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INTERVIEW

DIAURA

2019.02.13UPDATE

DIAURA

Member:yo-ka(Vo) 佳衣(Gt) 翔也(Ba) 達也(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

-そんなプロセスを経て完成した『DEFINITION』ですが、ここで各メンバーにとっての推し曲を教えていただけると嬉しいです。どれも手塩にかけたかわいい子供たちではあると思いますが、ここは完全に個人的な主観としてのご意見をうかがわせてください。

yo-ka:では俺から。このアルバムには「嘘とワルツを」という曲が入っているんですが、これは最初に選曲会でメンバーに原曲を提示した時点から、"ひとつの場面転換としてこの中に置くと面白いんじゃないか?"という考えから入れることが決まったものだったんですね。全体として見ると、『DEFINITION』ってわりと絶望感の漂う世界観が続く作品になっていて、この「嘘とワルツを」も決して明るいものではないんですが、それでもこの曲が持っている雰囲気にはある種のポップさも含まれていると思うので、このアルバムにこれが入っているのと入っていないのでは、おそらく『DEFINITION』が、まったく違う印象の仕上がりになっていたような気がします。のちのちライヴの中でもそういう大事な役割を果たしてくれる曲になっていくでしょうから、その点でも期待をしているんです。

-「嘘とワルツを」はシャッフルの軽妙なリズムが心地よい粋な空気感を持った楽曲ですが、そもそもyo-kaさんが抱いていたイメージはどのようなものだったのでしょうか?

yo-ka:これは自然発生したような曲だったんですよ。どんなものを作りたいか考える以前に、自分が直感的にやりたい曲が出てきたというか。実を言うと、これは今回のアルバムのために作ったわけではなくて、以前からすでにあった曲だったんですが、その当時は"出すタイミングは今じゃないな"と感じていたんです。今でもないな、今も違うなというのを繰り返しながら、ようやく『DEFINITION』を作っていくなかで今これを入れるのがベストだろうというふうに思えたので、すべてが直感ありきな曲だったんです。間奏のベース・ソロが明けたあとにギター・ソロが入ってくる流れも好きで、あの感じが僕は欲しかったんですよ。ふたり(佳衣、翔也)には、本当にいいソロを弾いてもらいました(笑)。

-なお、「嘘とワルツを」の歌詞世界についても少し解説をしていただけると嬉しいです。

yo-ka:これは、"DEFINITION"というアルバム・タイトルにも通ずるものがある内容の歌詞ですね。今ってAIの時代と言われていますし、人間が生み出したはずのAIに人間が支配され縛られていっている現実があるじゃないですか。かつてそれはSFとして語られていた未来ですけど、もう現実のものになっていきているわけですよ。そういうなかで、ここでは人間らしさとか人間の定義とはなんなのか、ということを描いてあるんです。それはまた、今度のツアー・タイトル"THE HUMAN DEFINITION"(2019年3月から7月にかけて開催)にも繋がっています。不思議なものですよね、この曲を書き出したころは『DEFINITION』の構想なんてまだまったくできていなかったのに。当時は人間の中の葛藤をテーマに描いていたんですけど、それが結果的に今回のアルバムとリンクしたんです。だから、歌詞もまったく書き換えたりはしてません。

-次に、佳衣さんの推し曲はどちらになりますか?

佳衣:「断頭台から愛を込めて」です。この曲は『DEFINITION』を作り始める段階からすでに構想はあって、なんなら曲順もまだ決まらないうちからこれを最後に入れたいなと思いながら作っていたんですよ。そのときにはまだ歌詞もついてなかったですけど、この曲を渡して歌詞が上がってきたらそこにはまさにyo-kaがさっき言っていた、絶望的な世界ができあがっていたんですね。僕自身もこれはそういう絶望感を描きたいと思いながら作ったものだったので、共通認識がそこにはあったんだと思います。これまでの流れでいけば、DIAURAの場合アルバムが絶望のままで終わるというパターンはなかったんですけどね。今回はあえてそうしたかったんです。

-あえて、ということはそこに明確な理由があったということですね。

佳衣:映画とかでもハッピー・エンドって、"良かったね"でそこでみんなが納得して終わってしまうと思うんですよ。でもバッド・エンドだと、その先のこととかをどうしても考えさせられてしまうじゃないですか。要は、今回『DEFINITION』を聴き終わったときそこで聴き手にいろんなことを感じて考えてほしかったんです。

yo-ka:今回はこの曲のMVも撮っているんですけど、曲を聴いただけであの映像の感じなり、この歌詞の世界が僕はすぐにはっきりと浮かんだんですよね。救いはないし、救いを持たせる必要もない歌詞であるのは間違いないんですが、その中で心情とか場面が変化していく様子を言葉や歌で表現していきました。

