INTERVIEW
DIAURA
2019.02.13UPDATE
Member:yo-ka(Vo) 佳衣(Gt) 翔也(Ba) 達也(Dr)
Interviewer:杉江 由紀
唯我独尊かの如くシーンを威風堂々と突き進んできたDIAURAが、8周年を迎えた今ここに来て自らを再定義してみせることになったのは、その先を見据えているからなのだろう。今回彼らが完成させたミニ・アルバムのタイトルは、その名も"DEFINITION"。なんでも、今作においては"絶望"がひとつのキーワードにもなっていたというが、それは絶望という状態そのものを描くことに主眼を置いたものではなく、絶望が生まれゆくロジックや、絶望と闘うことの意味を問うものになっているところが実にDIAURA的だ。より研ぎ澄まされた音像の面でもバンドとしての新たな定義を見いだしたことが窺える、『DEFINITION』の世界はとても深い。
DIAURAというものを改めて見つめ直していく作品にしたかった
-DIAURAとしての4thミニ・アルバムとなる『DEFINITION』を、バンド側としてはどのような立ち位置の作品にしていきたいと考えていらしたのかをまず教えてください。
yo-ka:このアルバム・タイトル"DEFINITION"というのは、"定義"という意味を持っている言葉なんです。タイミング的に言うと、ちょうど今年の1月でDIAURAは8周年を迎えて、ここから9周年、そしてさらにその先の10周年という節目に向かっていくなかで、今回はDIAURAというものを改めて見つめ直していく作品にしたかったんですよ。と同時に、ここまでの経験を生かしながら作品のクオリティをここでワンランク上げたいという気持ちもそこにはありました。
-なるほど。DIAURAというバンドを再定義していくなかで制作されていった作品だったわけですね。だとすると、何かと自分たちの内面や音の在り方などと対峙する場面も増えたのではありませんか。
yo-ka:それは当然ありました。作品の世界観や細かな部分については作詞をしている自分が担っている部分が多いんですけど、メンバーそれぞれの中でもここで向き合うことになったものは多かったんじゃないかと思います。あとは、今回からレコーディングの環境が変わったというのも意外と大きかったかもしれないですね。
-環境というのは、何がどのように変わられたのでしょう。
yo-ka:とあるドラマーの方がやっているスタジオを使うようになったんです。そういう意味では、達也のレコーディングに関して、これまでだったらメンバー内だけで解決していたようなことも、その方と話し合いながら進められたので、今までにはない新しいことを試すことができて面白かったですね。まぁ、当人である達也はいろいろ大変だったとは思いますけど。
-ちなみに、録りの前段階である曲作りの段階でも、このアルバムならではの仕上げ方や、このアルバムだからこそ目指したことは何かしらありましたか。
佳衣:曲作りをしていくうえでも、8周年を迎えたDIAURAというものと向き合ったときに考えていくことは多かったです。まぁ、このアルバムを作り始める前から試行錯誤してきたところはたくさんあるんですけどね。とにかく、同じところで立ち止まっていたくないという気持ちは、このバンドを初めて以来ずっと持っていたものなんです。常に進化していきたいし、その時その時で感じていることを音としてかたちにしていきたいので、そこの面は今回、かなりリアルタイムに曲の中に生かせたと思います。
-では、ここからは各プレイヤーの見地から、今作を作っていくうえで留意したのがどんなことだったのかをぜひお聞かせください。まずは先ほどもお名前が出ていた達也さん、お願いします。
達也:今回はこれまで以上にバラエティに富んだ曲が揃ったので、ドラマーとしてはそれぞれの曲が持っている特性や個性をどれだけ引き出していけるのか意識しながらレコーディングしていきました。もともとそこは前から目指してきたところではあるんですけど、DIAURAとしてのドラムの音をより確立したいということを強く思ってましたね。
-DIAURAのドラムの音を生み出していく際の、マストな条件やファクターというのもそこにはいくつかあるものなのでしょうか。
達也:ヴォーカル、ギター、ベースと被らないようなドラムにするというのがまずは大前提です。曲を聴いていて"ドラムがうるさいな"とか"ドラムが変に気になる"ということはないような音作りやアレンジをいつも意識してます。
-ただ、そうはいっても音を聴かせていただくと決して無難にそつなくまとめていらっしゃるわけではありませんよね。達也さんならではの持ち味はしっかりと出ているわけで。その点でこだわったことはなんだったのでしょうか?
