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INTERVIEW

BULLET FOR MY VALENTINE

2021.11.04UPDATE

2021年10月号掲載

BULLET FOR MY VALENTINE

Member:Matthew “Matt” Tuck(Vo/Gt)

Interviewer:菅谷 透

-今回はバンド・ロゴも引っかき傷のような新しいロゴになっていますが、デザインの意図を教えていただけますか?

フレッシュにスタートしたかったからね。こういうサウンドでアルバムもセルフ・タイトルになるし、変えてみようということになったんだ。もっとも、過去にもロゴは変えてきたし、ひとつのものに固執するバンドではなかったけどね。そういうバンドは多いし素晴らしいと思うけど、俺たちはそうしていなかったから、これからはこのアイデンティティをキープしようと思っているよ。いろんなアイディアが出てきていろんな人たちに相談したんだけど、中でも「Knives」のビデオを一緒に作ったCarl Addyという人がいてね。「Knives」のビデオのヴィジュアルをいろいろ考えてくれた人なんだ。彼がBFMV(BULLET FOR MY VALENTINE)のロゴや今回使われているシンボルをデザインしてくれた。とても気に入っているし本当にクールだと思うよ。

-アルバムのアートワークは頭蓋骨を模したもので、シングル「Parasite」ではそれが虫のように変化しています。こちらも同じ人が作ったのでしょうか。

そう、Carlだ。あと、Fiona Gardenという女性とも一緒に作ったよ。5人目のメンバーというか、俺たちの守備範囲にないものを担当してくれる人という立場なんだ。俺たちはミュージシャン&ソングライターであって、グラフィック・デザイナーじゃないからね(笑)。ああいうヴィジュアル的なものを考えるプレッシャーを俺たちから取り払ってくれる役割なんだ。もちろん自分たちもそういうのは好きだけどそれが専門ではないし、音楽に集中したいから、Fionaを起用してそういうのを担当してもらうことにした。そうしたらFionaがCarlに引き合わせてくれた。アイディアや歌詞の内容に合ったアーティスティックな人を探してくれるんだ。

-アルバムのイントロでは、「Waking The Demon」(2008年リリースのアルバム『Scream Aim Fire』収録曲)、「Your Betrayal」(2010年リリースのアルバム『Fever』収録曲)、「Hand Of Blood」(2004年リリースのEP『Bullet For My Valentine』収録曲)など歴代の作品の楽曲がサンプリングされています。個人的にもテンションの上がる演出でしたが、これらの楽曲を入れたのはなぜでしょうか?

これもまた、今のバンドの状態を表しているんだ。セルフ・タイトルのアルバムを出すということで、今まで自分たちがやってきたことに触れておきたかった。こういう道を歩いてきたから今の俺たちがあるという意味でね。そこから「Parasite」になだれ込んで、また新しい道が始まるんだ。

-あとに続く「Parasite」への期待を高めてもくれますね。

ああ。もちろんまだ実践はできていないけど、ライヴ・ショーでもあれをオープニングに使おうと考えているよ。

-それは楽しみですね!

期待とノスタルジアを同時に感じさせると思うんだ。そこから"BULLET 2.0"への流れが最高だよね。

-そんなオープニング・ナンバーの「Parasite」は歴代でもトップクラスに強烈なスラッシュ・チューンです。歌詞もパンデミックを想起させるものですね。

あれは去年の夏、Padgeの自宅スタジオで書いたんだ。最後に書いた3、4曲のひとつじゃなかったかな。書き続けているうちにどんどん激しいものができてきて(笑)、「Parasite」ができたときは"うわっ、これ以上ないくらいヘヴィになったな"と思ったよ(笑)。それもあって、オープニングにぴったりだと思ったんだ。一番インパクトが強いと思ってね。速さも一番だし、今まで書いた中でも一番"顔面にパンチを喰らわす"ような感じにできたと思う。歌詞的には、パンデミックがなかったら使わなかっただろう言葉がいくつか出てくる(苦笑)。それが今思い浮かぶ言葉なんだったら、使わない手はないと思ったんだ。もっともこういうご時世だし、そういう言葉選びをすることには迷いもあったけど、内容自体はパンデミックのことじゃないからね。あの曲は激しさがすべてなんだ。結果こんな形になってとても喜んでいるよ。激しい曲からアルバムを始めたかったし、いい始まりになったと思う。

