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INTERVIEW

THE STARBEMS

2016.11.02UPDATE

2016年11月号掲載

THE STARBEMS

Member:日高 央(Vo) 越川 和磨(Gt) 菊池 篤(Gt) 高地 広明(Dr)

Interviewer:荒金 良介

-今作は音楽的な自由度や遊び心をマックスに詰め込んだ作品で、この変化には驚きました。

日高:パンクというイメージをなるべく取り払った方がパンクっぽいんじゃないかと。現状を話すと、ウチは今マネージャーがいなくて、俺がヴォーカル兼マネージャーみたいな立ち位置で。メーカーとの交渉も俺がやって、新曲のデモが半分しかない段階でテイチク(エンタテインメント)さんが手を上げてくれたんですよ。それが今年の6、7月ぐらいかな。で、8、9月に慌ててスタジオを押さえました。

-急遽アルバムを作る流れになったんですね。

日高:あと、今回エンジニアは越川がやったんですよ。なのでコミュニケーションも取りやすいし、自宅作業もできるから。それが地獄の始まりでした、越川にとって(笑)。

越川:機械を触れるのは僕だけだから、他のメンバーの音をデータにまとめたりして、仕事量は倍に増えました(笑)。でも結果的にそれが良かった。何が必要で、何がいらないのか、そのジャッジも自分でできたから。アレンジも兼ねてやれたし、思いどおりの音像や曲調にできましたからね。バンドの雰囲気やグルーヴも崩さず、いつものリハスタでやるような感覚で録れました。それが今までと違う作品になったひとつの要因かなと。

-勝手知ったる仲だからこそ、短期間の制作でもスムーズに進んだと。

日高:いい意味で緊張感もないから。高地だけはクリックに合わせられないから、違う緊張感はありましたけど(笑)。

高地:はい、クリック地獄でした。まぁ、ドラムはいつもどおりで、メンタルをやられないように頑張りました。

菊池:今回はよりシンプルにやれましたね。最後の曲がレコーディングの1週間前に上がって。リハスタでそんなに合わせる時間もなくて、俺と潤さん(山下潤一郎/Ba)と高地で土台だけは作ろうぜって。あとで歌とギターが入ることを想定してやろうと。で、あとで越川がいらないところは削ぎ落としてくれるから。THE STARBEMS史上初めて歌のあとにギターを録ったんですよ。全体像は見えてなかったけど、3枚目のアルバムになるから、曲に対する理解度も深まってますしね。

日高:THE STARBEMS史上初めて音源をバラバラに録って、それもPro Tools時代ならではかなと。

-では、今作の曲作りで意識したことは?

日高:David Bowie、PRINCEと、ロック・レジェンドがバタバタと亡くなったじゃないですか(※David Bowieは今年1月10日、PRINCEは4月21日に逝去)。個人的なテーマは"Bowieに捧ぐ"、ですね。俺の中でBowieからもらったものは何かと考えながら作りました。Bowieだったらこう歌うかな? と考えたところもあるから、いつもより歌モノに寄ったんですよ。それはでかいですね。俺からデモを送られて、みんなびっくりしたんじゃないかな。

越川:僕は"日高さんじゃん"と思ったから、そこまで"エェー!"とはならなかったです。

菊池:日高さんから"疾走感のあるエモい曲を送る"と言われて、全然違う曲が届いたから、それに対するズコッ! って感じはありましたけどね(笑)。

高地:こういう曲にツイン・ペダルを入れるんだ、という驚きはありました。ただ、完成した曲を聴いたら良かったから。

-それはTrack.13「Nobody Trusts Me」のことですよね?

菊池:はい、この曲はポイントになってますね。今までとテンポ感も違うけど、日高さんが言ったのは"こういう曲をマジメにやるんじゃなく、THE STARBEMSでやるとどうなるかやってみたい"と。それは合点がいきましたね。

日高:この曲はソウルっぽさを意識して、オルガンも入れてますからね。今じゃないとできないやり方だなと。Sam Cookeのライヴ盤を聴いてると、優しいヒット曲が多いのに、その中にすげぇトゲがある。ウチらもそういうニ面性を出せないと、逆にパンクっぽくないなと。ただうるさくて激しいだけじゃなく、静かに怒るときも必要だなと。それはBowieとPRINCEの影響が大きいですね。あのころの人たちは曲に異常なバリエーションがあるじゃないですか。

-えぇ。

日高:1st(2013年リリースの『SAD MARATHON WITH VOMITING BLOOD』)、2nd(2014年リリースの『VANISHING CITY』)アルバムはこちらもある程度型にハメてプレゼンしていたけど、そこはもう必要ないかなと。高地は楽じゃなかった?

高地:このメンバーの中で俺はわりとメロコアのシマにいましたけど(笑)。Sam Cookeやウルフルズも好きで、トータス松本さんの影響でソウル・シンガーを聴いていた時期があったんですよ。「Nobody Trusts Me」が来たときにやった! と思って。