DISC REVIEW
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ヘヴィ・メタルという縦糸と、耽美論という横糸。そこにドラマ性という染料を組み合わせて丹念に織り上げられたのが、KAMIJOの生み出したこの『カストラート』という作品なのではなかろうか。KAMIJOのソロ・ワークスにおいては、ルイ17世にあたるルイ・シャルルという主人公の存在が軸となり、史実とフィクションを絶妙に交錯させたオリジナル・ストーリーが、荘厳且つ奥行きのある音像とともに展開してゆくのが最大の特徴。表題曲ではAnzi(ex-摩天楼オペラ)が流麗なるギター・ソロを鮮やかに弾いてみせている点も要注目であるほか、今後発表されるであろう次作へと繋がるヒントなどもここには隠されているらしい。KAMIJOの生み出す、豪華絢爛な音楽絵巻の世界をご賞味アレ。 杉江 由紀