無料となっていたこともここに付記しておこう。

そして、この魅惑の夜宴はキャストによるダンス・レクチャーなどを交えながら、来場者たち自身もまた舞踏会に参加できるような形となっており、それぞれの"仮面舞踏会"仕様でドレスアップした人々が大広間で思い思いに踊ったり、談笑したりという日常では絶対に味わえない時間を過ごすことができるだけでなく、合間合間には、ダンスフロアの中央部やステージ上にていくつものショーが行われていくことに。

誰もが知る"シンデレラ"の物語が演じられてみたかと思えば、千葉の重鎮 JAGUAR(※数十年のキャリアを持つが、近年テレビ番組"月曜から夜ふかし"などでまた話題となっている)がギラギラとした電飾の施されたJAGUARウェイで突如現れてみたり、ミュージカル"オペラ座の怪人"の一場面が繰り広げられたり、可憐なドレス姿で会場へと現れたHIZAKI(Versailles/Jupiter/Gt)がKAMIJOと軽やかな舞踏を見せたり。さらには、これまたKAMIJOと親交があるという元宝塚歌劇雪組トップ・スター、えまおゆうがミュージカル"エリザベート"から「愛と死の輪舞」を披露する一幕もあり、参加者たちはいわゆるライヴとも観劇とも微妙に異なるこの"体験目撃型"のショーを、"仮面舞踏会"の一環として味わうこととなったのだった。

なお、この"仮面舞踏会"終盤では、悲劇の王妃 マリー・アントワネットが姿を見せることになったものの、何者かによって誘拐されてしまうという事件が発生。これによりKAMIJOと参加者たちには、ダンスホールとは別の場所へ、急遽マリー・アントワネットを救いに行くミッションが与えられるという、それこそサプライズな展開が! というのも、実のところダンスホール新世紀は、建物内の階段によりライヴハウス 東京キネマ倶楽部と移動できるような構造となっており、移動した先ではKAMIJOが、結果的に"仮面舞踏会"に継ぐシークレット・ライヴを、我々へ供してくれることになったのだ。当然こちらも無料。

かくして、こちらの東京キネマ倶楽部においては、KAMIJOのデビュー曲「Louis ~艶血のラヴィアンローズ~」や、アニメ"ベルサイユのばら"のOP曲カバー「薔薇は美しく散る」など、全11曲がフル・バンド形態でのライヴにて熱演され、これにより場内が終始オーディエンスによる歓声で溢れ返ったことは言うまでもない。

"僕は、いつまでも革命家でありたいと思い続けてきた。今日は来てくれてありがとう。これからもよろしく頼むぜ!" 中世フランスと現代日本が複雑にオーバーラップする壮大な物語を、音楽という形で織り成し続けるKAMIJOの独自のスタンス。それが今回の"仮面舞踏会"とシークレット・ライヴでは改めて表出したことになるだろう。あくまでも華麗に、あくまでも濃厚に、あくまでも大胆に。KAMIJOの持つ強い美学は、ここからも様々な形で革命を生み出していくに違いない。

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