LIVE REPORT
PUMP UP THE VOLUME FEST 08
2008.01.27 @大阪SUN HALL
FC FIVE
昼の1時にスタートという、普段行われているSUNHALLでのライブからは想像が付きにくい時間帯にも関わらず、今か今かと待ち焦がれる人で既に会場は熱を帯びた中で、想像に反して一発目にステージに現れたのは茨城のFC FIVE!!オープニングアクトな位置でこの日を盛り上げる為に敢えて先発を買って出ただけあって、やたらと気合の入ったステージを魅せつけてくれた。
15分間というあまりにも短い時間ではあったが、初めて彼らを観る人に彼らの魅力が伝わるには十分な時間。むしろ物足りないと感じてしまう。
すっかりオーディエンスを温めてステージを後にしたのはさすがの一言。
(顕 -AKIRA-)
BURNING SIGN
NYHCをベースに様々な要素を取り入れてストレートに爆走する京都発のBURNINGSIGN。
FC FIVEから彼らへ引き継がれたハイテンションで熱量の高いステージは、ストレートに響く日本語の歌詞と疾走感溢れるサウンドが連鎖し、続々と集まり出すオーディエンス達のボルテージを一気に高めていく。
全力で歌い、演奏する姿が胸を打つ。関西圏のバンドという地の利もあるが、壁にもたれてただ見ているだけの人などいなかった。
(顕 -AKIRA-)
COMADRE
California出身のCOMADRE。UKバンドっぽいハイエナジーなHARDCOREサウンドを奏でる彼らが、他のメンツとは違った音楽性の中でどんなステージを見せてくれるのかをとても楽しみにしていたバンド。
MySpaceなどで視聴出来る曲を聴いて、REFUSEDなど個人的に昔どっぷりとハマッたブチ切れサウンドを奏でているってことで期待していたのだが、その期待を裏切ることなく、エネルギー全開なパフォーマンスも加わってか音源よりも断然に良いステージを披露してくれた。
固定ファンがいてる国内バンドでもなく、今回の目玉的存在の海外バンドってことでもない彼らだったが、演奏力の高さとエネルギッシュなパフォーマンス、やたらマジメなMCとのギャップも功を奏して、確実にその名を刻んで初来日を終えたことになったであろう。
(顕 -AKIRA-)
SILENT DRIVE
楽屋でアーティストのビデオコメント撮りを決行していたら、思ったより時間がかかってしまい、1曲目に演奏したという名曲「4/16」を聞き逃すという大失態を犯しました。オーノー。オーノー!気を取り直して・・・今日の観客の中でも、エモ寄りのキッズからは「SILENT DRIVEが一番楽しみ!」なんていう声も多く聞こえてきた通り、ハードコアを主体にエモーショナルなメロディーと繊細な世界観を持ち合わせたバンド、 SILENT DRIVEが登場だ。
ドラマティックな「American Classic」、静から動への展開に惹きこまれる「Banana Rejection」、躍動感溢れる「Rooftops」と、ライブにおいてもその持ち味である世界観を見事に表現していた。と、思いきやMCでは「バカバカチンチン!」と連呼してみたり、挙句、「アナタノコンビニ、ファミリーマート♪」と、どこで覚えたのかそんな歌も歌って観客を笑いに誘うという、彼らの楽曲からは想像がつきにくいほどユニークなバンドだったのである。
ボーカルのZach JordanがBANEのメンバーということもあり、なかなかコンスタントにアルバムをリリースしてくれるバンドではないのだが、いつかリリースされるであろう新作が楽しみで仕方がありません!
