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LIVE REPORT

cage9 Japan Tour 2007

2007.10.09 @代官山UNIT

FC FIVE

7:00pm「初めて見る人も多いかもしれないけど、僕らはエフシーファイヴっていいます。楽しんでいってください」といった丁寧なMCで定刻通りにスタートした、茨城最強のハードコアバンド、FC FIVEが先陣を切ったケイジナイン・ジャパンツアー東京公演。
スローな「Dawn Break」からアグレッシヴな「A Thousand shams」への覚醒するような展開が、ゾクゾクするほどかっこいい!
この2曲しかり、新作のリリース時期とちょうど重なった為、今夜のセットリストはニューアルバムからのセレクトが中心ではあったが、最後は中央でサークルを作っていたキッズに置き土産とでもいうように「COME TO THE END」でがっつり暴れさせて、20分と短めの持ち時間は終了。
もっと見たい!物足りない!と思うほど後を引かせるライブでした。

(MAY-E)


PINBOYS

PINBOYS ライブ

オープニングアクトのFC FIVEに続いて登場したピンボーイズ。
デンマークから来た男女ツインボーカルのパンク・バンドで、のっけからメタルエッジで硬派なパンクチューンをぶちかます!

サム41のデリックをもっと男前にしたような男性ボーカル・ジェーコブは、ギター片手にハスキーボイスを聞かせる。そして女性ボーカル・アンの歌声が素晴らしい。硬派な演奏にも負けないハリがあって力強い声だ。Myマイクを持ち込んだという彼女のコダワリにも納得。

PINBOYS ライブ

彼女はまるで水着のようなセクシーな衣装で、歌いながらも腰をくねらせ、大きな胸を揺らしてとにかく踊りまくる。スタンドマイクをポールと見間違えてしまいそうなほどに激しくてセクシー!


途中、このボーカル二人がマイクを背中越しにシェアするなどの微笑ましい姿も見られるなど、彼らのパフォーマンスは見ているだけでも楽しいのだ。


さらに決め手はノリのいいMC。皆をかがませ、「4つ数えたらみんなでジャンプして!イチ、ニー、サン、シ!」と日本語でカウントを数えてみたり。


PINBOYS ライブ


アウェイな空気をものともしないこのタフネス。曲がすすむごとに、手を上げて体を動かす人がどんどん増えていく様子は見事で、最後にはダイバーすら出るほどの盛り上がりよう!

持ち時間の40分間が終わると、無意識のうちに大きな拍手を送っていました。

ただ一つ残念なのは大阪公演で披露したアイアン・メイデンのカバー曲を、東京公演でこそプレイしてほしかった!

(MAY-E)


Pay money To my Pain


激ロックではDJムラオカも最近好んで選曲し、現在話題性と共に人気も急上昇している日本のラウドロックバンド、Pay Money To My Pain。

今日はCage 9のジャパンツアーのサポートアクトとしての出演だが、個人的にはCage 9と同じ位ライブを見るのを楽しみにしていた。


メンバーが登場してアルバムのタイトルナンバー「Another Day Comes」からライブはスタート。

メンバーの立ち姿を見た瞬間、カリスマ性のある人たちだな~という印象を受けた。カリスマに備えられる要素の一つには、緊張感、緊迫感を与えられること、というのがあると思うのだが、その要素を十分に満たしている。

フロアもライブのスタートと同時にモッシュが沸き起こる。

Pay Money To My Painというバンドに対しての期待感の表れなのだろう。

演奏はとても安定していて、うまいな~という印象だ。メンバーのプロフィールを見ると、プロミュージシャンとしての活動暦があるメンバーばかりということに大納得。やはり演奏はうまいに越したことはないのだ。

「Lose your own」で、本格的な激しいモッシュが起こる。とても爆発力のある曲だし、"爆発させる"ことも、とってもうまい。せっかくの楽曲のもつ力をライブで発揮できないバンドというのはとても多いのだが、PTPに限っては心配無用だ。とても安心して聴いていられる。演奏がしっかりしているからこそ、メンバーの動き、表情に注目できる。
彼らには"怒り"とか"哀しみ"を、ラウドロックというアートで表現しようという、生粋のミュージシャンシップのようなものが伺える。素晴らしいことだ。


「The sun love and myself」では曲の速さに合わせてのモッシュ。K氏のファックサイン(後方にいたので見えづらかったのだが、多分。)が印象的。私は、ロックというのは聴いた時に何かしらの衝動に駆られたり、自分をせきたてられているような気持ちになるものだと思っている。彼らの演奏を聴いていて、私は衝動を感じることが出来た。


「From Here to Somewhere」では、K氏のボーカルスタイルはとてもマッチョなのに、脆く儚い繊細さも垣間見て、更に魅力を感じた。

「Against the pill」の後、ギターのPUBLO氏が膝の怪我の為松葉杖だったのだが、なぜかブチ切れて松葉杖を壊してしまった。膝、大丈夫かな。心配ですが、「paralyzed ocean」でのジミヘンのような弾き方に感動しました。こういう、先代の偉大なアーティストへのリスペクトというか、影響を感じると、個人的にとても安心します。