-2曲目の「Knives」は(2021年6月20日にイギリスで行われた)"Download Festival"のパイロット版で披露していますよね。ファンの反応はいかがでしたか。

最高だったよ。というか、イベント全体が壮観だった。イギリスでメタル・フェスが行われたのはほぼ2年ぶりだったしね。そんなイベントの大トリを務めることを打診されて、なんて名誉なことだろうと思ったよ。本当にハッピーだった。俺たちはああいう瞬間のために人生のすべてを懸けてきているわけだからね。そりゃ通常の"Download Festival"みたいにみんなが大合唱したり踊ったりしていたわけじゃないけど、それでもオファーがあったことが本当に素晴らしいことだった。そこで新曲を披露できたというのは俺たちにとって大きなボーナスだったよ。オーディエンスのリアクションも、これ以上ないってくらい最高だったんだ。ステージを降りた時点でメンバーが4人ともハッピーだった。そういうことはなかなかないんだ。

-良かったですね!

本当だよ! ステージを降りて、みんなで"これだよ!"と言い合っていたよ。いろんな意味で特別なライヴだったからね。コロナのこともあったし、イベント自体の趣旨、それが俺たちにとって何を意味するか、ライヴで演奏すること......すべてが忘れられない1日になった。

-そのライヴの時点で「Knives」が第1弾シングルになることは決まっていたのでしょうか。

そうだね。「Knives」を最初に出すことはもっと前から決まっていて、リリースの3週間くらい前に"Download"のオファーがあったんだ。星が1列に並んだみたいにぴったりのタイミングだったよ! それで、「Knives」が木曜日(6月17日)にリリースされて、その週末、日曜日(6月20日)にプレイしたんだ。リリース日のほうは先に決まっていたけど、その3日後にライヴでプレイできるなんてね。こんなに素晴らしい始まり方はないよ。

-ちなみに「Knives」を最初に出した理由は?

アルバムが受け容れられるためのドアを開いてくれる曲だと思ったんだ。「Parasite」ほど激しすぎないし、曲のオープニングの感じもいかにもBFMVらしいしね。あのヘヴィネスで俺たちだってすぐにわかってもらえる。俺たちのファンじゃなくても、あれだったら"BULLETだ"と思ってくれると思うんだ。そういう要素があるのは大事だからね。「Parasite」にもその要素はあるけどちょっとエクストリームだから、すぐにわかってもらえるほうにしたんだ。

-なるほど。"Let The Madness Begin"のフレーズもぴったりという感じですね。

まったくだよ。ああいうビッグなオープニング・ラインがあるのはいつもいいことだよね。

-「Shatter」は新境地とも言えるグルーヴ・メタルに振り切ったナンバーです。この曲についても教えていただけますか?

あれは「Knives」と同じくらいのころ、2019年の時点で最初に書いた曲のひとつなんだ。その時点で書き終えることはできなかったけど、アイディアとオープニングのリフはすでにあった。とにかくものすごくハードで、スローで、なおかつシンプルな、リフがスレッジハンマーみたいに強烈な曲が欲しくてね。METALLICAの「Sad But True」を彷彿とさせるものを目指したんだ。

-なるほど!

