LIVE REPORT
LOVEBITES
2025.03.13 @Zepp DiverCity(TOKYO)
Writer : 菅谷 透 Photographer:Hajime Kamiiisaka
LOVEBITESが1月より開催した、過去最大規模の国内ツアー"Eternal Phenomenon Tour"がファイナルを迎えた。各地のZeppやメンバーの出身地を巡り(合間にはメキシコ遠征も!)辿り着いたZepp DiverCity(TOKYO)公演は、生身のバンドの実力を超満員の観客に示し、さらに強固な絆を作り上げた一夜となった。
THIN LIZZY「The Boys Are Back In Town」、JUDAS PRIEST「Diamonds And Rust」を経て、SEが流れ始めるとフロアの熱気が徐々に増していく。純白の衣装に身を包んだメンバーが姿を現し、「Glory To The World」でライヴがスタート。パワフルな音圧とテクニックの応酬で圧倒すると、観客も負けじとシンガロングで食らいついていく。Asami(Vo)が"We are LOVEBITES and we play heavy metal"と力強く表明した後は「Unchained」へ。
最新作『LOVEBITES EP II』の収録曲だが、キャッチーなコーラスやジャンプが取り入れられていて、ファンにすっかり浸透している印象だ。ジャンプの際にはMiyako(Gt/Pf)のイヤモニのレシーバーが外れるアクシデントも起こっていたのだが、全く動じることなくMidori(Gt)と華麗なツイン・リードを披露していて、ライヴ・バンドとしての経験値の高さも窺えた。この日が凱旋公演となった東京出身のFami(Ba)がアグレッシヴなイントロを奏でた「Scream For Me」では、Haruna(Dr)のいるステージ後方のバルコニーから会場全体を眺める等、天真爛漫な仕草も披露。高い演奏技術はもちろんだが、視線を惹き付けるようなステージングでも会場を沸かせていた。
フロアの気合を確認した後は、『LOVEBITES EP II』から本ツアーで初披露となった「Soul Defender」をプレイ。こちらも今回のツアーが初披露となった強靭なスラッシュ・チューンの「Paranoia」で熱気を高めると、「Judgement Day」ではエモーショナルな演奏とAsamiの感情を乗せたロング・トーンでますますヒートアップ。"休んでるヒマないよ?"と「Break The Wall」で畳み掛けると、フロアも特大のコールを上げ立ち向かっていた。白熱のセクションを経て、MCではFamiの凱旋公演だという話題になったが、当の本人は演奏に頭を使っていたらしく"は~い"となんとも気の抜けた返事で観客の笑いを誘っていた。また、この日が学生最後のライヴだったそうで、フロアからは"おめでとう!"という声も。会場はやや和やかな雰囲気になったが、Asamiが「The Bell In The Jail」に込めた物語を解説しだすと、再び引き締まった空気に。疾走感のあるビートで熱量を高めると、カラッとしたハード・ロックに哀愁を纏った「The Unbroken」へと繋げていく。
Miyakoによるベートーヴェン「月光」のピアノ・ソロを経て披露されたのはプログレッシヴな大曲「Dystopia Symphony」。中盤には「悲愴」をモチーフにしたギター・ソロも設けられていたり、AsamiとMiyakoがピアノを連弾したりと挑戦的なパフォーマンスで、会場全体から喝采が巻き起こっていた。間髪入れずに投下された「Soldier Stands Solitarily」では稲妻のようなビートとAsamiのハイトーンが炸裂。フロアの一体感をさらに増していった。終盤戦に向けたMCでは、2016年にTSUTAYA O-WEST(現Spotify O-WEST)で初ライヴを行った頃を振り返り"全国のZeppを回るなんて夢にも思ってなかった"と集まったファンに感謝を伝える。
そして"限界突破するぞ、東京!"の言葉で高速ナンバーの「Where's Identity」へ。随所に設けられたコーラス・パートを、Asamiが各メンバーにマイクを向けて歌わせる演出がユニークで、フロアも力強いコールを挙げていく。ラストはLOVEBITESの原点と言うべき「Don't Bite The Dust」と、メタル・ウォーリアーとしての気概を示す「Holy War」をドロップ、メロイック・サインが掲げられるなかで本編を締めくくった。
勇壮なツイン・リードが映える「Bravehearted」でアンコールに突入すると、"最強のツアーの締めくくりに、ユナイトするぞ、東京!"と、数々のライヴのクライマックスを彩ってきたアンセム「We The United」で改めて強固な絆を作り上げる。ラスト・ソングに選ばれたのは「Someone's Dream」。"夢だけで終わらせない、叶えよう共に!"という呼び掛けから始まった力強い演奏は、歩みを止めず進み続ける決意表明となって観客の心に響いていた。そして終演後にはスクリーンが降り、彼女たちの夢でもあった日本武道館公演が発表されると、会場はこの日一番の歓喜に包まれていた。
終演後の告知を踏まえると、今回のツアーは一大決戦の前に自らのルーツや思い出の地を振り返る意味もあったのかもしれない。すでに規格外のスケール感を持ったパフォーマンスを見せている彼女たちが、これからの1年でどのような進化を遂げるのか、そして当日は"ロックの殿堂"でどんなライヴを披露してくれるのか、今から楽しみでならない。
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