ライブを終えて、Pay Money To My Painというバンドには、何かあるなと感じた。最近こういう気持ちになるのは正直多くない。K氏はロサンゼルス在住ということもあり、とてもアメリカ的な音。現代のハードコア、スクリーモを昇華したスタイルにしても、正直革新性は感じなかったものの、日本においてここまで本格的なアメリカの音を鳴らせるバンドは貴重だろう。

そして、光る存在感、カリスマ性、ロックの衝動をきちんと感じさせてくれるパワーにとても惹かれた。


このバンドがめちゃくちゃ売れたら、日本の音楽シーンが面白くなることは確かだろう。

(KAORU)


CAGE9


MAD CADDIES ライブ

日本未発表曲を集めた企画アルバム「Chaos Morning」を引っ提げての、初のCage 9来日公演。

この日の代官山UNITのフロアはほぼ満員。対バンが豪華だったこともあるだろうが、あらためてCage 9というバンドに対する日本のリスナーの期待度はとても高いのだろうということを感じた。

Pay Money To My Painのライブが終了し、いよいよ今夜の主役、Cage 9の登場だ!

客層を見渡してみると、男ももちろん多いが、お洒落な女の子もかなり多い感じ。


フロアの歓声と共に、アルバム「El Motivo」の一曲目、"Ice to Eskimoz"でライブの幕開け。ギターのエフェクトが美しい逸曲だ。そして、想像していた以上の重厚感のある演奏に、いい意味で裏切られた気持ちになった。なんか凄くいいライブになるんじゃないかな?なんてワクワクした。

しかし、音のバランスがいまいち良くない。これはバンドのせいではないのだろうが、とても残念だ。


"A LAST LULABYE"、"EMERGENCY "と、ライブは順調に進む。フロアから暖かい手拍子が起きた。

インキュバスのブランドンを彷彿とさせる、美しいEvanの声にはうっとりさせられる。

しかしフロアは前方以外にはまだ様子見なお客さんが多く、届ききっていない感も否めない。


MAD CADDIES ライブ

改めて思ったのは、Cage 9のサウンドプロダクトというのは非常にクオリティーが高く、バンドサウンドの構成を熟知しているなぁと思った。これはEvanが様々なバンドの音楽制作に関わっていることが大きなポイントだろう。

楽器隊は基本的にストイックなプレイだ。

ちなみにドラムは元DEPSWAのGordonだが、もうちょっと派手にオカズなどが入れたら、もっともっとアがるのにな~とも思った。


序々にフロアの熱気が後方まで届き始め、"PLANET ME ""SICK OF IT "ではメタリックなリフが炸裂し、やっとフロアが爆発した!


MAD CADDIES ライブ

みんなでジャンプする場面では振動が後方のこちらまで伝わってくる。

GustavoとJesseの楽器隊の絡みも、とてもよく考えられているなと思った。

Evanのスクリームも、ただ単に叫ぶだけではなく"「叫び」という表現"をちゃんとしていると思った。

"STATIC FIGHT "で照明は真っピンクに。一気にナルシスティックでエロな雰囲気に。

ちょっとCage 9とは違う感じの雰囲気だが、それはそれでよしだろう。


MAD CADDIES ライブ


舞台が暗転し、ギターのフィードバックが印象的な"DEAD LETTER "がスタート。とても静謐な曲で、場内も皆引き込まれ、見入っている。

Cage 9には、こういう曲がとても似合うなと思った。曲そのものの表現のスケールは大きいが、とてもに内省的。革新性よりも"自分のリアル"を追及し、尚且つロマンチックでスタイリッシュな曲。


ライブも終盤。"MY DOPPELGANGER "ではダイブが起きた!しかしダイブした人をよく見たら、激ロックに来てくれているお客さんだった!とても頼もしく感じました(笑


MAD CADDIES ライブ

みんなで手を挙げ、「HEY! HEY ! HEY!」と掛け合いも起き、フロアの熱はかなり増した!私もMAY-Eも激ロックでかけた"Hollywood Car Crash "だ。

最近踊れるロックというのが流行っているが、Cage 9のこの曲はラウドなアプローチで躍らせてくれるので、激ロックでもとてもかけやすく、思わずテクノの曲と繋いでしまった大好きな曲だ。
ミラーボールが回り、雰囲気はさながらディスコ。しかしここはロックバンドのライブ。フロアはモッシュの嵐だ!

しかし音のバランスは最後の最後まで悪いまま。音響が悪いというのは本当にきついし、勿体ない。初めてライブを見る人にとっては、音響ひとつで、そのバンドに対する評価が絶対に変わってしまうのだ。しかし、音が悪くてもバンドのテンションもフロアのテンションも変わらずに熱かった。


改めて今回のライブを見て思ったのだが、Cage 9は、エンターテイメントとして成り立つだけの楽曲力はあるが、 決して派手ではないし、派手になるべきバンドでもないんじゃないかと思う。

その、ある意味地味さというのも彼らのいいところなのだろう。しかしとても誠実な姿勢で、音楽に対するリスペクトはひしひしと伝わってくる。

リスナーにとって信用出来る、誠実で良質なバンドだなと感じた。

(KAORU)


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