達也:フレーズですかね。ここでこういうふうに叩く、叩きたいという意志は明確に持ってやってます。自分にとっての定番というか、ここまでに培ってきた鉄板フレーズみたいなものはいくつかあるので、ミニ・アルバム1枚を通してこれはここ、あれはこっち、というふうに秘かに散りばめてるんですよ(笑)。
-今回はレコーディングの環境が違ったというお話が先ほど出ていましたけれども、そのことにより得られた効果はどのようなものでしたか。
達也:機材面がかなり大きかったですね。今までは自分の持っているものだけでやっていましたけど、今回は実際にドラムをやっている方に携わっていただけたので。太鼓だけではなくて、シンバルも何枚もある中から選んで使わせていただくことができましたし、事前に"この曲はこういうイメージの音にしたいんです"という連絡を入れさせていただいたら、それに合わせて候補をいくつか用意してもらったりもしていたんで、現場で試させてもらってから録るということができたんですね。そういう機材の違いって細かいことなのかもしれないですけど、自分にとってはその曲に最も合った音を作って反映させられたのがすごく大きかったです。
-なるほど。そうやってドラマーの音作りに変化があったことで、相方であるベーシスト 翔也さんにも今回のレコーディングでは変化が生じた点があったのでしょうか。
翔也:単純に、こっちも音作りが自然と変わっていきましたね。そして、音作りに今回はすごく時間がかかりました。音に対する考え方が変わったんですよ。もともとは自分がカッコいいと感じる音をなんにでも使ってしまう傾向があったんですけど、今回は曲に対してのアンサンブルをまずは重視していきました。しかも、そうすることによってベースの音も前より抜けてくるようになったんです。
-全体のバランスが絶妙にとれるようになった、ということかもしれません。
翔也:きっとそういうことなんでしょうね。昔は自分のやりたいようにやった結果、できあがった音を聴いたときに"あれ?"と感じてしまうことがたまにあったので、そういう読み違いがなくなったのが本当に良かったです(笑)。できあがったものを聴いていて、すごく気持ちいいなと自分でも思います。
-今回、ギタリストでありコンポーザーでもある佳衣さんから、リズム隊に対してのオーダーを出した場面というのはありましたか?
佳衣:サウンド面では特になかったですけど、フレーズに関してはありました。それぞれがやりたいこともあるにせよ、各パート単体ではなく曲全体として聴いたときのバンド・サウンドのまとまりを大事にしたかったですし、今回はアレンジ的にキメが多い曲もあったりするんですよ。そこをいかに上手く表現できるか、という点はしっかり押さえてもらうようにしていきました。
-yo-kaさんも、作曲者として何か要望を出したことはあったのでしょうか。
yo-ka:プリプロをやって事前に確認はしてたんですけど、いざスタジオでレコーディングするとなるとまた微妙に感覚が変わってくるところが出てくるんですよね。生のドラムやベースの音を聴いていると、音楽的な理論とか理屈って僕はあまりわからないにしても、頭の中で"なんか違う......"と感じてしまうことがあるんですよ。そういうときはだいたいメンバーを困らせてしまうことになるんですが、今回もそういう場面がいくつかありました。
-yo-kaさんが"なんか違う......"とやや曖昧な意志表示をした場合、楽器隊のみなさんはどのように対処されていくことが多いのですか?
翔也:とりあえず、手当たり次第に自分の引き出しの中からあれもこれもって出してみます(笑)。
達也:俺は今回、「ファントム」でそれがありました。自分で決めていたフレーズをスタジオで叩いたあとにyoちゃん(yo-ka)から"それ、違う感じでもやってみて"と言われたんですよ。ただ、結構ニュアンスで伝えられることが多いので(笑)、そこは自分なりに汲み取って何パターンか提示して、最後にこのかたちになったんです。
-理論や理屈を越えた次元でも、音を介してきちんと通じ合えるというのはバンドとして成熟してきている証拠と言えそうです。さすがは8年やっているだけあります。
yo-ka:レコーディング現場でのそういうやりとりは大事ですよ。話し合いの中から新しいアイディアって生まれるものだし、DIAURAとしての可能性もそういうところからまたさらに広がっていくような気がします。