(MAY-E)
EX-C
地元大阪ということもあり、前方ではモッシュピットでテコンドーモッシュなどが炸裂していたりと、連続で続いた海外勢に負けず劣らずなステージを披露してくれたのは、大阪のNEWSCHOOL系HARD COREバンドEX-C。
モッシュピットから少し距離を置き、メンバーを食い入るように見ては首を振り、手を振り上げるオーディエンスを含め、さっきまで海外バンドを飛びつくように見ていた人達までを見事に巻き込み、盛り上げていったのが印象的な映像だ。
この日出演していたバンドは全員がそうであったが、誰しもが全力のパフォーマンス。
オーディエンスだけでなく、出演バンド全員が「この日をとても楽しみにしていた!」とライヴを通して表現する。 そんな姿勢が観ている側も全身で感じ取る事が出来たからこその盛り上がりだと痛感したバンド。
(顕 -AKIRA-)
BANE
USボストンのHARDCORE HEROと称されるBANE。
その名の通りここ日本でも彼らを崇拝するファンは多く、元CONVERGEのメンバーやREACH THE SKY のドラマーが在籍していたり、更には今回のフェスにも出演しているSILENT DRIVEのメンバーまでもが在籍しているとなれば彼らの曲を聴いた事がない方でも気になる存在であろう。
HELLFESTのDVDでも観ることが出来る彼らのライヴ時の凄まじいほどの盛り上がりに国境はなく、今回の公演でもDVDと同じようにダイバーが何人もクラウドサーフしていく現象を作り上げ、ラストに演奏された大名曲『Can We Start Again』では、オーディエンスがマイクを奪いあって熱唱するほどに炎上させた。
これがHARDCOREだ!言わんばかりに、オーディエンスと物販をしていたスタッフやバンドマンまでも巻き込んで暴れまわる彼らのステージを目の当たりにして、その場にいた全員が釘付けになったことは言うまでもない。
(顕 -AKIRA-)
ENDZWECK
今回のイベントの仕掛け人であるのが日本を代表するハードコアバンド、このENDZWECKである。
日本でこれだけ大きな規模のD.I.Y.フェスを計画し、多額の資金を用意し、バンドを集めて、自ら運営するという、恐らく誰もがやりたくてもやれなかった事を実行に移してみせたという勇気あるバンドだ。
手数の多いドラムに加え、唸るようなギター、躍動するベース、これらの轟音から生まれる世界観に思わず圧倒されるも、生演奏ならではのドライヴ感が本当に心地良い。
「今日は来てくれて本当にありがとうございます。無謀な計画ではあったんですけど・・・」と感謝の気持ちを伝える丁寧なMCにもみんな真剣に聞き入っていて、最後には大きな拍手が送られていた。
次に音が鳴った瞬間には、客席とステージが本当に一体化したようなハンパない盛り上がりをみせ、約20分という短い持ち時間はあっという間に終了。 素晴らしいフェスをありがとうございました!次回の開催も楽しみにしています!
(MAY-E)
SET YOUR GOALS
「ステージにいるのはみんなの上に立つためじゃない、みんなと一緒に楽しみたいからなんだ!!」ライブ前のインタビューでそう力強く語ったジョーダンとマットによるバンド紹介からスタートしたのは、アメリカ西海岸きってのメロディック・ハードコアバンド、SET YOUR GOALSのライブである。
彼らの初来日を称える声援を切り裂くように、ギターのディストーションとドラムロールが「Dead Men Tell To Tales」演奏開始を告げる。この次に何が起こるのかわかっているだろ?と言わんばかりに、ボーカルのジョーダンとマットが会場を煽る煽る!!
そんな彼らの想いをハンズアップや手拍子などで応えているパンクキッズがフロアにぎっしり。早くもステージやフロア関係なく一緒に楽しもうとする雰囲気が醸成されつつあったところに、メロディック・ハードコア界の大名曲「Mutiny!」が演奏されるのだ。「反乱を起こせ!!」と吐き出された瞬間、それまで出演していたハードコアバンド顔負けのモッシュ・サークルが出来上がり、さらにテンポチェンジすると同時に、ダイブ、ダイブ、そして、ステージダイブ!!「お前ら、幅跳びかっ!!」とツッコミたくなるほど飛び込んでいた(笑)
ライブ続いての「This Very Moment」「An Old Book Misread」「Work In Progress」「We Do It For The Money,OBVIOUSLY!」などでは、ジョーダンの力強いボーカルとマットの優しいボーカルの織り成す、らせん状のボーカルワークが見事に絡みあっていた。S.Y.G、まさに絶好調である。面白かったのはジョーダンのMC!!たたみかけるように綴られたメッセージ、こんな早口のMCなんて聞いたことないほどに早い。またそれまで出演していたバンドの中で、会場に集まったキッズに向けて「カワサキー!!」と叫んでいたのは私の知る限りではジョーダンだけ。これらのMCに、彼らの大切している一緒に楽しみたいとの姿勢と愛嬌を強く感じたのはきっと僕だけじゃないはず!
