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INTERVIEW

DIAURA

2023.08.10UPDATE

2023年08月号掲載

DIAURA

Member:yo-ka(Vo) 佳衣(Gt) 翔也(Ba) 達也(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

DIAURAと愚民(※ファンの呼称)たちが死守してきた"独裁の庭"という名のライヴ空間では、かれこれ12年もの日々にわたって数々のドラマが生み出され続けてきている。そして、このたび9月3日にZepp Haneda(TOKYO)にて開催されるという"愚民の日2023"の場もまた、DIAURAと愚民にとっての歴史を刻んでゆく大切な1ページとなっていくことだろう。この日に向けたメッセージを託した新曲「PROVE」が7月に配信されているのに加え、すでに10月にはニュー・シングル『COLD SLEEP』のリリースや、11月からは次なるツアー"ONEMAN TOUR 2023『LIMITLESS FALL』"も決定しているなか、ここでは改めてDIAURAにとってのライヴと"愚民の日"について彼らに問うてみよう。

-DIAURAは来たる9月3日に恒例となっている"愚民の日2023"をZepp Haneda(TOKYO)にて開催することになっておりますが、ここではまず久々の声出し解禁となった前回のワンマン・ツアー"ONEMAN TOUR 2023『VARIANT[ISM]』"についてのお話から始めさせてください。4月から6月にかけて行われた全18本のライヴの中では、やはり渾沌とした3年以上の日々を乗り越えたからこそ得られたもの、というのが多々あったことになりますか。

yo-ka:やっとやれるね、やっとやりあえるね、という感覚は行く場所行く場所でもちろん強く感じられました。これまでもツアー自体は何度となくやり続けてきてますけど、そこの気持ちはどうしても今までとは明らかに違いましたね。しかも、単に"久しぶりにめちゃくちゃやってやろうぜ!"っていうだけではなく、そこには再会の喜びというか感慨っていうものもすごくあって、1本ごとのライヴ、1曲ごとの歌、そのときごとの自分のパフォーマンス、そしてヴォーカリストとしての感情みたいなものが、やっていけばやっていくほどすごく研ぎ澄まされていくような感覚があったんですよ。とてもいい刺激をたくさん受けられた、現時点で最高のツアーだったと感じてます。

-そんなyo-kaさんの後ろでドラムを叩いていらした達也さんは、前回のワンマン・ツアー"VARIANT[ISM]"でどのようなことを感じられたのでしょう。

達也:曲たちを演奏していくなかで、いろいろと新たな発見を多くできたツアーでしたね。特に、コロナ禍で生み出した曲たちに関しては、当時のライヴで披露したときってまだみんなは声が出せない状態でしたから、そういう曲たちをこの間のツアーでやったときに、ようやく"この場面で愚民たちの声を聴けるんだな"っていうことを感じられたのが自分としてはすごくデカかったです。

-たしかに、2021年に発表されたアルバム『R.I.P.』をはじめとするコロナ禍で発表された音源の収録曲たちについては、これまでどれも規制下の実演でしたものね。

達也:もちろん、コロナ前からずっとやってきてた曲たちに関しても、久しぶりに愚民たちの声が聴けましたし。毎回、各地でそれぞれの曲をやっていくたびに、愚民たちの声を聴きながら自分の中でも喜びがどんどん高まっていった印象が強いですね。

-翔也さんが先だってのツアー"VARIANT[ISM]"で感じられたのは、どのようなことでしたでしょうか。

翔也:自分の場合、この間の"VARIANT[ISM]"ではどのライヴでもコロナ禍のことを思い出しつつライヴをしてたところがあるんですけど、DIAURAとしてはあの時期にやってたライヴもあれはあれでひとつの形だったというか、自分たちなりにある種のゴールを見つけたところはあったんです。ただ、実際に規制が緩和された状態でやってみると"やっぱこれだよな!"って強く感じたのも事実で、改めてライヴっていうのは自分たちだけじゃ作り上げられないものなんだな、ということに気づかされました。そのバンド側と愚民たちの関係性が戻ってきたっていう感覚は純粋に嬉しかったですしね。"みんなもこれを求めてたんだろうな"っていうふうにもすごく感じました。とはいえ、あまりにも嬉しすぎて最初はちょっと気持ちが浮き立っちゃってたこともあったくらいだったんで(笑)、それに自分で気づいてからは地に足を着けてやっていくようにしたところもありました。いろんな意味で、どんどん欲深くなっていたツアーだったと思います。

-ツアー"VARIANT[ISM]"を経て、佳衣さんとしてはどのような実感を得られたのか、ということについてもぜひ教えてください。

佳衣:それこそ約3年前から声が出せなくなったり、いろいろと制限が出てきたなかでもずっとDIAURAはライヴというものにこだわり続けてきましたし、別に声を出すだけがライヴの楽しみ方じゃないだろうし、頭を振ったり跳ぶだけがライヴじゃない、ということも自分たちとしてはわかっているんですよ。でも、この間"VARIANT[ISM]"をやったときに"いろいろなものが戻ってきたな"と感じた理由っていうのは、やっぱり"みんながこれを求めてるからなんだろうな"と思いましたし、同時に"自分たちもこれを求めてたんだな"と僕は最終的に感じましたね。

