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INTERVIEW

DIAURA

2021.03.31UPDATE

DIAURA

Member:yo-ka(Vo) 佳衣(Gt) 翔也(Ba) 達也(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

誇りと信念。DIAURAがこの10年かけて培ってきたものは、そのふたつとそれらに裏打ちされた完成度の高い音楽であると言えるはず。思えば10年前、"ついにヴィジュアル系は冬の時代を迎えた"という嘆きが方々で聞かれていたものだが、それでも、DIAURAは自らの力でその存在感を確固たるものへと見事に押し上げてみせたのだ。このたび発表される、近年5年間の歩みを集約させたベスト盤『INCOMPLETEⅡ』を聴いても、彼らが具現化してきた功積は明らかだと言えよう。このベストと連動して、5月から始まる"DIAURA 10th Anniversary『INCOMPLETE EDEN』tour"でも、彼らの凛々しき雄姿を拝むことができるのは間違いない。

-昨年末に結成からいよいよ10周年を迎えたDIAURAは、このたびベスト・アルバム『INCOMPLETEⅡ』を発表することとなりました。こちらは、約5年前にリリースされたベスト・アルバム『INCOMPLETE』の続編になると考えてよろしいのでしょうか?

yo-ka:DIAURAとしては5年刻みでベストを出すことにしてるんですよ。他のアーティストさんたちが、どういった心持ちでベストを出されるのはわからないですけど、うちの場合は5年ごとの存在証明をそこに凝縮している感じなんですよね。つまり、最初の『INCOMPLETE』を出したあと、そこから5年のDIAURAが過ごしてきた日々の中で生み出して生きた証というものを、ここには楔みたいに打ち込んであるんですよ。具体的に言えば、DISC 1のほうにはこの5年で出してきたシングルのリード曲たちを入れてありますし、DISC 2にはメンバーのセレクトした曲や新録の未発表曲も入っているので、ここ5年間のDIAURAと今現在のDIAURAの両方を、この作品からは感じてもらえるはずです。

-だとすると、メンバー・セレクトのDISC 2については、バンド内でどのように意見を出し合いながら収録曲たちを絞り込んでいったのでしょうか。

達也:まずは、メンバーそれぞれが、数曲ずつ"これを入れたい"っていうものを挙げていった感じでしたね。例えば、俺は「is DEAD」を推したんですが、これはライヴでの定番曲にまで成り上がったものですし、お客さんたちと一緒に楽しめる曲なので、これまでこの曲を愛してきてくれた人たちはもちろんのこと、今回の『INCOMPLETEⅡ』から、新しくDIAURAの世界に触れてくれることになる人たちにも、ここでこの曲を聴いたうえでライヴに来て楽しんでほしいなと思ったんです。

-"ライヴでの定番曲にまで成り上がった"という表現をされたということは、この曲は当初完成した頃よりも、ライヴを通して"化けていった"ものであったわけですか?

達也:想像以上だったんですよ。ライヴでやってみて初めて、"この曲はこんなにすごい力を持っていたんだ"ということに気づかされたんです。僕らも、お客さんたちも、圧倒的なテンションの上がり方を、ライヴの場でやっていくたびに確認できるような曲なので、今回のベストには絶対入れたかったですね。

-では、翔也さんが特に推した曲はどちらになりますか?

翔也:僕が個人的な観点で選んだのは「ロストチャイルド」です。というのも、毎年バースデー・ライヴというのをさせていただいているんですが、数年前そのライヴでピアノに挑戦してみたくなったことがあって、そのときの課題曲がこの「ロストチャイルド」だったんですよ。僕はこの曲の中に入っているポップな要素がとても好きなんですよ。それに、普段のライヴで生でコーラスを入れているときは歌っていても気持ちいい曲だし、明るい雰囲気に持っていける曲なので、"DIAURAにはこんな一面もあるんだよ"と、今回のベストで改めて伝えたかったっていう気持ちもあります。もともと、僕がここで推さなくても、候補曲には入っていましたけどね。でも、やっぱり入って良かったなと思えた曲がこれです。