ライブ中盤から終盤にかけては、「This Song Is Definitely NOT About A girl」 GORILLA BISCUITSのカヴァーである「Forgotten」などのファストチューンで、ステージとフロアの温度差は完全になくなっていた。特に印象的だったのは、後ろ向きでステージダイブするキッズがたくさんいることだった。後ろ向きのダイブは受け止めてくれる人を信頼していないとできない。このフロアは S.Y.G好き、ひいては音楽好きという絆で結ばれているんだなと感じ、とっても心地いい気持ちになった。
そんな心地いい気持ちとステージダイブに挑戦したいとの淡い想いをかみしめていると、待っていました、個人的にも大好きな「Echoes」。ギターリフが流れた瞬間、フロアからは歓喜の雄叫び!!瞬く間に彼らのライブで最大のサークルが生じ、それがまるで会場の心臓のように機能し、ライブ後半でさすがに疲れの見え始めたフロアにも元気と勇気を与えていた。みんなとってもいい笑顔でグルグルしており、そこには見慣れた激ロッカーたちの笑顔も・・・。そして、興奮を抑えきれなくなったキッズが次々とステージに駆け上り、われ先にとマイクを奪いにかかる。それに負けじとジョーダンとマットはマイクを死守!!その様相はまるで棒上旗奪いのようであった(笑)
体勢を整えて、さきほどとは対照的にラストはしっとりとした「To Be Continued...」であった。メロウなイントロから一気にメロディック・パンクサウンドにシフトチェンジしていく流れにあわせて、フロアはモッシュ・ダイブ、そしてサビになるとみんなでシンガロング。フロアのそれぞれのやり方でラストを力一杯楽しんでいる姿にとても満足げな笑顔を見せた後、ライブ終焉を惜しむ大歓声に包まれながら彼らはステージを後にした。
「みんなで楽しみたい」との純粋な気持ちがひしひしと伝わってきた。彼らの音楽性はもちろん、ライブパフォーマンスにまで反映されているその姿勢こそ、彼らの原点であり、彼らの最大の魅力であると確信できたライブであった。
(吉野 将志)
AT ONE STROKE
BRUTALやDEATH METALっぽい要素がサウンドに影響しているであろう東京のNEWSCHOOL HARDCOREバンドAT ONE STROKE。
いよいよフェスも中盤に差し掛かり、前半から飛ばしっ放しのオーディエンスに疲労が出てくる頃かな?と想像していたのだが、彼らの重いビートダウンやブルータルなモッシュサウンドがそんな暇を与えてくれるはずもなく、またそんな疲れをオーディエンスも一切見せることなく終始盛り上がりを見せるライヴ。
サウンドとは裏腹な冗談を交えたトークもあったり、放たれた言葉が胸に響く的を得たMCを的確に差し込んだりと、きっちりまとめあげられたショウを魅せてくれた。
(顕 -AKIRA-)
NOTⅡBELIKESOMEONE
関西圏では既にその名を轟かせ、全国のHARDCOREファンだけでなく、違うジャンルのファン層からも注目を集めるようになった京都の『ノッツー』ことNOTⅡBELIKESOMEONE。
この日も彼ら観たさに遠方から足を運ぶファンや、彼らのバンTを着ていたオーディエンスが目立っていた。
CHAOTICで叙情的でテクニカルでDEATHCOREの要素もあるHARDCOREと聴いてサウンドを想像出来るだろうか?
