INTERVIEW
OUTRAGE
2018.09.07UPDATE
2018年09月号掲載
Member:丹下 眞也(Dr)
Interviewer:荒金 良介
メタル・バンドでありながら、メタルの枠を超えたいと思ってる
-話を聞いて、すごく腑に落ちました。フロアでステージを眺めているような感覚ですね。それとBRAHMANと対バンした渋谷CLUB QUATTRO公演(2018年7月8日に開催された[BRAHMAN × OUTRAGE SHIBUYA CLUB QUATTRO 30th ANNIVERSARY "QUATTRO STANDARDS"])はいかがでしたか?
ライヴをやる前にどうなるのかなって、不安はゼロではなかったんですよ。BRAHMAN目当てのお客さんにどこまで入り込めるのかなと。でも、思った以上に温かく受け入れてくれましたね。BRAHMANのみなさんもOUTRAGEが先にデビューしたこともあり、リスペクトを持って演奏してくれたし、そういう発言もしてくれましたから。正直な話、BRAHMANの方が知名度が高いし、いろんな経験をしているにもかかわらず、リスペクトを込めて共演してくれたので嬉しかったですね。それが自信にも繋がるし――メタル・バンドでありながら、メタルの枠を超えたいと思ってるんですよ。昔からそういう気持ちはありましたけど、さらに強まりましたね。
-メタルの枠を超えたいとは具体的に言うと?
自分たちの表現は変えずに、いろんな場所や光景を見たいなと。BRAHMANのときも違う景色が見えたし、そこで感じることもありましたからね。もともと人に媚びずにやりたい気持ちはあったけど、誠意を持ってきちんとOUTRAGEの熱を伝えられたら、受け入れられるんだなと。逆にこっちがいつもと違う風景だからって遠慮したら、気持ちの部分で負けますからね。どこでも120パーセント出せるメンタルの強さを持ち続けたい。BRAHMANも、普段OUTRAGEを観ているメタル・ファンに対して、一生懸命やれば伝わるだろうという意気込みでやったと思うんですよ。それは僕らも同じですからね。今後もいろんな人たちと対バンしたいですね。
-そして、11月には"『Black Clouds』完全再現 Tour 2018"も控えてます。
おおもとは今年『Black Clouds』30周年というのがあって、必ずしもそのタイミングでやらなくてもいいんだけど――バンドはいつもなんらかのイベントを自分たちで考えなきゃいけない。その一環ですね。バンドにもお客さんにもそういう刺激を作って、老化を防ぐというか。
-老化を防ぐ、ですか(笑)。
刺激がなくなったり、きれいなお姉さんにも興味がなくなって、内にこもってしまったら、心が老化すると思うんですよ。心が老化したら、身体も老化するだろうし、心が老化したらバンドは続けられないですからね。ちゃんと計画性を持って、自分たちで動く必要があるなと。『BLIND TO REALITY』(1989年リリースの2ndアルバム)は来年30周年を迎えますけど、それはやる意味があるかなと思っているんです。完全再現をやりたい作品と、やりたくない作品というのもあるんですよ。
-『Black Clouds』は丹下さんにとって完全再現したい作品だと?
不思議なもので、ジャケットと音の内容がフィットしたときに思い入れが深くなるんですよね。例えば『THE FINAL DAY』はジャケを見たときは"なんじゃこれ?"だったけど、できあがった音に納得したので、この音にはこのジャケだよねと思ったんです(笑)。完全再現したい作品は、自信を持って自分の宝物を見せられるような感覚なんですよね。『Black Clouds』は代表作ではないけど、やりたいと思う何かがあるんですよ。だから、人の評価はあまり関係ないかもしれない。
-話は変わりますけど、『Black Clouds』は1988年リリースで、同年発売のメタル・アルバムを調べてみると、JUDAS PRIESTの『Ram It Down』、IRON MAIDENの『Seventh Son Of A Seventh Son』、BON JOVIの『New Jersey』、METALLICAの『...And Justice For All』、SLAYERの『South Of Heaven』などがありました。ちなみに前年1987年はGUNS N' ROSESの『Appetite For Destruction』、DEF LEPPARDの『Hysteria』、WHITESNAKEの『サーペンス・アルバス(白蛇の紋章~サーペンス・アルバス/原題"Whitesnake")』などがヒットし、メタルが一大ムーヴメントとなった時代です。
そのへんの有名どころは全部聴いてましたけど、1988年当時は70年代のハード・ロックとかを掘り下げて聴いてましたね。NWOBHMは以前から聴いてましたけど、名古屋に入ってこないレコードとかを外国の友達から借りて聴いてました。『Black Clouds』のどこかのパートで、JERICHOというイスラエルのバンドからヒントを得てますからね。
-『PLAY LOUD EP』(2002年リリースのEP)でJERICHOの「Ethiopia」をカバーしてましたよね。
『Black Clouds』のころはプロ意識も多少芽生えてきたので、音を研究しながら聴いていた気がしますね。このバンドの音はかっこいいなって。それと、こういうバンドになりたくないという意識も出てきたんですよ。WHITESNAKEの『サーペンス・アルバス』を聴いたときに、曲はいいけど、このサウンドはキラキラしすぎてて、聴きづらいなと。WHITESNAKEは大好きなんですけど、David Coverdale(Vo)はもっとブルージーに歌えばいいのになって。
-そうですか(笑)。逆に自分たちのなりたい像も明確になってきました?
はい。やっぱりMETALLICA、SLAYERですかね。
-ちなみに丹下さんはMETALLICAの『...And Justice For All』もすんなり受け入れられました?
素直に受け入れられましたよ。めちゃくちゃかっこいいなと。音が悪いとか言われてますけど、全然音が悪いとは感じなかったし、単純にギター・リフがかっこいいと思いましたから。あと、MOTORHEADはいつの時代も憧れなので、ああいうバンドになりたいですね。