DISC REVIEW
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根絶しにくい害悪。一筋縄ではいかない難問。ギリシャ神話においてヘラクレスが退治した九頭龍。海ヘビ。ヒドラ属や近縁属のポリプの総称。2005年に発見された海王星の衛星名。今作のタイトル"Hydra"を検索してみると出てくるのはこれらの言葉だが、この曲の中でいうそれはどうやら人の間における愛憎を象徴したものであるようだ。重さと閉塞性を漂わせた音像の中で、DIAURAが描き出す独特な暗黒ロマンチシズムは聴く者を捉えてきっと離さない。どこか「Hydra」との関連性を漂わせる「ポワゾ」、一転しての軽やかな世界が繰り出される「Promised Land」(通常盤収録)で打ち出されるギャップが、意味するものはなんなのか。それらに思いを巡らせながら聴いてみるのも、また一興かもしれない。 杉江 由紀