COLUMN
THE STARBEMS 日高 央の激トーク!! 第六回
-向上心が強いんですね。
JESSE:それで、途中からアメリカに行きたくなったんです。行きたくなったけど、日本で1位をとらないと、アメリカに行くのは逃げになるのかとか。
日高:それはわかる。
JESSE:日本で聴きたい人がいなくても、タイには俺らの音楽が聴きたい人がいるかもしれないし。そういう意味では、いろんなところに行った方がいいと思うんだけど。頑なに、"日本で頑張らないと、頑張らないと"って思いすぎたところはあったと思う。だから、RIZEは日本詞ベースだけどThe BONEZは全部、英語詞に変えて。
日高:そこのモードの変化があったんだね。
JESSE:俺のじいちゃんが外人で、ケンタッキー州に住んでるんですけど。毎年アルバム送って、"じいちゃんどうだった?"って訊くと、"よかったよ、よかったよ"って言ってくれてたんです。でもThe BONEZのアルバムをあげたとき、"やっとJESSEが言ってることわかったよ"って言われて(笑)。
日高:そりゃそうだよね(笑)。
JESSE:わからないけど、"いいよ"って言ってくれてて。俺もそこ気にしてなかった(笑)。で、じいちゃんがわかるようになって、それだけの大人数の人たちが俺の音を聴いたことがなかったんだと思ったら、ワクワクしたんですよね。
日高:可能性が広がったんだもんね。
-視野が広がったんですね。
日高:でも、そのモードの変化にはきっかけがあったの?
JESSE:ありましたね。KenKenが俺の中で、1番すごいミュージシャンで。
日高:たしかにすごいよね、KenKenは。見た目もすごいし(笑)。
JESSE:そうそう、妖怪で(笑)。RIZEを始めたときは、KenKenはまだ小学生だったんですよ。
日高:そんなちっちゃかったんだ(笑)。
JESSE:そのときKenKenはドラムをちょっとやってたんです。だけど、あっくんがドラムやり始めて、JESSEとバンドを組んだと。で、"お兄ちゃんたちとバンド組みたいから"ってKenKenはベースを持った。
日高:余ってるのそこしかないからね。
JESSE:だけど、あっくんは弟とは絶対にバンドをやらないっていうのがあって。それで、TOKIEと出会って、TOKIEがやめたあとはオレらの同級生を入れてやったんですけど。その間きっとKenKenは、自分からバンドに入れてっていうのじゃなくて、お兄ちゃんたちに誘われるようにならなきゃいけないと。
日高:ああ、なるほどね。むちゃくちゃその間練習してたんだ。
JESSE:セッション・ミュージシャンになって、いろんなところで名を上げていったんですよね。ある日、Club 251であるバンドと対バンしたとき、そこでKenKenがベース弾いてて。リハで、リハって他のバンドへのマーキングじゃないですか?
日高:見せたるぞっていうね。
JESSE:KenKenが俺らにめっちゃ見せてきたのを感じたんですよ(笑)。俺はバー・カウンターの1番後ろにいて、KenKenは俺らを見てないんだけど、音はめっちゃきてて。あっくんに、"KenKenすごくなったね"って言って。そこから、2年くらいかな。KenKenが加入したのは。そのころにKenKenはソロのアルバムを1枚作ってたんですよ。RIZEに加入したころには、2枚目も作ってて。
日高:すごいな。
JESSE:そのソロを聴いたとき、RIZEのファンはKenKenというベーシストの名刺があったうえで、KenKenというベーシストを知れたうえで入ってこれるんだなって思って。その翌年に、あっくんが自分のソロを出したんです。そこでファンも、RIZEのドラムはこういうドラマーなんだってわかったと思う。俺は自分ですげえって思ってたけど、"それはRIZEのJESSEがすごいだけで、JESSE単体ではすごくねえんじゃねえの?"って思っちゃったんです。ヒップホップ以外で、1回もソロで作ったことなかったから。それで自分のソロを作ってみたのが、The BONEZの始まりなんです。
-そういうことだったんですね。
日高:ああ、意外なきっかけだったんだね。
JESSE:RIZEに何か返さねえとっていうのがあったんです。そしたらあまりにものっかっちゃって(笑)。
-楽しくなってきたんですね(笑)。
日高:The BONEZもリズム隊のやつらがいいしね。Pay money To my Painだったふたりは志半ばで同士を失ってしまったところを、JESSEが救ってくれたと感謝もしていると思うしね。JESSEとしても感謝してるだろうしね。
JESSE:うん、同じくらいに。
日高:普通、仲間感を強調しても、実際は言うほど助け合ってないことも多いけど、JESSEはそういう嘘がない。そこがいつも美しいなと思う。しかもメンバー同士、音楽的な話はするんだろうけど、何となくこう、ちゃんと飲み込んであげている感じがするんだよね。ワンマンじゃないっていうか。
JESSE:俺、みんなにリーダーっぽいと言われるんですけど、真逆で。RIZEならあっくんとかがリーダーで、The BONEZはT$UYO$HI(Ba)がリーダーで、俺は、自分で言うのもなんだけど、エースというか。
日高:ピッチャーはやるけど、監督ではないみたいな感じなんだね。誰もが4番でピッチャーで監督だと思ってるけど、そうじゃないんだね。
JESSE:それで成り立ってるんです。それを全部やらされると、俺崩れちゃうと思う。
-絶妙なバランスなんですね。
日高:ロックのいいところを伝えようとやってるのが、どうしても数字だけで判断されたり、世間的なイメージで判断されちゃうけど、結局中身の熱さみたいのを、JESSEはやろうとしてるんだろうなっていうのがわかる。
JESSE:そこがいいのがかっこいいっていうか。根っこがかっこいいことが伝わって欲しいなって思ってる。
【日高 央の1枚】
DAVID BOWIE
『Ziggy Stardust:The Motion Picture』
(1983)
【JESSEの1枚】
Jimi Hendrix
『Live At Woodstock』
(1999)