あとはRAMMSTEIN的な感じもね。スローでヘヴィでブルータルで。ああいう曲は今までやったことがなかった。俺たちにとっての新境地なんだ。オープニングのあのリフが決まったとき、"よし、これはクールだ"と思ったよ。シンプルな曲を書くのは大変なんだから。テクニカルなものを書くほうがよほど楽だよ。スピードや激しさでごまかすこともできるからね。でも「Shatter」みたいな曲だとアラを隠しようがないんだ。

-音数が詰まってないですしね。

そう。スペースがたくさんある。ああいう曲は、実は書くのがとても難しいんだ。

-「No Happy Ever After」、「Death By A Thousand Cuts」など、聴くだけで巨大なモッシュ・ピットが生まれることが想像できるような楽曲も多いですが、早く実際にライヴで披露してみたいという楽曲はありますか?

今回のアルバムはそういう意味でとてもトリッキーなんだ。言うまでもなくまだツアーはやってないけど、実際やるときには曲選びに相当手間取るだろうね。どの曲もプレイしたいって気持ちがものすごく強いから。でもそれは現実問題としてできないから、ものすごく長いワールド・ツアーをやってセットリストを変えていくしかないね(笑)。

-ローテーションにするとか(笑)。

うん。曲を書くときはいつも"セットのこのへんに入れたい"とか思うものだしね。"いい曲だけどライヴにはちょっと"と思うことがあまりないんだ。今回はシングルをピックアップするのも悩んだよ。どれもシングルになり得るクオリティだからね。まぁ、嬉しい悩みだよ(笑)。

-では、アルバムのリリース後の活動についてうかがえますか? 10月から11月は全英ツアー、来年早々にはヨーロッパに行くんですよね。

ああ。でも今年はまだ本来やりたい数ほどはできないね。年末に向けて全英ツアーがあって、そのあと少し時間を空けてヨーロッパ・ツアーを入れたんだ。コロナ禍があるから予定に余裕を持たせておきたくてね。あとはブレグジット(※イギリスのEU離脱)! 二重の悪夢だよ(苦笑)! でももう何週間かしたら、オーストリアでまたパイロット・イベントがあるんだ。

-オーストリアですか。

そう。"Download"みたいな感じのフェスに呼んでもらったんだ。"Nova Rock Festival"と言ってね。

-それはいつ行われるんですか。

9月11日。だから今からわりと近いよね。そのあとハロウィンの日(10月31日)から全英ツアーがあるんだ。今年はそれで全部だよ。だからまだまだ静かだね。実施すらまだ確定ではないけど、すべてノーマルに行われるつもりで取り組むよ。それが俺たちにできるベストなことだからね。

-ヨーロッパ以外の地域でも早くツアーができるようになって、日本に戻ってきてほしいですね。ちなみに日本盤のボーナスCD(※2CDデラックスのみ)には"SUMMER SONIC 2018"のライヴ音源が収録されることが決定していますが、ライヴの思い出などあれば聞かせていただけますか?

そう、日本にはとっておきのボーナス・トラックを用意したよ! 東京公演のやつなんだ。入れられることになって嬉しいよ。あれが今のところ日本での最後の公演から、俺たちには意味の大きなものなんだ。あのころはこんなことになるなんて当然誰も思っていなかったしね。この前俺たちの許可用に音源を送ってもらったんだけど、ノイズも雰囲気も最高だったよ! 本当に最高だったんだ。日本のファンにも早く聴いてもらいたいね。もちろん新曲のほうが大事ではあるけど、あれは陶酔感の強いショーだったんだ。どうしてかはわからないけど、とにかく雰囲気がシビれるほど良かった。あのショーのことは1分1秒憶えているよ。とにかく忘れられないショーのひとつになったんだ。

-嬉しいお言葉ありがとうございます。最後に、このアルバムと次回の来日を楽しみにしている日本のファンにメッセージをお願いします。

日本のファンのひとりひとりにありがとう! 長年の間に俺たちのためにしてくれたこと、応援してくれていることに心から感謝しているんだ。どんなこともちゃんと気づいているよ。新作を気に入ってくれますように。俺たちはとても気に入っているし、みんなにも気に入ってもらえる気がするんだ。来日可能な状況になったら一刻も早く飛んでいくよ! 前回からあまりに時間が経ってしまったし、早く戻りたいんだ。本当にありがとう!