-DIAURAも愚民の方々も共に試練の日々を乗り越えてきただけに、もはや"元通りに戻った"どころか"より鍛えられた"状態にあるのが今なのかもしれませんね。

yo-ka:そこはこの間のツアーが始まる前から僕もわかっていたことで、たぶんどんな物事も一度その形や流れが途切れた以上、ただ"元に戻る"っていうことはないんですよ。だって、この3年で自然と自分たちの中から薄れていった感覚というのはあるし、逆に前より燃えだした感覚というのもありますからね。つまり、普通に"あの日みたいに"っていうのは今さらできないことで、過ぎ去った時間も決して戻ることはないから、そうである以上DIAURAとしての新しいライヴの在り方をバンドと愚民たちで一緒にまた作ることができればいいな、と思って臨んだのが"VARIANT[ISM]"でもあったんです。ほんと、自分たちの"これから"が新しく始まったツアーでしたね。

-そうした"これから"を見つけていくうえでは、ツアー前に5thミニ・アルバム『ANTISM』(2023年4月リリース)を発表したことも良い形で作用したのではありませんか。

yo-ka:『ANTISM』では表題曲を佳衣が作ってたんですけど、あれを作った時点で佳衣は俺が見ていた未来よりもさらにもうちょっと遠くを見ていたんだな、っていうことにライヴでやってみて初めて気づきましたね。歌ってるときに"なるほど! さすがだなぁ"って思ったんですよ。俺は思考がシンプルだから、最初はイケイケドンドンなタイプの曲なのかなって感じてたのに対し、佳衣はちゃんと今だからこそのヒネった部分というのをちゃんと曲の中に入れてくれてたんです。

-そのヒネりは、佳衣さんとしても意図して入れられていた部分だったわけですね?

佳衣:構想の段階から3年の時を経て、ここから作っていきたい新しいライヴ像というのはざっくり自分の中にあったので、それを「ANTISM」の中に入れたところはたしかにありました。だけど実際に"VARIANT[ISM]"のツアーでやってみて、100パーセントそれが自分が思い描いていた通りのものだったか? というと、そうではなかったです。予想外なこともあって、作った側としては"ここでみんなはこんなリアクションをしてくれるんじゃないか"と考えていた部分が、受け取るほうはまたちょっと違う感覚で捉えていたりということがあって、その100パーセント予想通りにはいかないところがまたライヴとかツアーの良さなんだな、っていうふうにも改めて思うことになったんですよ。そして、ライヴを通して曲を成長させていくことができた実感というのもそこには生まれていったし、何より自分たち自身がライヴを重ねていくなかで自信を持ってできるようになっていったことが、DIAURAにとって何より大切なことでしたね。結果、そういう自分たちに対してみんながついてきてくれるようになったという変化も、僕は進化だなと感じてたんです。

yo-ka:佳衣の言う"自分たち自身が自信を持ってできるようになった"っていうのはまさにその通りで、ライヴの場でやっていくことでこの曲の持つ説得力は絶対的に強化されたと思いますね。

-そこはきっとDIAURAの宿命でもあるところで、このバンドはファンを"愚民"と呼ぶ一方で、自らを"主(マスター)"としていらっしゃるわけですのでね。絶対的な威厳と自信を常に発信し続けていくことが、非常に大切なのだと思われます。

yo-ka:そうなんですよ。ステージに立ってるときは狼狽えるとか絶対ありえないし、眼の光もなくしちゃいけないわけでね。「ANTISM」は、そういうことを自分の中で再確認できる曲でもあるんです。

翔也:だから、基本的には「ANTISM」って攻撃性の高い曲だと思うんですよ。でも、ツアー・ファイナルまで行ったときにはライヴで一緒にみんなと作っていった曲だからなのか、これは対外的に刃を向けてる曲じゃないなって僕は感じるようになってましたね。攻撃的だけどその中には温かさもあって、意外とハッピーな曲かもしれんって感じたんです。これは今まであまり感じたことのなかった感覚でした。

達也:この間のツアー初日でやったときから、自分も"これはこの先もっと伸びていく曲になるだろうな"と感じてたんですけど、予想してた以上に伸びたのが「ANTISM」ですね。そして、これから先もまだまだ伸びてく曲でもあるはずだと思ってます。

-これから先、ということでいきますと。直近では9月3日に恒例となっている"愚民の日2023"が、DIAURAにとってコロナ禍以降では最大キャパとなるZepp Hanedaにて開催されることになっております。今年でもう何回目になるのでしたっけ?

yo-ka:回数って覚えてる??

佳衣:おそらく9回とか10回、その前後かな(笑)。