INTERVIEW
BRING ME THE HORIZON
2013.05.14UPDATE
Member:Oli Sykes(Vo)
Interviewer:ムラオカ
-今作は本国ではRCAからのメジャー・デビュー作でもありますね。このアルバムの曲作りを始めたのはいつだったんでしょう?
曲を書き始めたのは去年の3月だね。大体25曲ぐらい書いて……レコーディングは10月から始めたんだ、それまではずっとツアーをやってたからね。で、イギリスに戻ってからスタジオに入って……うん、そんな感じだ。
-なるほど。以前に比べるとメジャーとインディーの差はそれほどでもなくなったと思いますが、それでもあなたがたのような音楽性のバンドがメジャーからリリースされるというのは凄いことではないかと思います。RCAへの移籍の経緯について詳しく教えてください。
うーん、そうだな、多分自然な成り行きってことだったんじゃないかな……。このアルバムを作る前の段階で、僕らのキャリアはそれまでの環境においてはほぼピークと言えるようなところまで登り詰めてたんだよね。もうそれ以上、そこまでの所属レコード・レーベルにできることはなくなってたって言うか……資金的な面とか、いろんな意味でね。そのままそこに留まっても、多分それ以上先へは行けないだろうなっていうのが見えてしまったんだ。ぶっちゃけPVを作りたいと思っても、自分たちの思う通りのことをやろうとすると、それは予算的に無理だって言われたりして……つまり、次の段階に進むにはもっと大きなレーベルの手を借りなきゃどうにもならないところまできてたんだと思う。商業的な面でも、アーティスティックな面でも、それまでのやり方を脱するには既存の選択肢では手詰まり感が否めなくなってたんだ。それでもっと大きなレーベルに行けば、もっと楽に僕らのやりたいことを、やりたいようにやれると考え始めて……そんな時にRCAが僕らに興味を持ってるらしいって話が来たんだ。まず、向こうの担当者がUKでのショウを何度も観に来てくれたんだ。で、彼らはもの凄く僕らを気に入ってくれて、色々と好条件を用意してくれてね。その反応が僕らの方としても嬉しくて、是非契約をって話になったんだよ。
-なるほど。
ただ、メジャー・レーベルと契約するに当たって、僕らの最大の不安は、彼らの期待するようなセールスの結果が出なければ簡単に切られるんじゃないか、売るためには音楽性を曲げろって言われるんじゃないかってことだったんだ。そういう目に遭ったヘヴィ系のバンドを大勢知ってるからね。でもRCA側からは、彼らの会社全体としての方向性が今、ロック路線回帰に向かってるっていう説明があって、彼らは元々ヘヴィ・ロック・バンドを求めていたわけだから、僕らはただそのままやりたいことを、やりたいようにやればいいって言われたんだ。ファンシーなロック・バンドを求めてるわけじゃないんだからって。今でも覚えてるけど、1番最初に担当者が僕らのライヴを観に来た夜、いろいろ話してたら、向こうが最も評価してるのは僕らの音楽のヘヴィさだってことと、彼らにとって僕らはAC/DCと同じくらい重要なバンドなんだって言われたんだよね。メジャー・レーベルの人にしてはトンデモないこと言うなと思って(笑)、とても信じる気にはなれなかったけど……。
-ハハハハ。
でも、それくらい明確に言ってもらえたのは凄く良かったと思うんだ。もしメジャー・レーベルに行くのが、もうヘヴィ志向の音楽性を追求しないことが条件だってことなら、僕らがアーティスティックな面でやるべきだと思うことは何もできないってことになっちゃうわけだからね。
-なるほど、よく分かりました。では、今回のアルバムを『Sempiternal』(意味:永遠の)というタイトルに決めた背景を教えてください。
“Sempiternal”って言うのは古代英語(Old English)でeverlasting(永遠に続くもの)っていう意味なんだよね。今回のアルバムのコンセプトは……それぞれのトラックがまったく違う内容を扱っていて、最初からひとつひとつ聴いていくと、まるで旅をしてるみたいに目の前にいろんな景色や物語が展開していくと思うんだ。で、アルバム全体を貫いているメイン・テーマは、多分誰にでも日常の中で、嫌なことや変えたいと思ってることがあるはずだろ。それは人間関係に限らず、自分の悪い癖でも、重い病気でも、何でもいいんだけど、自分では凄く思い悩んで考えて、変えようとか治したいと思っても、結局は完治できなくて、どうにもならないこともある。そうするととりあえず何とか気持ちの折り合いをつけたり、やり過ごしたりして、それはそれで受け容れていくしかない。で、悩み苦しみながらも、それを根絶するんじゃなく、共存する方向に持っていくうちに……それが及ぼす悪影響を自分なりに、最低限のところで食い止めながら日々を過ごして行くうちに、いつしかそれは自分自身の在り方の一部になっていたりするものじゃないかと思うんだ。それがこのアルバムのテーマなんだよ。ずっと変わらないものっていうことと、その時代を問わない普遍性だね。
-へえ~、なるほど。随分深い意図があったんですね!
ありがとう。