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LIVE REPORT

HER NAME IN BLOOD

2013.07.13 @渋谷clubasia

Writer 羽村 萌 編集:ムラオカ

記念すべき『THE BEAST』リリース・ツアー・ファイナルがGEKIROCK TOURでもお馴染みのShibuya clubasiaで開催された。この日のチケットはソールド・アウト。スタート前からフロアの温度が大分上がっているのが見てとれる。
まずトップバッターとしてステージに上がったのは人気と実力を兼ね備えるCRYSTAL LAKE 。"ビーストの首を切りにきました!"そう言い始まった彼らのライヴはえげつないブレイクダウンの応酬と激アツなシンガロングの交錯でもってフロアでは絶えずサークルピットが巻き起こっていた。続いてはCLEAVE。エモーショナルで枯れたヴォーカルと力技で押してこないハイ・センスなギター・プレイがとても印象的であった。そして次のステージを飾るのは心揺さぶる和旋律が印象的なkamomekamome。カリスマティックな向達郎(Vo)の独特なアジテーションがフロアのテンションをさらに駆り立てていた。HNIB前最後に登場したのは直前まで出演が明かされなかったFear, and Loathing in Las Vegas。初っ端「Crossover」で、冷房が停止したかのようにフロアが瞬時に熱気に満ち、ライヴハウスがダンスフロアと化す。秋の自身のツアーを告知した後、新曲「Step of Terror」を披露。Soのオートチューンを駆使したハイトーン・ヴォーカルとMinamiの安定感のあるシャウト&グロウル、そしてピコピコのトランス・サウンドが共存する、彼らならではのミラーボール・ロックはクラブスタイルのclubasiaでより映えていた様に感じた。

そして本日の主役の登場というわけだが、共演バンドたちが側で見守る中、3年振りの新作『THE BEAST EP』をリリースしたHER NAME IN BLOOD(以下HNIB)がステージに現れる。「UNSHAKEN FIRE」で野獣の如く吠えまくるIkepy(Vo)。フロアには瞬時にサークルピットが生まれ、彼の扇動に呼応するかのように観客は激しくウインドミルを繰り広げる。彼がステージを左右に動き回ると最前のキッズたちもその方向へ移動し、彼がコブシを挙げればフロアいっぱいに高々と掲げられたコブシで埋め尽くされる。そんな光景を見て、彼の類まれなるカリスマ性をヒシヒシと感じた。その後、ステージの熱量はぐんぐん高まっていき「THE PIERCING EYES」では灼熱のツーステップ祭が繰り広げられ、Ikepyは長髪をグルングルンと振り乱しフロアへ熱風を送り込んでいく。
「REVOLVER」では顔をくちゃくちゃにしながら細い腕でドラムセットを叩き割るようにプレイするUmebo(Dr)の巧みな手さばきに目を奪われ、その多彩な表現力に圧倒された。ライヴは中盤戦へと差し掛かり、メンバーもフロアのキッズたちもすでに汗だくだ。そしてMVにもなっている彼らの代表曲「DECADENCE」を投入。スラッシーなパートあり、ブレイクダウンあり、テクニカルなパートあり、聴かせるメロディありの贅沢な展開にフロアも大喜びだ。その後Ikepyは着ていたタンクトップ自ら引きちぎり、"俺たちとお前たち、どっちがBEASTか!?"と啖呵を切った。常に挑戦的な目つきで、ファイトあるパフォーマンスを披露する彼らには油断も隙もなければ、一瞬の気の緩みさえ見受けられない。ライヴも後半に差し掛かるとオリジナル曲に負けず劣らずの人気を誇るLady Gagaの異色のカバー「Poker Face」が披露される。誰もが知っている王道洋楽ポップスも、彼らの手にかかればたちまち邪悪なメタルコアに生まれ変わるのだ。ビギナーには入り込みづらいジャンルではあるが、こういった曲が切り口になるのではないだろうか。本編ラストは「WE REFUSE」。フロア全員をその場に座らせ、一気にジャンプ!若いキッズを中心にみな大喜びで飛び跳ねる跳ねる。

アンコールでは「THE HEARTLESSS RAIN」を、音源にも参加している元INHALEのShoichi Sakamakiをゲスト・ヴォーカルに迎えて披露。最後は「INVISIVLE WOUNDS」で幕は閉じられた。

確かにハードコアを黙々とプレイするストイックなバンドもかっこいい。しかしHNIBは"分かるヤツだけ分かればいい"というハードコア・バンドに有りがちな閉鎖的ではない、初めてライヴに来るようなキッズにも楽しんで欲しいといういい意味でメジャー感のある開かれたステージだったことを最後に特筆しておきたい。

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