-翔也さんはどの曲を選ばれますか。

翔也:俺も「断頭台から愛を込めて」ですね。演奏している当人でありながら、弾いててゾクゾクする曲なんですよ。さっき佳衣が言っていたように、すごく考えさせられるところがある曲だから、たぶんそこに僕自身がまんまとハマってしまったんでしょうね(笑)。今までのDIAURAにはなかったタイプの曲だなという感じもありつつ、それをyo-kaが歌うことで、DIAURAだからこそのものになっているという点が好きです。いろんな意味での発見がある曲になってますね。

達也:いやー、俺も「断頭台から愛を込めて」って言おうと思ってたんですけどね。先にふたりに言われちゃったから、「ivy」にします(笑)。今回の『DEFINITION』はAとBの2タイプが出るんですが、「ivy」は"A Type"の1曲目にしか収録されていないんですよ。リズム・パターンの面でこれは今までのDIAURAでは使ってなかったものが入っていますし、淡々とタイトに叩いていく必要がある一方で、曲が進んでいくうちにだんだんと展開していくところもあって、起伏があるところが叩いていて楽しかったです。ライヴでも、みんなにその感覚が気持ち良く伝わったらいいなと思ってます。

yo-ka:『DEFINITION』は"A Type"の1曲目が「ivy」で、"B Type"の1曲目は「ファントム」になっていて、なぜそうしたかはこれも両者の歌詞世界が繋がっているからなんです。違うのは視点と立場で、「ivy」は自分が"何か"を傍観している内容なんですね。そして、その"何か"が「ファントム」なんです。つまり、「ivy」の中の"彼"は「ファントム」の中の"僕"なんです。

-視点と立場によって、それこそ物事に対する定義も変わります。『DEFINITION』は深い考察をしながら聴いていくとさらにこの世界を堪能できそうですね。

yo-ka:以前、タイプごとに結末を変えたことはあったんですけど、今回はそもそもの入り口を変えてみたんです。どちらもたしかに『DEFINITION』なんですが、解釈の仕方や感じ方は人によって違ってくるでしょうね。いずれも根底に流れているのは孤独であり絶望だとして、それを取り巻く周りにはいったい何があるのか。『DEFINITION』を聴いていくと、それがわかっていくことになると思います。

-"DEFINITION"とは"定義"を意味するとのお話が冒頭でありました。今作を完成させたことで、DIAURAとしての新たな定義を見いだせたことにはなりましたか。

yo-ka:そう、だから......DIAURAっていうバンドはレジスタンスですね、結局。何かにぶち当たるたび、常に試行錯誤や模索を繰り返しながら、葛藤やそれこそ絶望も感じながら闘ってきましたし、過去には"MY RESISTANCE"っていうタイトルのミニ・アルバム(2016年リリース)を作ったこともありましたけど、いつも辿り着くのは何かに抵抗している自分というものなんです。このアルバムの中で言えば「ヘルグライド」なんかもそのいい例ですよ。この『DEFINITION』はそういうなかで、何度も言いますけど全編を通して絶望感が強いものになっていったということなんだと思います。でもね。DIAURAは"あぁ、絶望だ"となって死ぬバンドではないんです。絶望したとしても、それでも抵抗するんです。DIAURAはこれまでもそうだったように、これからも抗って抗って、絶望だろうがなんだろうが抗い続けていくバンドなんですよ。そのことを、今回の『DEFINITION』で僕らは強く再認識しました。DIAURAとしての地盤がより固まった、ということでしょうね。

-3月から始まる次のツアー"THE HUMAN DEFINITION"では、その抗い続けるDIAURAの雄姿を存分に見せつけていただきたいものです。

佳衣:『DEFINITION』は、聴き手からすると決して取っつきやすくてわかりやすいものではないと思うんです。ということは、だからこその表現力がライヴでも求められていくことになるわけなんですよね。次のツアーでは、観ている人たちの心に深く響く世界をしっかりと生み出して追求していくようにしたいです。

翔也:模索や追求をやめてしまうなら、バンドなんてやめてしまった方がいいですからね。そこを忘れないようにしながら、ここからみんなと『DEFINITION』の世界を共有していって、いいライヴの空間を作っていこうと思います。

達也:DIAURAは常にカッコいいバンドでなければいけないと思ってきたし、カッコ良くあり続けてきたバンドだという自信があるんですよね。そういうDIAURAとして、『DEFINITION』の曲たちを愚民たち(※DIAURAファンの呼称)に伝えていきながら、既存の曲たちもまた新しい意味を持っていくようなツアーにしていくことになるはずです。

yo-ka:『DEFINITION』はとても作品性の強いアルバムなので、それを聴いて響くものを感じたうえでライヴに来てくれる人も多いであろうと想定すると、僕らはDIAURAとしてCD以上のものを提示していく必要があるんですよね。そう考えると、"THE HUMAN DEFINITION"は自分たち自身に挑んでいく場になるような気がします。DIAURAにとって一歩先に進んだ『DEFINITION』が完成した今だからこそ、さらにその先に行けるようにしないと。自分たちの信念は曲げずに、時代に迎合することなく、自信を持ってどこまでも貫いていきますよ。