DISC REVIEW
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劇的というより、むしろこれは劇そのものだ。この1年半ほどライヴでのみ披露されてきた表題曲「Nosferatu」は、昨年発表された『カストラート』、『mademoiselle』に続くKAMIJOの最新作。それぞれにモチーフとされているテーマこそ異なってはいるが、彼がソロ・ワークスの中で一貫して追求し続けているのは荘厳にして流麗な音像たちと、美と愛に対する徹底的且つ哲学的な詞世界にほかならない。なお、今作にはKAMIJOが率いるバンド Versaillesの日本武道館公演にて、重厚な合唱を披露したあのゴスペル・コーラス・グループ Be ChoirがREC参加することで、ひとつの楽曲を劇そのものの域まで彩ることに成功している。故に、3月に控えているというアルバムの仕上がりに向けても、期待は高まる一方だ。 杉江 由紀