-では、メイン・コンポーザーである佳衣さんとしてはいかがでしょうか。

佳衣:俺は「レゾナンス」という曲に思い入れがありますね。というのも、タイミング的にこの曲を作った頃くらいから曲の作り方に変化が出てきたんですよ。以前は曲とメロディは完全に分けて作っていて、自分が作ったオケに、yo-kaがあとからメロディを乗せていくというやり方をしていたんですが、この曲あたりからはメロディも込みで、自分で作りあげていくようになったんですね。もちろん、yo-kaの生み出すメロディというのはDIAURAにとって大切なものなんですけど、この「レゾナンス」以降に自分が作っている曲は、そこともまた違う雰囲気を持った曲に仕上がることが多いので、「レゾナンス」は最近5年間の中だとひとつの大きな分岐点になった曲なんです。

-なるほど。「レゾナンス」から佳衣さんがメロディまで手掛けられるようになったのには、何か明確なきっかけなどがあったのですか?

佳衣:このときのこれが大きなきっかけだった、というのはないです。ただ、バンド内での選曲会をするときに、デモ段階でもメロディありきな状態になっていたほうが曲の持つ説得力が上がるだろうし、メンバーに対しての呈示もしやすいんじゃないか? とあるときふと思ったのはありました。そして、実際に曲作りをしていくなかでは、メロディまで含めて考えていったほうが作りやすいときも多々あるんですよ。そのことに気づいたのが、まさにこの「レゾナンス」からだったんです。

-ちなみに、「レゾナンス」が最初に提示された際に、それまでずっと歌メロを専任で作り続けてきていらしたyo-kaさんが、この曲に対して感じられたのはどんなことでした?

yo-ka:やっぱり、自分がつけるメロとは全然違う感覚のものだなとは思いました。でも、現時点でいえば佳衣とは、DIAURAの前から12年間ずっと一緒に曲を作ってきているわけですからね。お互いに、わかりあっている部分ってたくさんあるんですよ。だからこそ、「レゾナンス」からは"その先"を佳衣も俺も見たくなったのかもしれないです。当然、これまでみたいに俺が佳衣の作ってきた曲にメロディをつけるやり方も、今まで通りアリだとして、それとはまた別の可能性として佳衣の作ったメロディを俺が歌ったらどうなるだろう? って興味もあったし。佳衣からすれば、"メンバーみんなで音を出してyo-kaが歌ったら、こうなるに違いない"という読みもきっとあっただろうから、絶対ハマるってことをわかってたんだと思いますね。佳衣は俺よりも、そこに関しては、よく知っている人ですから。実際、歌ってみたときにもまったく違和感はありませんでした。むしろ、すぐに"いいねこれ!"ってなったんですよ。たしか"ここはこう直して"みたいなことって何もなかったよね?

佳衣:細かい部分での、歌詞が乗ったときの歌い回しの具合とかはちょっとだけ調整しましたけどね。ほぼそのくらいだったと思います。

-「レゾナンス」が発表されたのは2018年(15thシングル『MALICE』収録)のことですが、その段階ですでにバンドとしては7年のキャリアを積みつつも、新しい方法論を見いだしたことは、そのあとのDIAURAの未来へと繋がる重要な鍵になったようですね。

yo-ka:そうなんですよね。今思うと、あの時期は自分自身も自分の曲と佳衣の曲の両方にメロディをずっとつけ続けていたことで、少し行き詰まり出してきていたところもありましたから。その悩みを佳衣に少し話したこともあったし、そうこうしているうちに佳衣がメロディまでつけた曲を作ってきてくれて、この「レゾナンス」は、それまでになかった新鮮な気持ちで向き合うことができた曲になりました。

-では、そんなyo-kaさんが、今回DISC 2の中で特にマストだと考えていらした曲はどちらになりますか?