この日もVo:TAFが何度も客席にダイヴをし、口を切ったことなんか気にもならないほどに歌を伝えることに全神経を集中したライヴを繰り広げ、楽器の音一つ一つにも感情を乗せて表現していた。
「一度観たら忘れられない」の言葉がとてもしっくりくる強烈なインパクトを残す日本人離れしたライヴパフォーマンスとその演奏力。
日本人離れしているのに、どこか日本人だからこそ訴えかけられる要素が曲中に見え隠れするあたりもハマる要因として挙げられる事が多い彼ら。
ライヴが終わる頃にはその日初めて彼らのサウンドに触れ、虜となったオーディエンスが最前列へ詰め寄る光景もぼちぼち定番となってきたほど、この日の存在感は飛び抜けていた。
(顕 -AKIRA-)
MISERY SIGNALS
US Milwaukee産MISERY SIGNALS。 PUMP UP THE VOLUME FES'08参加バンドのアナウンスが一番遅かったのに、反響が凄まじかった記憶も新しいMISERY SINGALS。
この日彼らのライヴが観たくて集まったオーディエンスはこんなにいたのか!と驚かされるほど、フロアは人、人、人...。熱気がムンムンと立ち込め、今にも爆発しそうなほどに高まったテンションをギリギリのところで抑えていたのも束の間、あっという間のセットチェンジでメンバーがステージに登場し、雄叫びにも似た歓迎の咆哮と同時に一気に人が前方へと押し寄せる。
前回の来日時にはまだ在籍していたボーカルのJESSEが脱退し、2ndアルバムリリース前にオーディションにて新ボーカルのKarlを迎え入れた彼らであったが、今回の来日でその新ボーカルが日本初お披露目となる公演というだけあって、個人的にも非常に楽しみにしていた。
持ち味でもある叙情的重厚リフと、クリーントーンのアルペジオギターが胸を締め付ける神々しいエモパートが交差し、そこへ更にタフガイな新ボーカルKarlの咆哮が残酷に畳み掛けてくるから堪ったもんじゃない。
メンバーのヘドバンに合わせてオーディエンスがヘドバンし、名曲『The Failsafe』のアウトロパートを原曲より長く演奏するなど、フロアの空気を掌握して導いていくかのようなパフォーマンスの連続。周到に練られた静と動の劇的な変化が、ライブでは更に深みを増すのが恐ろしい。
HARDCOREのライヴで涙が出そうになったのは、はじめてだ。と終わったあとに話すオーディエンスの言葉に納得。ライブハウスの真っ黒な天井から、一筋の光が差し込んで来るのではと思ってしまうほど神々しいステージだった。
(顕 -AKIRA-)
B.D.UNION
大阪の重鎮HARDCOREバンドB.D.UNIONの登場とあって、のっけから超攻撃的なモッシャー達でごった返すフロア。ミドルテンポが主体でビートダウンも交えた抜群の攻撃力を誇るサウンドは、今日一番と思われる規模のモッシュピットを作り上げ、オーディエンスに加えて先程まで演奏していたバンドマンも続々とモッシュの渦に巻き込んでいく。
日本のHARDCOREの熱さを海外バンドに見せてやろうぜ!と叫ぶ彼らの超攻撃的サウンドは、確実にその場にいた人々に届いていただろう。
(顕 -AKIRA-)
SWORN ENEMY
大阪の大トリを務めたのは、USのQueens出身バンドSWORN ENEMY。
ボーカル以外が全員メタルバンド並みのロン毛なルックス、それに加えて新作『Maniacal』でも随所に盛り込まれている重厚なメタルリフが右から左から繰り広げられるもんだから、盛り上がらない訳がない。セットリスト一曲目の定番『Sworn Enemy』から始まったパフォーマンスは、終始モッシュピットを出現させては会場の熱気を加速させ、まるで最後の力を全て出し切って楽しんでやると身体で表現するかのようにオーディエンスも暴れ狂い、一緒になって歌い叫んでた。
CD の音を忠実に再現する演奏力に加え、ライヴの臨場感と緊張感を混ぜた極悪で極上のHARDCOREサウンド。アンコールを求める声が鳴り止まぬまま幕を閉じることとなったのが大変残念ではあったが、日本と海外のバンドが、このように共演することで生まれたその場にしか存在しない一体感を皆が感じていれば、きっと次回も開催されることだろう。
あの時のアンコールはもう一度、こんなフェスをやってくれ!と、そういう気持ちで叫んでいたように聞こえてならなかった 。
(顕 -AKIRA-)
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