COLUMN
ESKIMO CALLBOYのいきなり!チャラアゲ伝説。 vol.19
ESKIMO CALLBOY、"Hurricane Festival"にて by Kevin Ratajczak
さて俺たちはバスに戻る。ステージ衣装をほとんど脱いだ状態で、バスに暴風雨が降り注ぐ音を聞く。数分間じっと座っている。誰ひとり言葉を発しない。こんな状態で何を考えたらいいのか、俺たちにはわからない。ところが突然Pascalが席から立ち上がると、稲妻があいつの真上の小さな天窓を通じて恐ろしい光をあいつの頭上に投げかける。あいつはバスのハイファイ機材のところに移動すると、俺たちの好きなパーティー・トラックをかけ始める。
そしてまさにその瞬間、バスの後方にある小さなラウンジではすべてが解き放たれる。俺たちはボトルを開け、クソみたいな天気なんて一切気にしないことにする。パーティーする権利を否定する奴なんて誰ひとりいない。天気の神様ですらも。俺たちは飲み、俺たちは踊る。1時間半くらい......そして俺たちがこのフェスの日をいつもとまったく違う形で楽しんでいるうちに、雲は姿を消し、空はまた明るくなってくる。そしてバスの外の世界が生きながらえたことに俺たちがようやく気づいたとき、ツアー・マネージャーがラウンジに通じるドアをバタンと開ける。"みんな、ショーは決行だ。ステージ・タイムまであと45分だ"。なかなかクールじゃないか。俺たちは完全にハッピーだ。神様が俺たちの打ちひしがれた魂に情けをかけてくれたに違いない。バスの後方のラウンジで俺たちがダンスやパーティーしっぱなしなのを誰も望んでいない。俺たちにはステージが必要だ。唯一の問題は......ショーが行われるなんてもう誰ひとり思っていなかったから、正直言ってヘベレケだったってこと。
そうだな、みんなちょっと飲みすぎたとでも言おう。俺たちのアルコール度数は、思わず実の母親を抱いてしまいそうなほど高かった。
手短にいこう。みんなはステージ衣装をできるだけ最高の形で着直して、クルーは俺たちの機材や照明をいま一度組み立てる。
45分後、全員元の位置に戻る。まぁ、中にはいつもよりくたびれて見える奴もいるけど、俺たちは演奏したいんだ。閉じられたステージの幕の間から、再開場となったフェスの野原に人々がやってくるのが見える。歩いている奴らもいるけれど、大半はステージに向かって走ってくる。信じられないくらいのプレッシャーを感じる。俺たちのイントロが始まる......3、2、1......ステージ・タイムだ!!!
というのが、今のところ最も強烈なフェス体験のひとつだったね。良い気分も悪い気分もフルに味わった。でもすべてその甲斐があったんだ。"Hurricane Festival"でのあの日を俺たちは1分たりとも逃したくない。
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