yo-ka:「CRIMINAL BEAST」です。DIAURAってライヴで激しい曲をやってるイメージが結構強いと思うし、逆にさっき翔也が話してた「ロストチャイルド」みたいに、キャッチーな歌モノで勝負することもあるんですけど、この曲にはそれだけじゃない、世界観の濃い部分がよく出ているんですよ。つまりは、DIAURAのDIAURAたるゆえんなんですかね。「CRIMINAL BEAST」に漂っている独特な雰囲気からは、きっとそれを強く感じられると思います。実際にライヴでもこの曲は場の空気を変える特別なものとしてやってきてますし、この5年間でDIAURAにとってその要素はもはや不可欠なものになってきているんです。だから、今回の『INCOMPLETEⅡ』においてもこの曲を入れることは必然でした。

-「CRIMINAL BEAST」にはラテン系なノリを感じさせるリズムが組み込まれておりますが、このプリミティヴで情熱的な血の熱さとDIAURAの醸し出すグラマラスな魅力が、コンフュージョンすることにより生まれる波動は、聴いていて非常にエモいです。

佳衣:ラテン的な熱いノリはきっとライヴで映えるだろうし、DIAURAがそれをやっていくこと自体も面白いんじゃないかな? と思いかながら作ってはいたんですが、予想していた以上の結果を生み出いていくことになりましたね。

-そうした一方、この『INCOMPLETEⅡ』には計3曲の未発表曲や、新曲2曲も収録されることになったそうですね。それらについても少し解説をお願いできますでしょうか。

yo-ka:これまでライヴではやってきてたけど、音源化していなかった曲として、今回はDISC 2に「MOMENT」と「FAKE[s]」と「BLESS」の3曲を入れたんですよ。そして、12曲目の「君へ黒の花束を」と13曲目の「BUG」は完全なる新曲です。

-「君へ黒の花束を」については、すでにYouTube公式チャンネルに、MVの一部を使ったトレーラー映像がアップされておりますが、こちらの楽曲の生い立ちについても教えていただけますでしょうか。

佳衣:これは、去年の秋くらいに『INCOMPLETEⅡ』に入れるための新曲として作ったものです。そして、これが10年の節目に出す新曲である事実はやはり自分の中でも大きくて、今までDIAURAとしてやってきたことをこの1曲の中にできるだけ集約させたい、という思いを持ちながら作っていくことになりました。

-その際、音作りの面で特に重視されていたのはどのようなことだったのでしょう?

佳衣:ストリングスとピアノとティンパニ。この3つは絶対に入れようと思ってました。

-それはまた興味深いお話ですね。ストリングスとピアノはともかく、ティンパニに対するこだわりというのがなんとも気になります。

佳衣:「君へ黒の花束を」では冒頭からティンパニを使っているんですけど、さっき挙げた3つの楽器というのは、DIAURAにとって三種の神器みたいなものだと考えているところがあるんですよ。これまでにも、ここぞという的にティンパニを入れてきてますしね。今回は、そういう要素をまた改めてたっぷりと詰め込んだ音にしてあります。

-この「君へ黒の花束を」に関して、達也さんはドラマーとしてどのように向き合われていくことになりましたか?

達也:10周年に相応しい、DIAURAの持っている力強さを明確に打ち出していける曲だなと思ったので、ドラムについてもそこを反映させていくようにしました。

-では、翔也さんのベース・パートについてはいかがでしたでしょう?

翔也:さっき、佳衣が"今までDIAURAとしてやってきたことをこの1曲の中にできるだけ集約させたい"と言っていたとおりで、僕も今までやってきたことをすべてここには詰め合わせたいなと思ってました。それって俯瞰で見ないとわからないことでもあると思うんですけど、俺は普段からバンドのことをわりと俯瞰で見るタイプではあるので、今回は自分のプレイに対しても"あぁ、そうするのがいいと思うよ。うん、うん。ですよね!"っていう感じで取り組んでましたね(笑)。

-納得のプレイができたということだったわけですね(笑)。

翔也:それと同時に、僕としては佳衣の持っている作曲能力について今回は驚きも感じたんですよ。"10年やってきてるのに、まださらにスキルを身につけて、引き出しを増やしてくのか"って。ほんとびっくりしました。

-メンバー内からこのような率直な感想が出てくることを、佳衣さんご自身は今どのようなお気持ちで受け止められていますか?

佳衣:いやもう、そう言っていただけると何よりです(笑)。